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システムという名の特殊能力(1)
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翌日の朝食後、一回目のキスの時間(こめかみに)を経て、私はギルの執務室に来ていた。
「頼みたいことがある」とギルに言われてから、数分。
「えーと……何処やったかな」
ギルは目当ての本が見つからないらしく、本棚の前をうろうろとしていた。
(うーん。多分……いや絶対、コレだと思うな)
部屋の入口付近で待ちながら、私は自分の頭上に浮かぶ半透明のミニマップを見上げた。
そう、ミニマップ。よくゲーム画面で見かけるアレである。
これは今朝表示されていることに気付いた。昨夜までがオープニングで、今朝から本編に入った的な変化だろうか。
キラキラ
先程からミニマップ上で光り続けている場所へと、私は近付いた。
すると目の前の本棚には、同じように光を放つ本が。
その本を手に取る。と同時に、手の中の本からもミニマップからも、光はフッと消えた。
うん、やっぱり。ゲームでお馴染み、イベントマーカーぽい。
「ギルが探してるのって、この本ですか?」
私が本をギルに見せると、振り返った彼は目を見開いた。はい、正解。
「えっと、『オプストフルクト植物図鑑』」
「古代語が読めるのか!?」
駆け寄ってきたギルが、本と私を見比べる。
「読めません。けど、アイテムの名称はわかります」
「ごめん。ちょっとサラの言ってる意味がわからない」
うん。私も立場が逆ならそうだと思う。
私が読み上げたのは本の表紙の文字ではなく、『アイテム説明欄』の文章なのだから。
「そうですね……。実物の文字は読めないけど、手に取るとそれがどういったものかが別の方法で文章として見える、という感じでしょうか」
「う、うーん……精霊言語の逆バージョンか? あれはこちらが精霊に働きかけるためのものだが、サラのは精霊が知り得た情報をサラに見せている……?」
「そういう感じかもしれませんね」
全然そんな感じではないだろうが、これ以上どうにもならなそうなので、ギルの落としどころに乗っておく。
「私は、皆にも見えるものだと思ってました」
「いやいや、皆に見えたら毒茸に中る奴はいなくなる」
「あ、それもそうですね」
どうやらこの世界でも、見えない方が普通らしい。異世界に来たから見えるようになったのかと、普通に受け入れていた。
「頼みたいことがある」とギルに言われてから、数分。
「えーと……何処やったかな」
ギルは目当ての本が見つからないらしく、本棚の前をうろうろとしていた。
(うーん。多分……いや絶対、コレだと思うな)
部屋の入口付近で待ちながら、私は自分の頭上に浮かぶ半透明のミニマップを見上げた。
そう、ミニマップ。よくゲーム画面で見かけるアレである。
これは今朝表示されていることに気付いた。昨夜までがオープニングで、今朝から本編に入った的な変化だろうか。
キラキラ
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すると目の前の本棚には、同じように光を放つ本が。
その本を手に取る。と同時に、手の中の本からもミニマップからも、光はフッと消えた。
うん、やっぱり。ゲームでお馴染み、イベントマーカーぽい。
「ギルが探してるのって、この本ですか?」
私が本をギルに見せると、振り返った彼は目を見開いた。はい、正解。
「えっと、『オプストフルクト植物図鑑』」
「古代語が読めるのか!?」
駆け寄ってきたギルが、本と私を見比べる。
「読めません。けど、アイテムの名称はわかります」
「ごめん。ちょっとサラの言ってる意味がわからない」
うん。私も立場が逆ならそうだと思う。
私が読み上げたのは本の表紙の文字ではなく、『アイテム説明欄』の文章なのだから。
「そうですね……。実物の文字は読めないけど、手に取るとそれがどういったものかが別の方法で文章として見える、という感じでしょうか」
「う、うーん……精霊言語の逆バージョンか? あれはこちらが精霊に働きかけるためのものだが、サラのは精霊が知り得た情報をサラに見せている……?」
「そういう感じかもしれませんね」
全然そんな感じではないだろうが、これ以上どうにもならなそうなので、ギルの落としどころに乗っておく。
「私は、皆にも見えるものだと思ってました」
「いやいや、皆に見えたら毒茸に中る奴はいなくなる」
「あ、それもそうですね」
どうやらこの世界でも、見えない方が普通らしい。異世界に来たから見えるようになったのかと、普通に受け入れていた。
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