25 / 53
新婚期
結婚契約書という武器
しおりを挟む
トントンとドアをノックする音が聞こえ、マリィアンナは目をこすり「どうぞ~」と間延びする声を出した。
ドアを開け、アルベルトが入室してきた。
アルベルトは無言でベッドのそばにきてポスンと腰を下ろした。
マリィアンナは目をパチパチさせて
「アルベルト様、今日もお疲れ様です」
と微笑んで労った。
「ンンッ!…あー、今日は…出歩いたみたいだな」
「ええ、邸宅を歩いて庭へ出て花を愛でました」
「そうか」
「花にとっても癒されました」
マリィアンナは、見事な花を思い出し、頬を緩ませた。
アルベルトは少し驚いて手を口にあてた。
「ンンッ」と咳払いをして
「庭師のペリーが聞いたら喜ぶだろう。ところで…昨日言っていた羊皮紙は受け取ったか?」
「ええ、プリマが持ってきてくれましたわ」
「何に使うか聞いてもいいか?」
「ええ、まずこれを見てください」
マリィアンナは、明かりをつけて引き出しから羊皮紙を出してペンと一緒にアルベルトへ手渡した。
アルベルトはそれを受け取り読むと、みるみるうちに固い表情になった。
羊皮紙には『婚姻契約書』と書かれていた。
アルベルトは困った顔をしてマリィアンナを見て
「こんなものを取り決めなくても…」
と言いかけた。
マリィアンナはやさしく微笑み
「ですが、わたくしは決めておきたいのです。わたくしの安寧な生活の為に署名をお願いしますわ。お義父様の了解は得ていますわ」
と、上目遣いでお願いした。
「…わかった」
アルベルトはテーブルへ持っていき、渡されたペンで2枚ともにサラサラと署名をした。
マリィアンナは1枚羊皮紙を受け取り、確認した後
「ありがとうございます。アルベルト様!これで安心できますわ」
にっこりと笑って、引き出しへと大事にしまった。
アルベルトは、辺りを見回しながら
「あー、この邸宅での暮らしに慣れてきたみたいだな。食事を共にできそうか?」
と、マリィアンナに問いかけた。
「え?」
「ずっと君の要望で1人でとっていたがそろそろホールで食事をしようじゃないか」
「…わたくしの要望…」
「…?」
マリィアンナはフッと微笑みながら
「では、今日こちらでお休みになられて朝起きましたら、アルベルト様がわたくしを起こしてくださいません?」
「私が?」
「朝起きて、一人なのは寂しいものでございますよ」
「む…そう…なのか?…わかった。私が起こそう」
「ふふ、お願いしますね」
マリィアンナが微笑むとアルベルトは羊皮紙をサイドテーブルへ置き、ギュッと手を握ってきた。
二人は会話をやめ、お互いを見つめあい、夜を共にした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マリィアンナがスヤスヤと寝ているところ、トントンと体をつつかれたり擦られたり違和感を感じた。
目を開け、ぼんやりと天井を見つめた。
口をむぐむぐと動かし寝返りをうつと、ぼや~っと顔が見えた。
あー、えーっと誰?あ、アルベルト様だ~。
そういえば昨日…起こしてほしいってお願いしたんでしたわ~
「おはようぉございます~。アルベルト様…」
「ンンっ!!!お…おはよう」
アルベルトは動揺しながらも返事をして
「私は先に自室へ戻る。またホールで…会おう」
と、そそくさと隣の自室へと戻って行った。
寝ぼけ眼でマリィアンナは起き上がり、目をこすりながらベルを鳴らした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
少しして、トルノがノックをして部屋へ入ってきた。
「ホールで朝食を頂くわ。使用人へきちんと伝えて頂戴ね」
「え…はい。」
「伝えるついでにわたくしの身支度を手伝うメイドを急ぎ、よこして頂戴」
「え、あ、はい」
トルノは慌てて戻って行った。
引き出しにある羊皮紙を取り出し、マリィアンナはフッと微笑んだ。
羊皮紙にはこう、書かれていた
家令、騎士を除く使用人の人事権限をマリィアンナ・コディルに一任する
伯爵夫人の女主人としての仕事をマリィアンナ・コディルに一任する
妻であるマリィアンナ・コディルが産んだ子供を嫡子とすること。
婚姻から3年以内に子供が産まれた場合、アルベルト・コディルは愛人・妾を迎えない
アルベルト・コディルが愛人・妾を迎える場合、人選はマリィアンナ・コディルに一任する
アルベルト・コディルが愛人・妾を迎える場合、コディル家が代々相続する家に住まわすことを禁止する
愛人、妾は本宅(当主や後継者が住んでいる館)やマリィアンナ・コディルが定住している場所への侵入および定住を禁止する
愛人、妾の子供の本宅(当主や後継者が住んでいる館)やマリィアンナ・コディルが定住している場所への出入りおよび定住についての決定権はマリィアンナ・コディルにあるものとする
嫡子だけでなく庶子においても例外なく子供の教育方針はマリィアンナ・コディルに一任する
これさえあれば、たとえ政略結婚でも心置きなく戦えるわ。
マリィアンナはにこにこ笑いながらメイドが来るのを待った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ホールで家族がそろった食事を終え、ドランジェ伯爵は楽しそうに退出しようとした。
しかし、ピタリと足を止めて困り顔で問いかけた。
「マリィアンナ、すまないがアルベルトを数日借りていいかい?」
「アルベルト様を?」
「ああ、実は領地でちょっとした問題が起こってね。私が行くつもりだったんだが、王都から連絡が来るようなんだ。私が不在では体裁が悪くてね…蜜月中なのに申し訳ないな」
アルベルトも申し訳なさそうに下を向いていた。
「わかりましたわ。出発はいつですの?」
「…準備ができ次第すぐだ」
「そうですの…」
アルベルトは準備を済ませ、家令と従者を連れて邸宅を出発して行った。
マリィアンナは馬車が颯爽と走っていく中、ニコニコと笑顔で見送った。
その顔は蜜月に引き離された寂しい新妻とはほど遠く、ひと仕事がんばるぞというやる気に満ちていた。
さぁ、アルベルト様が帰ってくるまでに決着をつけましょう。
わたくしらしい結婚生活の為に。
マリィアンナは決意を新たに、自室へ戻り準備を進めた。
ドアを開け、アルベルトが入室してきた。
アルベルトは無言でベッドのそばにきてポスンと腰を下ろした。
マリィアンナは目をパチパチさせて
「アルベルト様、今日もお疲れ様です」
と微笑んで労った。
「ンンッ!…あー、今日は…出歩いたみたいだな」
「ええ、邸宅を歩いて庭へ出て花を愛でました」
「そうか」
「花にとっても癒されました」
マリィアンナは、見事な花を思い出し、頬を緩ませた。
アルベルトは少し驚いて手を口にあてた。
「ンンッ」と咳払いをして
「庭師のペリーが聞いたら喜ぶだろう。ところで…昨日言っていた羊皮紙は受け取ったか?」
「ええ、プリマが持ってきてくれましたわ」
「何に使うか聞いてもいいか?」
「ええ、まずこれを見てください」
マリィアンナは、明かりをつけて引き出しから羊皮紙を出してペンと一緒にアルベルトへ手渡した。
アルベルトはそれを受け取り読むと、みるみるうちに固い表情になった。
羊皮紙には『婚姻契約書』と書かれていた。
アルベルトは困った顔をしてマリィアンナを見て
「こんなものを取り決めなくても…」
と言いかけた。
マリィアンナはやさしく微笑み
「ですが、わたくしは決めておきたいのです。わたくしの安寧な生活の為に署名をお願いしますわ。お義父様の了解は得ていますわ」
と、上目遣いでお願いした。
「…わかった」
アルベルトはテーブルへ持っていき、渡されたペンで2枚ともにサラサラと署名をした。
マリィアンナは1枚羊皮紙を受け取り、確認した後
「ありがとうございます。アルベルト様!これで安心できますわ」
にっこりと笑って、引き出しへと大事にしまった。
アルベルトは、辺りを見回しながら
「あー、この邸宅での暮らしに慣れてきたみたいだな。食事を共にできそうか?」
と、マリィアンナに問いかけた。
「え?」
「ずっと君の要望で1人でとっていたがそろそろホールで食事をしようじゃないか」
「…わたくしの要望…」
「…?」
マリィアンナはフッと微笑みながら
「では、今日こちらでお休みになられて朝起きましたら、アルベルト様がわたくしを起こしてくださいません?」
「私が?」
「朝起きて、一人なのは寂しいものでございますよ」
「む…そう…なのか?…わかった。私が起こそう」
「ふふ、お願いしますね」
マリィアンナが微笑むとアルベルトは羊皮紙をサイドテーブルへ置き、ギュッと手を握ってきた。
二人は会話をやめ、お互いを見つめあい、夜を共にした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マリィアンナがスヤスヤと寝ているところ、トントンと体をつつかれたり擦られたり違和感を感じた。
目を開け、ぼんやりと天井を見つめた。
口をむぐむぐと動かし寝返りをうつと、ぼや~っと顔が見えた。
あー、えーっと誰?あ、アルベルト様だ~。
そういえば昨日…起こしてほしいってお願いしたんでしたわ~
「おはようぉございます~。アルベルト様…」
「ンンっ!!!お…おはよう」
アルベルトは動揺しながらも返事をして
「私は先に自室へ戻る。またホールで…会おう」
と、そそくさと隣の自室へと戻って行った。
寝ぼけ眼でマリィアンナは起き上がり、目をこすりながらベルを鳴らした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
少しして、トルノがノックをして部屋へ入ってきた。
「ホールで朝食を頂くわ。使用人へきちんと伝えて頂戴ね」
「え…はい。」
「伝えるついでにわたくしの身支度を手伝うメイドを急ぎ、よこして頂戴」
「え、あ、はい」
トルノは慌てて戻って行った。
引き出しにある羊皮紙を取り出し、マリィアンナはフッと微笑んだ。
羊皮紙にはこう、書かれていた
家令、騎士を除く使用人の人事権限をマリィアンナ・コディルに一任する
伯爵夫人の女主人としての仕事をマリィアンナ・コディルに一任する
妻であるマリィアンナ・コディルが産んだ子供を嫡子とすること。
婚姻から3年以内に子供が産まれた場合、アルベルト・コディルは愛人・妾を迎えない
アルベルト・コディルが愛人・妾を迎える場合、人選はマリィアンナ・コディルに一任する
アルベルト・コディルが愛人・妾を迎える場合、コディル家が代々相続する家に住まわすことを禁止する
愛人、妾は本宅(当主や後継者が住んでいる館)やマリィアンナ・コディルが定住している場所への侵入および定住を禁止する
愛人、妾の子供の本宅(当主や後継者が住んでいる館)やマリィアンナ・コディルが定住している場所への出入りおよび定住についての決定権はマリィアンナ・コディルにあるものとする
嫡子だけでなく庶子においても例外なく子供の教育方針はマリィアンナ・コディルに一任する
これさえあれば、たとえ政略結婚でも心置きなく戦えるわ。
マリィアンナはにこにこ笑いながらメイドが来るのを待った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ホールで家族がそろった食事を終え、ドランジェ伯爵は楽しそうに退出しようとした。
しかし、ピタリと足を止めて困り顔で問いかけた。
「マリィアンナ、すまないがアルベルトを数日借りていいかい?」
「アルベルト様を?」
「ああ、実は領地でちょっとした問題が起こってね。私が行くつもりだったんだが、王都から連絡が来るようなんだ。私が不在では体裁が悪くてね…蜜月中なのに申し訳ないな」
アルベルトも申し訳なさそうに下を向いていた。
「わかりましたわ。出発はいつですの?」
「…準備ができ次第すぐだ」
「そうですの…」
アルベルトは準備を済ませ、家令と従者を連れて邸宅を出発して行った。
マリィアンナは馬車が颯爽と走っていく中、ニコニコと笑顔で見送った。
その顔は蜜月に引き離された寂しい新妻とはほど遠く、ひと仕事がんばるぞというやる気に満ちていた。
さぁ、アルベルト様が帰ってくるまでに決着をつけましょう。
わたくしらしい結婚生活の為に。
マリィアンナは決意を新たに、自室へ戻り準備を進めた。
0
あなたにおすすめの小説
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
元平民だった侯爵令嬢の、たった一つの願い
雲乃琳雨
恋愛
バートン侯爵家の跡取りだった父を持つニナリアは、潜伏先の家から祖父に連れ去られ、侯爵家でメイドとして働いていた。18歳になったニナリアは、祖父の命令で従姉の代わりに元平民の騎士、アレン・ラディー子爵に嫁ぐことになる。
ニナリアは母のもとに戻りたいので、アレンと離婚したくて仕方がなかったが、結婚は国王の命令でもあったので、アレンが離婚に応じるはずもなかった。アレンが初めから溺愛してきたので、ニナリアは戸惑う。ニナリアは、自分の目的を果たすことができるのか?
元平民の侯爵令嬢が、自分の人生を取り戻す、溺愛から始まる物語。
完【恋愛】婚約破棄をされた瞬間聖女として顕現した令嬢は竜の伴侶となりました。
梅花
恋愛
侯爵令嬢であるフェンリエッタはこの国の第2王子であるフェルディナンドの婚約者であった。
16歳の春、王立学院を卒業後に正式に結婚をして王室に入る事となっていたが、それをぶち壊したのは誰でもないフェルディナンド彼の人だった。
卒業前の舞踏会で、惨事は起こった。
破り捨てられた婚約証書。
破られたことで切れてしまった絆。
それと同時に手の甲に浮かび上がった痣は、聖痕と呼ばれるもの。
痣が浮き出る直前に告白をしてきたのは隣国からの留学生であるベルナルド。
フェンリエッタの行方は…
王道ざまぁ予定です
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ
しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”――
今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。
そして隣国の国王まで参戦!?
史上最大の婿取り争奪戦が始まる。
リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。
理由はただひとつ。
> 「幼すぎて才能がない」
――だが、それは歴史に残る大失策となる。
成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。
灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶……
彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。
その名声を聞きつけ、王家はざわついた。
「セリカに婿を取らせる」
父であるディオール公爵がそう発表した瞬間――
なんと、三人の王子が同時に立候補。
・冷静沈着な第一王子アコード
・誠実温和な第二王子セドリック
・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック
王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、
王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。
しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。
セリカの名声は国境を越え、
ついには隣国の――
国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。
「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?
そんな逸材、逃す手はない!」
国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。
当の本人であるセリカはというと――
「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」
王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。
しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。
これは――
婚約破棄された天才令嬢が、
王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら
自由奔放に世界を変えてしまう物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる