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エピソード002 転売ヤーには地獄への片道切符
プロローグ
しおりを挟むここは東京都内にある小さなイベント会場。
現在この会場には千人近くの観客で引き召しあっている。
しかもかなりの盛り上がりだ。
その会場の中に俺・光前寺宗吾もいる訳であるだが。
「やっぱり優勝はチーム・サウザンドで決まりだな」
「いや、大番狂わせもあると思うぞ。何しろあのリトル・スイーパーってたった二人だけで決勝まで残ったんだぜ」
「確かにあの小学生コンビどっちもかなり可愛いからな」
リトル・スイーパーか。
何だかんだで決勝まで残ったのは大したものです。
実は現在ここで行われているイベントは三条財閥主催によるスプリング・トーキョーゲーマーグランプリでその名の通りゲーム大会だ。
もうお気付きの方もいるだろうが先程観客の話にあったリトル・スイーパーというチーム。
実はうちの社長である三条司とその親友である寝屋川さもなの二人で構成されているゲーマーチーム。
そしてこの二人はなんと二人だけで順調に勝ち抜いていき気が付けば決勝まで残っている訳。
俺はそんな二人を応援する為にわざわざ会場まで来ているという訳なのだ。
これより、三条財閥主催スプリング・トーキョーゲーマーグランプリ決勝を開始します!
会場内に響くアナウンス。
こうしてはいられないな……俺はすぐにステージの前へ移動する。
ステージには巨大なプロジェッターが壁に設置、更にステージには参加人数分のゲーム機とモニターが設置されている。
そこへ可愛いアナウンサーが観客に挨拶をした後に決勝に残ったチーム紹介を始めた。
「まずは昨年の全日本覇者チーム・サウザンドの入場です」
すると五人の赤いジャケットを身に着けたゲーマーが入場してきた。
そしてその五人は会場の観客に向けて大きくガッツポーズ!
これが昨年の国内王者の貫禄か。
「続いては本大会初登場でかつチームメイトがたった二人ながら気が付けば決勝まで勝ち残った美少女二人組!その名はリトル・スイーパー!」
そこへ入ってくる女の子二人組。
三条財閥関連企業のロゴマークが多数張り付けられた黒いジャケットを身に着けた我らが社長とさもなちゃんだ。
歓声を上げてる観客に対して社長は相変わらず愛想がないが一方のさもなちゃんは元気に観客に答えているみたい。
「み~んな!元気~っ!」
「「「元気で~す!可愛い~っ!」」」
こりゃ、さもなちゃん案外アイドルに向いてるのでは?
社長もさもなちゃん見習って愛想よくすればいいのに。
それからアナウンサーから使用ゲームとレギュレーションが発表される。
使用ゲームは対戦ガンゲームの英版・ガンバトルライトで設定は競技用設定。
またレギュレーションとしては魔法の使用は一切禁止、またハードに干渉するようなチートも禁止。
あくまでシラフでの戦いになる訳である。
社長とさもなちゃん、それにチーム・サウザンドの面々が席に座りスタンバイが完了。
そしてアナウンサーが「それではゲームスタートで~す!」の号令と共に決勝が始まった。
それからは俺が見ても白熱の戦いが繰り広げられていた。
社長とさもなちゃんは常に二人一組で相手一人に集中攻撃するスタイルで戦っていく。
しかし対するチーム・サウザンドもそれに対抗する為に複数で対処する。
それぞれが一進一退の戦いが続き……互いにキルしたりキルされたりと復活する度に戦いは白熱していく。
そして……制限時間がやってきた。
即ち試合終了だ。
「では判定です……チーム・サウザンドはキル数31!そして対するリトル・スイーパーは……キル数30!チーム・サウザンドの優勝で~す!」
31と30。
正に接戦だったが勝利の女神がほほ笑んだのは社長ではなくチーム・サウザンドだったか。
社長もさもなちゃんも残念だったな。
「参ったわ。魔法が使えたら勝てたかも知れないのに」
「いや、こちらこそ人数が同じだったら負けていたのはこっちだったかもな。いい勝負をさせてもらって感謝する」
うっ、社長とチーム・サウザンドのリーダーらしき男が互いに言葉を交わして握手をしてる。
うちの社長……いつもこうゆう紳士的な態度していればなぁ。
「それでは優勝したチーム・サウザンドの皆様には三条財閥傘下の任地堂提供で最新ゲーム機であるポチットを人数分差し上げま~す!」
おっ、優勝賞品はあのポチットか。
三条財閥傘下の任地堂が開発・販売している最新のゲームハードだ。
価格は約三万円で比較的安いにも関わらず4K画質対応で多彩なゲームソフトが発売されている人気ゲームハードである。
実は俺も三条財閥傘下が作ってるゲームハードという事で以前現物賞与でひとつもらっていて暇なときこれで遊んでいるのだ。
そのゲームハードが手に入ったのは実に羨ましいな。
「さ~て、社長とさもなちゃんに会ってみようかな」
こうして大会が終わり、俺は大会の関係者にリトル・スイーパーの関係者だと事情を説明して二人のいる楽屋へ。
楽屋には……いかにも不機嫌そうな社長とさもなちゃんがいた。
「よう、社長にさもなちゃん。今日は残念だったな」
「宗吾……もしかして無様な私達を笑いに来たの?}
「お兄ちゃん性格悪いよ」
あちゃ~っ、これは空気が読めなかったかな?
俺はそんな二人を宥めるべく亜空間小穴を開き中から予め本日購入しておいたイチゴのショートケーキを取り出した。
二人は「ありがとう」と言って俺から受け取ってショートケーキを食べ始めた。
おっと缶ジュースも取り出して二人に手渡した。
ショートケーキの効果なのか社長とさもなちゃんも少しは落ち着いたようだ。
「だけど……正直向こう側の人数が多くても勝てる自信はあったのよねぇ」
「そうだよ司ちゃん。私達だったらチーム・サウザンドなんかに後れをとらない筈だったよ」
うわぁ、結構負け惜しみ言ってるよ。
正直俺としては五対二でここまでやれたのは十分すごいと思うがね。
「第一優勝賞品がポチットなのがねぇ……せめてSP5だったらよかったのに」
「それに関しては無茶言わないでよ。この大会は三条財閥主催だからSP5が商品として出せる訳がないでしょう」
はは、さもなちゃんSP5をご所望ですか。
SP5(正式名称・スーパープレイ5)は任地堂のライバル会社・アニー社が開発販売しているゲームハードだ。
ハード性能はポチットよりも高性能らしいのだが値段は約五万円で現在どうゆう訳か入手困難な代物である。
現状この二つのゲームハードは人気を二分しているが在庫が潤沢な分ポチットが優勢である。
「SP5か……私でも入手できない厄介ハードだけど、どうして手に入らないのかしら」
「司ちゃんでも入手困難?」
「そう、私が持つコネでも話にならないわねぇ。アニー社は何をやってるのかしら」
おやおや、うちの社長でも入手できない者ってあるものですね。
それにしてもたかがゲームハードが入手困難とはおかしな事もあるものだな。
「とにかく社長もさもなちゃんも機嫌を直してください。これから本社に戻って残念会を始めましょう」
「そうね。なら、おたけさんにピザをリクエストしてくれる?」
「ピザ!私もピザ食べた~い!」
「では早速おたけさんに連絡しておきます」
一見すると社長が参加したゲーム大会の模様で終わると思っていた。
だが、まさかこれが事件の序章になっていたとは……この時、俺は思いもつかなかったな。
今回はそのゲームハードSP5に関する大騒動である。
果たしてどんな面倒事が起こるのやら?
という訳で……オープニング行ってみようか!
アカシックレコードを開いてみれば魔法文化が始まりもう半世紀ぐらいかな。
だけど、いつの世も悪というゴミや汚れが増えてもんですなぁ。
悲しいかなそれが人の業というものでっせ。
そしてそんなゴミや汚れが増えれば余は乱れ荒れるものなのが寂しいなぁ。
そこのあんた!そんなゴミと汚れに嘆いているならウチの会社に来てみなせぇ。
頑固なゴミと汚れ……綺麗サッパリお掃除して差し上げますわぁ。
応援ありがとうございます!
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