警視庁捜査5課 魔法捜査網

温水やすくみ

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エピソード010 怪盗ストロベリー現る!

第三十四章 黒幕カシム VS 魔法少女

 己の手を汚さずに今まで悪事の限りを尽くして来たカシム・レイジ。
 そんなカシム・レイジの前に今、断罪よりの使者が舞い降りた。
 大罪人カシム・レイジに断罪を与える使者の名は魔法少女ネイバーズウインドー。

「なんだと!どうしてあの小娘がここにいる。お前はてっきり警視庁の方へ行ったと思っていたが」

 突如現れた魔法少女を眼前にして驚きを隠せないカシム・レイジ。
 そんなカシム・レイジに対してネイバーズウインドーは改めてカシム・レイジを指さしてこう言い放つ。

「私はねぇ……貴方のような卑劣で最低な人の元に現れるの💛決して可哀想な先輩の元に行って理不尽にいじめる趣味はないわ💛」
「!?おい今なんと言った」
「私の先輩を無理矢理悪い事させていた貴方の元へ私は現れました💛そして今からそ~んな貴方を徹底的にお仕置きしに来たの💛」

 カシム・レイジは察した。
 今、自分の眼前にいる小娘は何もかもお見通しだという事に。
 更に今この場にいる一平がカシム・レイジにこう告げる。

「……降伏しろカシム・レイジ!貴様はもう終わりだ。ハッキリ言ってそこにいる女の子には絶対に勝てないぞ」
「なんだと」
「……お前の負けだ。もうお前の居場所などありはしないぞ!」
「ふざけるな!」

 カシム・レイジはその両目を一平に向けて怪光線を発射しようとしている。
 このままでは一平が危ない。
 しかし、その一平は何処か余裕そうである。

「……ウインドーちゃん、頼む」
「は~い💛」

 ネイバーズウインドーはすぐに手にしたウィザードデバイスを操作。
 そして怪光線発射寸前にウィザードデバイスをカシム・レイジに向けて……詠唱!



 slip



「なにっ」

 するとカシム・レイジは思いっきり転倒!
 そして怪光線は一平とは明後日の方向へ。
 結局怪光線は重役室の壁面へ命中。
 この様子を見ていたネイバーズウインドーと一平は思わず大笑い。

「ぐぬぬ……」
「あっ、もう立った💛」

 意外としぶといのかすぐに立ち上がり体勢を立て直すカシム・レイジ。
 今度はその両手をネイバーズウインドーに向けて衝撃波を発射した。
 カシム・レイジの行動が早かったのか大きな衝撃波はネイバーズウインドーに命中!
 流石に油断していたのかネイバーズウインドーは一切の防御行為が取れていない!
 重役室中に凄まじい衝撃が走り一平も思わず伏せている。

「ハハハハハ!思い知ったか小娘。至近距離でこの攻撃を受けたら木っ端微塵は確実だろう」

 高らかに勝利を確信するカシム・レイジ。
 だが、重役室の衝撃が収まり舞い上がる粉塵が収まる頃。

「!?なんだと……そんな馬鹿な」
「……はは、やっぱりこうなったか」

 重役室に蔓延していた粉塵が収まり……なんとカシム・レイジの眼前には全く無傷である魔法少女ネイバーズウインドーの姿があった。
 しかもネイバーズウインドーは大きなあくびをする始末。

「なぁ~に?これって攻撃なの💛」
「げ……」
「貴方本当は大した事ないんじゃないの💛」
「げげげげげっ!!」

 どうやらカシム・レイジの衝撃波はネイバーズウインドーには通用しない事が実証された模様。
 これでカシム・レイジは怪光線と衝撃波による攻撃が眼前にいる魔法少女ネイバーズウインドーには一切通用しない事がはっきりした様子。

「いい加減観念しなさい💛ここまでやってくれたのだから徹底的にフルボッコにしてあげるわ💛」
「ひ!ひいいいいいいいっ」

 もはや打つ手無しと察したカシム・レイジに指をボキボキ鳴らしながら魔法少女ネイバーズウインドーが近づいてくる。
 この様子を見ていた一平も「こりゃ終わったな」と現状を報告すべく懐からスマートフォンを取り出して他の様子を調べてみる事にする。

「……高本さんですか?実はボスと連絡取ろうとしましたが応答がなくて……!?それは本当ですか」

 一平が高本と連絡している間、今にもネイバーズウインドーがカシム・レイジをフルボッコにしようとしていた。
 一歩一歩とその歩みを進めるネイバーズウインドー。
 そして……カシム・レイジとネイバーズウインドーが後数歩で至近距離になる時であった。
 カシム・レイジは思い出したかのように「待て小娘」と叫ぶ。
 それと同時に自分のスーツの懐から一枚の魔法陣カードを取り出した。

「これが何かわかるか!」
「それが何なの💛」
「もしコレを私が使えば呪いをかけている娘が死ぬぞ!それでもいいのか」

 そう、これぞ怪盗ストロベリーこと野空いちごの妹・野空のぞみに仕掛けた呪いのカードであった。
 もしこの魔法陣カードをカシム・レイジが起動すれば野空のぞみの命はない!
 流石に事の真実を知るネイバーズウインドーは足を止めるしかなかった。
 その隙にカシム・レイジはネイバーズウインドーに怪光線を発射!
 
「ぎゃあっ💛」

 流石にマトモに怪光線を受けて怯むネイバーズウインドー。

「チッ、光線も無傷という訳か「
「ひ、卑怯者💛」

 幸いにもネイバーズウインドーには怪光線も通用しなかったらしく無傷であった。
 しかしこれでネイバーズウインドーも迂闊に手を出せば人質の命は危ない。

「ハッハッハッ!正義の味方って辛いものだねぇ。他人の命が絡むと一切身動きがとれなくなるんだからねぇ」
「……💛」

 これで完全に形勢逆転。
 流石に人質をちらつかされたら迂闊に動けない。
 だが、そんな状況でただ一人一平だけは高笑いしながらカシム・レイジにこう言い放つ。

「……ならそのカード使ってみるがいいさ」
「!?なんだと」
「お兄ちゃん?💛」

 一平の言葉にカシム・レイジは無論の事ネイバーズウインドーも驚きを隠せない。

「お兄ちゃん💛それって何言ってるのかわかってるの💛」
「おいそこの刑事!もしかして頭がおかしくなったんじゃねぇのか」
「……正気だよ。そんなに俺がバカだと思うなら……そんなペラペラのカード使ったらどうだ?」
 
 一平は”そんなの知るか”とばかりにカシム・レイジを挑発する。
 そんな一平にネイバーズウインドーも「何を考えてる」と半狂乱だ。

「そんなに……そんなに私にコレを使わせたいのか糞刑事!」
「……どうぞどうぞ!そんなもので人一人の命奪えるなんて到底思えないがね」
「お兄ちゃん!!💛」

 度重なる一平の挑発。
 これにはカシム・レイジも堪忍袋の緒が切れた。
 もはや我慢の限界だ。

「おのれ!もう許さん。なら貴様の望み通りこのカードを用いてやる!」
「……はいはいわかりましたよペテン師さん」
「あ~っ!私もう知らない💛」

 カシム・レイジは手にした魔法陣カードを掲げて……詠唱する。
 これで野空のぞみの呪いは起動して死に至る訳であるが?

「?あれっ」

 本来ならば魔法陣カードは光を出して起動する筈。
 しかし魔法陣カードは起動処か光すら出てこない。
 これは一体どうゆう事なのか。

「……ハハハハハ!やはりこうなったか」
「お兄ちゃん💛」
「……いやぁ悪いなウインドーちゃん。完全に驚かせちゃったかな?」

 今一つ状況が理解できないネイバーズウインドーとカシム・レイジ。
 そして唯一この状況の理由を知る一平。
 同様しているカシム・レイジに一平はこう告げた。
 
「……日本の警察を甘く見たな。残念だがお前が用意していた人質にかけられた呪いは既に魔捜研が解除済みだ。だからそんなカード使ってももはや無意味なんだよ」
「な、なにっ」

 なんと野空のぞみにかけられた呪いは既に高本率いる魔捜研スタッフが解除済みであった。
 もはやカシム・レイジにとって最後の手段が失われた事を意味する。
 後は眼前にいるバカをフルボッコにした後で逮捕。
 その上でこの場にある盗品を押収して警視庁で暴れている怪盗ストロベリーを取り押さえれば全ては終わる。

「お兄ちゃんひどいなぁ💛」
「……悪い悪い!」
「でもいつの間にか人質解放してたなんてお兄ちゃん達もなかなかやるわぁ💛」
「……ウインドーちゃん!という訳だ。もう遠慮はいらないぞ」

 ネイバーズウインドーの表情がニヤリと笑う。
 もはや全ての切り札を失い打つ手無しのカシム・レイジ。
 こうなると後はどう料理するかの問題だ。

「いよいよおしまいみたいねオジサン💛」
「!?」
「さぁショータイムの始まりよ💛主役は勿論私で……オジサンがモルモットといった処かしら💛」

 こうして世にもえげつない悪党虐待劇場が今開幕する事となった。
 そして観客となる一平はその場に座り成り行きを見届ける事になる。

「……さて下にいる成瀬にそろそろ終わりそうだから応援回してもらうか。ここにある盗品の押収作業もしないといけないしな」


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