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ヒロインのハッピーエンドを確認しました。(3)
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(おおぅ)
いつの間にやら真っ正面には、リヒト王子が。しかも彼は私の両手首を握り、私と向かい合って立っている。でもって、彼との間に小さな花束――モニカが持っていたはずのブーケが見えた。上向きで固定された私の手のひらが、丁度それをキャッチしたような形だ。
……うん、どういう状況? いや本当、ちょっと意識を飛ばしている間にどうしてこうなった。
「次に結婚をするのがヴィオなら、相手は僕だよね?」
忽然と現れたブーケを見つめていたところ、頭上からリヒト王子の声が降ってくる。
見上げれば、にこにこ顔のリヒト王子。あ、これ完璧に「あざと可愛い」方の奴。
「この場合、受け取ったのはリヒト王子になりません?」
どう考えても私の手にブーケを受け取らせたのは、リヒト王子だ。私の手という籠を使って取ったようなもの。
よくぞこんな小さな手、しかもこの可動範囲の狭さで受け取ったな王子。普通にすごい。そしてモニカのナイスコントロールはもっとすごい。
ゲームでも、モニカがブーケトスをする場面はあった。貴族の結婚式では格式張っていてできないので、やはり今日のように別途簡単なパーティーを開いてやっていた。
そのときと違うのは、ゲームでは投げられたブーケを誰が受け取ったかは描かれていないということだ。プレイヤーはモニカなのだから、ここで大事だったのは彼女が幸せのお裾分けをしたという事実のみだったのだろう。
「どちらにしても、幸せになるのは僕と君だよ」
「……っ」
リヒト王子が少し身を屈めて、内緒話でもするかのようにこちらに顔を寄せてくる。
その近さから聞こえた声が、今し方まで旅立っていた前世の回想とふっと重なった。
『何で『あな届』はリヒト王子なの?』
その問いの前置きにも言われたように、確かに前世で私の好みは逞しい系のキャラだった。
前世でと言ったが、おそらく今も好みの男性像という点では変わらないと思う。何かの折に騎士を見かけたときには、ついつい目が行くし。何なら、港町で働く水兵や漁師だって目で追ってしまうし。
『でも、リヒト王子はさ――――』
問いとともに、答えを返した『私』も思い出す。あの後、『私』は迷うことなく答えを口にしたはずだ。
(私は何て答えたんだっけ?)
すぐそこにあったはずの答えを求めて、私はリヒト王子を見上げた。
「幸せになるのは」と口にした彼は、もう既に幸せになったかのような柔らかな表情で私を見ていた。
意図したわけでなく、手を握り合ったままに彼と見つめ合う形になる。
そんな私たちに向けられる囃しと祝福の拍手を、私はどこか遠くに聞いていた。
いつの間にやら真っ正面には、リヒト王子が。しかも彼は私の両手首を握り、私と向かい合って立っている。でもって、彼との間に小さな花束――モニカが持っていたはずのブーケが見えた。上向きで固定された私の手のひらが、丁度それをキャッチしたような形だ。
……うん、どういう状況? いや本当、ちょっと意識を飛ばしている間にどうしてこうなった。
「次に結婚をするのがヴィオなら、相手は僕だよね?」
忽然と現れたブーケを見つめていたところ、頭上からリヒト王子の声が降ってくる。
見上げれば、にこにこ顔のリヒト王子。あ、これ完璧に「あざと可愛い」方の奴。
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どう考えても私の手にブーケを受け取らせたのは、リヒト王子だ。私の手という籠を使って取ったようなもの。
よくぞこんな小さな手、しかもこの可動範囲の狭さで受け取ったな王子。普通にすごい。そしてモニカのナイスコントロールはもっとすごい。
ゲームでも、モニカがブーケトスをする場面はあった。貴族の結婚式では格式張っていてできないので、やはり今日のように別途簡単なパーティーを開いてやっていた。
そのときと違うのは、ゲームでは投げられたブーケを誰が受け取ったかは描かれていないということだ。プレイヤーはモニカなのだから、ここで大事だったのは彼女が幸せのお裾分けをしたという事実のみだったのだろう。
「どちらにしても、幸せになるのは僕と君だよ」
「……っ」
リヒト王子が少し身を屈めて、内緒話でもするかのようにこちらに顔を寄せてくる。
その近さから聞こえた声が、今し方まで旅立っていた前世の回想とふっと重なった。
『何で『あな届』はリヒト王子なの?』
その問いの前置きにも言われたように、確かに前世で私の好みは逞しい系のキャラだった。
前世でと言ったが、おそらく今も好みの男性像という点では変わらないと思う。何かの折に騎士を見かけたときには、ついつい目が行くし。何なら、港町で働く水兵や漁師だって目で追ってしまうし。
『でも、リヒト王子はさ――――』
問いとともに、答えを返した『私』も思い出す。あの後、『私』は迷うことなく答えを口にしたはずだ。
(私は何て答えたんだっけ?)
すぐそこにあったはずの答えを求めて、私はリヒト王子を見上げた。
「幸せになるのは」と口にした彼は、もう既に幸せになったかのような柔らかな表情で私を見ていた。
意図したわけでなく、手を握り合ったままに彼と見つめ合う形になる。
そんな私たちに向けられる囃しと祝福の拍手を、私はどこか遠くに聞いていた。
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