37 / 39
エピソード003 夫婦刀を引き裂く輩は天罰を
プロローグ
しおりを挟む時は応仁の乱から始まった戦国時代。
力こそが正義とばかりに日本中の戦国武将が天下を掴む為に血を血で争う弱肉強食のご時世。
そんな中で……また一つの敗者が滅ぶ時が訪れた。
燃え盛る城、勝ち誇る武将とその配下。
その燃えていく城の天守閣。
燃えている天守閣の中で一人の女性が自分の夫を必死に探していた。
「史郎さま~っ!」
女性は炎の中で……一人の男を見つける。
その男は女性が探していた夫・雪代史郎であった。
「蛍!何故逃げなかった」
「史郎さま、蛍は史郎さまの妻でございます。逃げろと申すのでしたら共に落ち延びましょう」
だが、蛍の嘆願に史郎は首を横に振る。
「蛍、我は敗れるべくして敗れたのだ。故に拙者は生き恥を晒すすもりはない」
「史郎さま」
燃える天守閣の中で雪代史郎と妻の蛍との時間は過ぎていく。
だが、その間にも得t気が自分達の首を狙ってくるのも時間の問題だ。
「蛍……共に黄泉へ赴いてくれぬか」
「私はどこまでも史郎さまと一緒でございます」
二人は互いに刀を握りしめた。
自分達の最後を悟り史郎と蛍は互いに見つめあう。
「蛍!」
「史郎さま!」
燃え盛る炎の中、史郎と蛍はお互い手にした刀で……互いの心の臓を貫いた。
その直後、天守閣の柱が炎により崩れ落ち亡骸になった二人を焼き尽くしていく。
こうして、戦国という時代に敗れ去った者たちがまた歴史の闇へと消えていった。
それから天守閣の炎は消え、この戦いの勝者が天守閣のあった場所を見渡していた。
だが、完全に焼け野原と化した天守閣を探しても目ぼしい金品は見当たらなかった。
左程、財力が無かった辺り雪代史郎は敗れるべくして敗れたのだ。
この戦いの勝者である武将は内心虚しさを感じていた。
「兼人様!大変です」
「どうした」
「足軽の一人は刀を手にして発狂して他の物を襲っております」
これは確かに異常事態といえる。
兼人は他の配下を引き連れてその現場へ急ぐ。
「こっ……これは!」
なんと兼人が見たのは明らかに正気を失っている足軽が手にした刀を振り回して味方に襲い掛かっている。
しかも既に多数の被害者が出ている。
「くっ」
兼人は刀を手にして発狂している足軽を倒すべく応戦する。
そして兼人は狂人の刀を自身の刀で受け止める。
だが、その時兼人の脳裏にある言葉が聞こえてきた。
蛍は……蛍は何処だ。
この声に兼人は一瞬怯む。
足軽はその隙をつき兼人の刀をへし折ってしまう。
「バカな!」
仮にも兼人が手にしていた刀は一流の刀鍛冶が作った業物。
それを怯んでいたとはいえ簡単にへし折るとは。
こうなると武器を失った兼人は防戦一方である。
「まずい!こんな場所で……こんな形で討ち死にはしたくはいわ」
死にたくない。
だが、味方は数十名やられ自らも思わぬ形で討ち死にされる状況。
もはやこれまでか……兼人は心の何処かで悟っていた。
だが、その時だった。
何処かから声が聞こえる。
史郎まま……史郎さまは何処でしょうか。
兼人は僅かな希望を掴もうとしたかの如く周囲を見渡した。
すると目の前には一本の刀が突き刺さっている。
兼人は藁を掴むようにその刀を手にする。
そして死中に活とばかりに狂った足軽の刀へ鍔迫り合い!
すると……足軽の表情が徐々に落ち着いていく。
そして足軽は手にした刀を手放した後にこの場へ倒れた。
なんとか事態を収拾した兼人の脳裏に再び声が聞こえてくる。
蛍……拙者は断じて離れはせんぞ。
史郎さま……このまま永遠にお傍に。
それから兼人は意識を取り戻した足軽から話を聞いてみる事に。
足軽からの話によると天守閣跡で探索していた時に二本の刀が突き刺さっていたという。
そして足軽はその内の一本を引き抜いた処、意識を失ったという。
「安心するがいい。どうやらお前が引き抜いたのは妖刀だ。しかも相当な妖力を秘めたものだ」
「では……」
「私はこの件についてはお前を罰したりはせん。むしろこんあ危険な妖刀を世に放つのを防ぐのに一躍買ったのだ」
兼人は妖刀を発見した足軽を不問にした。
そして、その問題といえる二本の妖刀を見て思った。
「恐らく、あの二本の妖刀は拙者が討った雪代史郎とその妻の魂と怨念が宿ったのだろう」
兼人は今、一緒の場所に安置してある二本の妖刀を見て思う。
この二本は互いに引き合っているみたいだ。
まるで夫婦のように。
故に先程のように迂闊に引き離すとあの足軽のように妖刀の呪いにより使い手を発狂させるのだろう。
「とにかく、この二本の刀を引き離すのは危険じゃな」
それからその二本の妖刀はそれぞれ雪代丸と蛍丸と名付けられ兼人の一族が代々伝えられる事になった。
ちなみにその刀を管理する事になった戦国武将のフルネームは三条兼人。
天下は取れなかったが戦国の世を生き延び後に江戸時代は旗本として血筋は残り、後にあの三条財閥を築いたのだ。
もうお気付きだろうが、この三条兼人こそがうちの社長・三条司のご先祖様なのだ。
という訳で今回はこの三条一族に伝わる夫婦刀に纏わるお話だ。
今に思えばとんでもない出来事だったよ。
では物語の舞台を現代に戻すとしますか!
それでは今回も景気よくオープニングと行きますか。
アカシックレコードを開いてみれば魔法文化が始まりもう半世紀ぐらいかな。
だけど、いつの世も悪というゴミや汚れが増えてもんですなぁ。
悲しいかなそれが人の業というものでっせ。
そしてそんなゴミや汚れが増えれば余は乱れ荒れるものなのが寂しいなぁ。
そこのあんた!そんなゴミと汚れに嘆いているならウチの会社に来てみなせぇ。
頑固なゴミと汚れ……綺麗サッパリお掃除して差し上げますわぁ。
0
あなたにおすすめの小説
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
花鳥見聞録
木野もくば
ファンタジー
花の妖精のルイは、メジロのモクの背中に乗って旅をしています。ルイは記憶喪失でした。自分が花の妖精だったことしか思い出せません。失くした記憶を探すため、さまざまな世界を冒険します。
記憶を取り戻して真実を知った時、ルイとモクの選ぶ道は?
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる