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第7章 -③
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彼の意見に頷いた栄太は言った。
「そうだ。問題が起こる覚悟はしていたし、それでもぶれずにやると決めたじゃないか。それでいいと思う。ただ今後続ける上で、障害で取り除けるものや、解決できる問題があれば一つずつでもしっかり潰しておく必要はある。今日は、それを話し合う場だったよな」
「そうだった。少し弱気になっていた。すまない。ぶれない心で辰馬君を信じ、自分達を信じて進もう。批判する奴らは単に私達の行動が邪魔で、足を引っ張りたいだけだから」
「そうですよ。亨先輩は偉くなったから、足を引っ張る人もいるでしょう。だけど評価する人もいるはずです。少なくとも女性社員の多くは、まだ支持していると思いますよ。登録者の減少だって一時的なものでしょう。痴漢に遭う恐怖が無くなった訳ではないですからね」
「私も由美さんに賛成。学校で登録を外したのは、親に言われてしょうがなくとか、そんな子ばっかり。ほとんどはタッチャンや栄太さん達のファンだし、CMTを信じているから」
未知留がそう言ったのは訳がある。テレビなどでも取り上げられる程の騒ぎになり、一部の保護者からのクレームを受けた学校側から、彼女の父親でありアプリ開発者でもある則夫が呼び出されたのだ。
それまで学校側は、アプリの存在を把握してはいたものの生徒達の評判が良かったこともあり、導入などに関しては黙認していた。
しかし今回の件を受け放置できなくなり、しっかり事情を聞き、把握しなければならないと判断したのだろう。
則夫が呼び出しを受けたと聞き、辰馬は元々の発案者として同席すると言いだした。それを受け、それなら二人だけでは心許ないから警察OBの肩書を持つ栄太も同行したほうがいいと準にアドバイスをされた。
それなら一流有名企業役員の肩書だって有効だという意見もでて、亨先輩を含め四人で学校に赴き、行動を始めたきっかけやその後鉄道会社や警察にも評価された実績、今後の展望などをとうとうと説明したのである。
その結果、学校からお咎めは受けずに済んだものの、あくまで登録は自己判断であり、何か問題が起きた場合の責任は学校側に無く、活動の中心である則夫や辰馬達で負うことを確約させられたのだ。
そうした流れから、アプリ登録を削除させられた生徒が一部で出たのである。
「そうだな。確かに未知留の学校の生徒で、登録から外れた子は少数で治まった。そういう意味では、最初に始めたCMTの信頼度は保たれていると思う」
「そうだよ。私も活動は正しいと思うし、感謝してくれる人は沢山いるから続けて欲しい」
フェスで助けられた経験によるものか、陽菜乃がそう告げた。
「そうや、則夫。それによう思いだせや。人が必要やというから、登録者の限定を緩和しただけやないか。足らんのなら、足りる面子だけでやれることをやればええ。そうやろ」
「そうだね。登録者数が増えるまでは、CMTとMMTの活動に重点を置こう。全体の登録者が減ったといっても男女共だし、それでも登録し続けてくれている人はいる。対象路線を減らして、その人達だけで出来る範囲はそのまま継続すればいいよね」
幹部会に出席している全員が頷いた。そこで栄太は発言した。
「よし。そうと決まれば、後は活動を続ける上での対策だな」
「うん。アプリ登録者は減少したけど、対応できる人数のバランスは問題ないと思う。それに登録者が絞られたおかげで、身元確認がしっかりできるようになったから、痴漢をするような輩が紛れ込む確率は低くなっているからね。そうなると注意すべき点は内部ではなく、CMTの行動を妨げようとする外部からの攻撃に対して、どう対処するかじゃないかな」
「アホないちゃもんは、無視すりゃぁええ」
辰馬はそう一蹴したが、則夫は苦笑しながら言った。
「いや、基本はそうだけど、黙っていてもしつこく絡んでくる奴らは必ずいるからね。CMTの面々に、全て無視しろと指示を出すのは難しいよ。最小限の反論は必要じゃないかな」
「則夫が言うように、あの時辰馬や俺も上げ足を取られないよう気を付けながら、多少は反論していたからな。といっても、それぞれの自己判断で対応させるのはリスクがある」
「だったら想定問答集を作ったらどうだろう。ある程度の受け答えや方針を決めて周知させれば、トラブルの発生を最小限に食い止められるんじゃないかな」
「亨先輩、それ、良いですね。これまで受けた言いがかりやネットでの書き込みを、運営側で分析して作成すればいいかも。大変だけど、活動を続けるには必要なアイテムだと思います。早速、明日にでも過去の映像や書き込みからピックアップして、取り掛かりますよ」
「俺の会社でも手伝おう。映像はそっちが持っているから、書き込みは任せろ」
則夫ばかりに負担がかかるのは悪い、と健吾が手を上げた。そこで二人は話し合い、これまであった誹謗中傷に関して弁護士が蓄積した情報も健吾に渡し、対応の分担を決めた。
小説家で、長年国語教師をしてきた言葉のプロである由美も参加すると言い出した。
「ネット関係は二人に任せたほうがいいね。だったら私は想定問答集の作成を手伝う」
「当麻さんが加わるなら良い雛型ができるだろう。だったらそのチェックは、うちと取引のある弁護士に私が依頼しよう。則夫君達の会社の顧問弁護士は、今別件で忙しいだろうから」
「そうか。健吾さんも前科の件で誹謗中傷を受けているからね。費用は幹部会で出せばいい。想定問答だったら、俺や竜も手伝える。当麻さんだけじゃ大変だから手伝うよ」
「頭を使う役目は準達なら適任だ。そうなると俺は何をすればいい」
栄太は拗ねたい気持ちを隠しながらそう尋ねると、則夫が答えてくれた。
「これまで同様、CMTやMMTメンバーへの連絡や教育をお願いします。あと警察や鉄道会社との連携も。実際現場で動いて経験値が高く信頼も厚い、栄太さんにしかできない役目です。僕らが分析し当麻さん達が完成させた想定問答集を配布すれば終わりではなく、周知徹底させないと意味がないですからね。それらが出来上がるまでも、事前の心構えや対応などは今出来る範囲で伝えて欲しいです」
「そう、今一番大変なのは現場だ。誹謗中傷に心が折れる登録者が続出しているし、これからも出て来る。それでも脱退せず続けてくれる面々は大事にしないと。その人達のケアは、裏で支援する私達では無理だ。同じ苦しみ、いやそれ以上の屈辱に耐えてきた栄太君だからこそ説得力が生まれる。実際うちの社員からも色々耳にしているからね。頼りにしているよ」
「そうそう。昔からタッチャンを知る人達は別格だけど、私の学校の子達で栄太さんのファンは結構多いんだから。守られる側からも信頼されている証拠でしょ」
「私もそう思う。フェスの時に色々話したけど、栄太さんへの信頼度は大きいって言ってた」
亨先輩に続き、未知留や陽菜乃までがそう言い持ち上げてくれた為、栄太は照れくさく頭を掻いた。
「そうや。みんな、ええこと言う。昔の俺らを知っとる奴らは別やが、知らん奴らにとって元警視庁所轄刑事の実績と肩書は大きいし、頼もしい姿を見せとる。信頼されて当然や」
辰馬にまでおだてられ、気恥ずかしくなり思わず関西弁で言い返した。
「分かったわ。俺にも役割があるんやったらええ。想定問答集が出来るまで、いま登録してくれとる面々と出来るだけコンタクトを取って、アホの因縁にも腰が引けんよう鍛えればええんやろ。任せとけ。それで逃げてく奴は、登録する資格がないっちゅうことや」
「おいおい、栄太。気合を入れるのはいいけど、やり過ぎはパワハラになるから注意してくれよ。それこそ脱退した面々に、理不尽なことを言われたなんて内部告発されたら元も子もない。前科者の俺とは違って、元警察官で今も公務員の一員だということを忘れるなよ」
「け、健吾に言われんでも、ちゃんと分かっとるわ。こういう口が利けるんは内輪だけや。一歩外へ出たら、俺は紳士やで」
「どこが紳士や。興奮したらすぐ関西弁になりよる。まあ俺より分かりやすうてええけどな」
「私は栄太さんの関西弁、好きだけどね。標準語で話す時より、人間味が出るからかな」
「未知留ちゃん、ええとこ気付いた。標準語で喋っとる栄太は東京に染まっとって、人間味が薄いんや。警察組織に長ごうおったさかい、余計やな。第一、目つきが冷たいやろ」
「辰馬、それはないだろう。さっきまで、あんなに褒めてくれたのに」
栄太が標準語に戻し嘆くと、彼はわざとらしく体を震わせた。
「ほら、これや。おお、怖い。これが元刑事の目や。元親衛隊長の目やない」
「元総長が何を言うとる。健吾らだけやなく、俺も昔に出会うた頃は相当どつかれたんやぞ」
「おっ、また関西弁に戻ったのう。しかもここで内部告発か。幹部内での分裂は致命的やぞ」
「もう勘弁してくれ、辰馬。分かった。俺の負けだ」
栄太が白旗を上げて項垂れると、皆が笑った。こうして幹部会はいつも通り深刻になり過ぎず、真剣ながらも和気あいあいと話し合いが繰り広げられたのである。
今後の方針が決まり、月曜日の朝を迎えて新たな活動が始まった。
といってもまだ想定問答集は作成されていない為、ある程度のやりとりと注意事項を当日集まったCMTの面々に伝えただけで、あとの行動はいつも通りだ。
その日、未知留が乗る電車に乗り込むCMTは、辰馬と栄太の他に十名いた。発足当初とほぼ変わらない数だが、他の時間帯の電車や路線の一部では、同時にMMTが動いている。
一時期に比べ縮小したとはいえ、それでも辰馬の意思を反映したアプリの導入が少しずつでも浸透している証拠だ。そう考えれば悲観することはない。
それでも風当たりは格段に違った。大学はまだ夏休み中の辰馬が、毎朝活動していると広まっていたからだろう。彼を狙う悪質なユーチューバー集団等が、わらわらと集まってきた。
七時十五分発の電車が来るのを、未知留の傍で待ちながらホームに立った時から、チラチラと目を向ける一部乗客が気になってはいた。
テレビなどでも取り扱われた為、辰馬や栄太の顔を知る人達だろうと思っていたが、どうやら違う。よく目を凝らすと、スマホでこちらを盗撮しているのだと分かった。しかもぼそぼそと何やら呟いている様子から、動画を撮りつつ実況か何かを録音しているようだ。
周りを見渡すと、そんな集団がいくつも点在していると分かった。だがそういう奴らは辰馬達と一定の距離を置き、決して近くに寄って絡んでくることは無かった。
「あいつら、一体何を企んどるんや。あの様子じゃあ、同じ電車に乗り込むつもりやぞ」
彼らの存在に気付いた辰馬がそう呟き栄太が頷くと、則夫からの声が耳に届いた。
「こちら本部。タッチャン達を撮影するユーチューバーらしき集団を五組確認。いま絡んでも、面白い映像は取れないからだと思う。乗り込む生徒達がそれなりに増えてから、何か仕掛けてくるかもしれない。事前に伝えた通り、挑発に乗ってトラブルを起こさないよう注意して。アプリ登録者には全員、運営側からメッセージを送っておく」
こういう事態が発生した際、事前に伝える文言をいくつか用意していた。CMT側だけではなく、守られる側も知っておけば心積もりができる。登録者にとって彼らは敵だと認識しているから、CMTが攻撃を受けた場合は、女性陣による援護射撃も得られるだろう。
特に未知留達の学校の生徒は、CMTに対する信頼度が極めて高い。悪質なユーチューバー達も、一般の女子高生達を敵に回すのは得策ではないと考えるはずだ。
とはいえ辰馬達に照準を合わせて来た集団となれば、その程度は調べているに違いない。よってそれなりの対応をしてくると予想された。そこでふと思い立ち、栄太が尋ねた。
「則夫。本部で確認できたのは、俺達の周りだけか。他の路線周辺に、動きはないのか」
「警戒するよう伝えているけど報告はないし、画像を見る限りでもまだ確認できていない」
「そうか。油断しないようそっちも引き続き、目を配っておくよう徹底して欲しい」
「了解」
と則夫が答えた後、ホームを上がり改札方面に向かう階段のほうから、下品な笑い声が聞こえて来た。
朝の通勤時間帯は人が多い為、多少ざわついてはいる。しかしほとんどの人は音楽を聴くかスマホを見るかして黙っていた。よってそうした集団はかなり目立つ。
「おい、栄太、あの声、前に聞いたことないか」
辰馬の問いかけに、しばらくして頷いた。
「ああ。フェスの時にいた奴だな。則夫。本部でも確認できるか」
少し経ち、栄太とは別のスマートグラスによる映像を見たのだろう。彼の声が届いた。
「間違いないね。コンチャイズムだ。フェスの後は、しばらく静かにしていたんだけどな」
「テレビで扱われて以降、俺達への批難が高まったからか、最近また騒ぎだしていただろう。だから嫌な予感はしていたんだよな。しかしまた直接来るとはいい度胸だ」
「何や、あんなアホを褒めとんのか」
「褒めてはない。けど厄介なのは確かだ。あいつら、俺らを相当目の敵にしてやがるからな」
「あれだけフェスで恥を掻かされたんや。いつかは反撃してくると思うとったわ」
「気を付けて。狙いは間違いなくタッチャン達だから。周囲のCMTは援護を宜しく」
則夫の指示を聞いたのか、視界内にいる何人かが頷いた。その中には、六月の痴漢逮捕騒ぎの際にいた田端の姿もあり、彼が声を出して言った。
「任せとけ。元親衛隊の名は伊達じゃないからな」
それを聞いて、栄太は溜息を付きながら声をかけた。
「おい、田端。お前、手は絶対出すな。そうなったら、相手の思う壺だぞ」
「分かっていますよ。俺だって再就職先の警備会社には、迷惑をかけられませんからね」
軽く受け答えた奴に、本当かと返したかったが思い止めた。昔を良く知る栄太としては心配しかなかったが、他のCMT達の手前、恥をかかせることもできない。
それに、もうあれから四十年以上経っている。還暦を過ぎたいい大人に説教できる立場でもないからだ。
そんなことを考えている内に、不快な声がどんどんと近づいて来た。乗車する為に並んでいた人達を押しのけて進む姿が目に入る。
「はい、ごめんなさいね。ちょっとどいてくれますか。ああ、いたいた。おいぼれヤクザもどきのタッチャンとその部下だ。久しぶりだね。元気だったか。じじい、良く生きていたな」
「何や、あん時のケツの青い若造か。釈放されて良かったのう。せやけど、今度悪さしたら逮捕するぞって、キツくお仕置きされたんとちゃうんか」
「起訴猶予になったと聞いたが、引き続き警察からマークされているそうじゃないか。こういう公の場で、大きな声を出して騒ぐのも迷惑防止条例違反だ。通報してやろうか」
辰馬に続いて栄太が睨みながら告げると、コンチャイズムの近藤が肩をすくめた。
「勘弁してくれよ。もう心を入れ替えたんだからよ」
言葉とは裏腹に、薄ら笑いを浮かべていた。明らかに何か企んでいる表情だ。
栄太は所轄時代の伝手を使い、事情聴取した刑事から近藤の身辺情報を得ていた。八王子出身の奴は母子家庭育ちで貧しく、幼い頃から苛められていたらしい。地元の不良の先輩達にこき使われ、万引きなどでの補導歴があった。恐らく彼らに利用されたのだろう。
またFランクと揶揄されている大学に何とか入り卒業したものの、就職氷河期時代の末期だったからか就職活動は上手くいかず、非正規雇用の仕事を続けながら今に至るそうだ。
元暴走族出身で、かつ六十過ぎで近藤より偏差値の高い大学に入り、経済的にも困らず過ごしながら周囲にもてはやされている辰馬を目の敵にする理由が、こうした背景にあるのかもしれない。
「ふんっ。心を入れ換えたにしては、目上に対する言葉遣いがなってないな。こんな朝の通勤ラッシュ時に、仲間を引きつれてどこへ行くつもりだ。会社勤めを始めたとは思えんが」
「これは担咲元警部補。そちらこそ、交番相談員のお仕事があるんじゃないのか」
「あるさ。ここが終わってからな。で、お前らは何をしにここへ来た」
「そうか。公務員は退職後も仕事が確保されているからいいねぇ。まあ、引き続き税金で飯を食ってんだから、その分はしっかり働いて貰わないと困るけどよ」
「そうだな。俺の仕事は、街の治安を守る警察官の補助だ。お前らのような社会のルールを破る奴がいれば、通報する義務がある。今は勤務時間外だが、言われた通り仕事をするか」
そう言ってスマホを取り出したが、近藤は慌てなかった。
「俺がいつルールを破ったのかな。ああ、警察はこうやって冤罪を産むのか」
「さっき、大声を出しとったやないか。それに、お前ら電車に乗るつもりなら、ちゃんと列の後ろに並べや。俺らの横に付いたまま割り込みするんなら、明らかなルール違反やろ」
辰馬が割って入り忠告した時、丁度待っていた電車がホームに入って来た。
「はいはい。並べばいいんだろ。図体はデカいのに細かくて、小うるさいじじいだよ」
捨て台詞を吐いた近藤は、周囲から反感を買うのを恐れたのか、列の後ろへと移動した。その後ろ姿を見ながら、栄太がマイクを通して指示を出す。
「この電車に乗るぞ。体制は打ち合わせ通り。各自位置に付き、俺達の後ろの近藤達とその他集団に気を付けろ。また挑発には乗らないよう注意してくれ。基本は無視だ。どう対応すればいいか分からない場合は、本部に問い合わせろ。その指示に従うように」
「了解」
と短く各自が応答し、乗り込む体制を取る。電車が停まりドアが開く。既に車両はかなり混雑していた。僅かに降りる人を待ち、並んでいた乗客達が一斉になだれ込む。
「大変混雑しております。車両ドア付近に立ち止まらず、電車の中ほどまでお進みください」
とのアナウンスは流れるが、毎度ながら従わない乗客は一定程度いる。
次、またはその次の駅で降りたい場合もあるだろうが、多くはそうで無い。中まで進むと囲まれて嫌なのか、単に入り口にいれば邪魔になると周囲を気遣う思考回路なんて元々ないのか、は不明だ。
よって毎回客による数の力で押し込まれ、皆が車両の中へと進む。辰馬はもちろん栄太達のようにそれなりの身長があり、体幹もそれほど弱くない人でさえ苦痛に思う時間帯だ。未知留のような身長が低い女性などは力に対抗できず、なす術もないまま人に埋もれてしまう。背の高い男性達に挟まれ、窒息しそうになることさえあるのだ。
今日はいつも居ないユーチューバー達がいるからだろうか、特に混雑が酷く感じた。
「未知留ちゃん、大丈夫か」
苦しまないよう、栄太達が間に入り緩衝材になろうとしたが、多勢に無勢で限界はあった。
「う、うん。大丈夫」
いつもより背後からの圧迫が激しい気がしたのは、近藤達が後ろにいる為かもしれない。栄太達との間にもCMTは二人いるが、それだけで十数倍の人数を押し返すのは無理だ。
何とかいつも通り車両の中ほどまで進み、別のドアから入って来た他のCMT達と合流する。
しかしその過程で、多少の衝突があったようだ。どうやらユーチューバー達が、CMTの周辺に立ちはだかったらしい。
「こいつら、俺達の邪魔をしようとしていますね」
ボソッと呟く声がイヤホンを通じて耳に入る。すかさず本部から指示が飛ぶ。
「強引に進めば因縁を付けられる。できるだけ流れに逆らわず、いつも通り進むように」
そうした忠告が功を奏した。ユーチューバー達も周囲の力を押し返す力はない。無理をすれば、逆に他の客から攻撃を受けてしまう。
また彼らとは違い、CMT達は何度も満員電車に乗り込んできた経験を持つ。かつ同じ時間の同じ車両に乗っている為、他の客のほとんどがこれまでと同じ面子だ。よって彼らの手助けも受けたらしく、危惧する程の混乱は何とか避けられ、予定の位置に付くことができた。
「あいつら、この時間帯の通勤ラッシュを舐めていたようだな」
「普段、経験してへんからやろ。毎朝早く起きて会社に行こうと電車に乗るような奴が、こんな時間に動画を回す真似なんかせえへんわな。そんなんしとる余裕なんてまずないやろ」
「しかし油断はできない。この時間帯を狙って来たんだ。必ず何か仕掛けてくるぞ」
「駅に着く度、他の女子生徒や登録者達が乗り込んで来る。その人達がこの車両中央へ近づく時が危ない。一緒に中へ入り込もうとしたら、出来るだけ防ぐように。但し無理はするな」
女生徒達に紛れて他の男性客がついてくることは、これまでも何度かあった。痴漢行為が目的か、単に押し込まれただけかは判別が難しい。
ただそんな他の客とアプリ登録者を分断する動きは、これまで再三繰り返してきた。
これもまたいつもと同じ乗客が周囲にいる場合が多く慣れている為、女生徒達は車両の中へ進む流れが出来ている点も大きい。皆、ただでさえ毎日の満員電車の中でストレスを抱えている。よって少しでもお互い邪魔をせず、楽に乗っていたいとの心理が働くのだろう。
だが今日は、ユーチューバーという異分子が入り込んでいる。それがどう影響するかは未知数だ。今のところ栄太達にとっては良い流れだが、今後どう動くか分からない。
そうしている間に次の駅で電車が停車し、降りる客が動き出す。ホームにいる客が乗り込むまでの短い時間、車内の混雑が緩和される。この隙に、CMT達は客の合間を縫って移動し、配置の微調整をした。
しかしそれは、奴らが動ける範囲も広がることを意味する。
「来たぞ。気を付けろ」
案の定、離れた場所に立っていたコンチャイズムが、辰馬達に近づいてきた。その手前で二名のCMTが立ちはだかり、それ以上進ませないようブロックする。
「おい、どけよ」
やはり絡んで来たようだ。それを無視し、彼らはそのままの位置をキープする。
「何だ、お前ら。耳にイヤホンを嵌めていやがるな。ということは、あのじじいの仲間か」
そう口にした瞬間、入り口から乗客がどっと押し寄せて来た。その勢いで両者がぶつかる。
「痛えな! おい! お前ら! どけ!」
こうなると言われた通り後退するしかない。しかし彼らを後ろに行かせないよう、壁となったまま流れに逆らわないよう移動する。
ドアから入った他の乗客達も中へと進もうとし、その中には学生服を着た数人の女生徒がいた。
彼女達はいつも通り、車両中央付近にいる背が高い坊主頭の辰馬を目印に、未知留達がいる場所へ進もうとする。それを周囲の乗客の多くが、何の抵抗もなくサポートしていく。
だが今日は少し状況が違った。近藤や他のユーチューバー達が立ちはだかったからだ。
「すみません。中に入れて貰えますか」
申し訳なさそうに、生徒の一人が小声で呟いた。そんな一言でも見知らぬ男性に対し、なかなか口にはできない。それでもCMTがいるからと、勇気を持って言葉を発したのだろう。
「ああ、ごめん。だけど、この前に立っている人が邪魔をするんでね。中に進めないんだよ」
コンチャイズムの近藤がそう言いながら、CMTのメンバーを睨んだ。別のドアから入った女子生徒にも、他のユーチューバー達が同じような声をかけている。
「やはりこいつら、グルかもしれないな」
栄太が忌々しいと思い呟くと、本部から再び指示が出た。
「できるだけ、女子生徒達だけ通すように。友達が中にいるのかと質問して下さい」
CMTの一人がその通りに聞くと、彼女達は黙ってうなずいた為、
「君達だけ中に入って」
と声をかけ通そうとした。
だが当然近藤達が割って入ろうとする。その動きを止めようとし、再び体同士がぶつかった。
「おい、痛いな。どけ」
しかしCMTメンバーは睨んだまま、返事をしない。そうして膠着状態は続くかと思ったが、次の駅に電車が到着し降りようとする客が動いた際、小柄な利点を生かした女生徒が隙を突いて中に入った。
「あっ、待て!」
その後をついて入ろうとする近藤をCMTが体で止め、周囲に聞こえる声で言った。
「今、あんた、待てって言った? 制服を着た女の子達の後を追いかけて、何をしようとしているんだ? なあ、ユーチューバーのコンチャイズムの近藤さんよ」
反対側で止められていた女子高生の近くでも同様のやりとりがあり、周囲がざわついた。
「なんで、こんなところにユーチューバーがいるんだよ」
「勝手に撮影しているんだったら、辞めて欲しいんだけど」
「もしかして、こいつら痴漢の仲間か?」
あちこちでそうした批難の声が挙がったからだろう。彼らは黙り、動きを止めた。フェスでの騒ぎなどでも、無関係の客を下手に刺激し敵に回せば厄介だと学んだのかもしれない。
そこで新たな乗客達がなだれ込んで来た。同じくここでも数人の女子生徒達が現れ、またアプリ登録者と思われるスーツ姿の女性も伴い、中に進もうとしていた。
しかも二十代半ばくらいの彼女達は笑顔でCMT達に近づくと、一人が声をかけて来た。
「あの、もしかしてあそこにいるのは辰馬さんと、栄太さんですよね」
「ああ、そうだけど」
一人がそう答えると、彼女は喜びを押さえた声を出した。
「嬉しい! 痴漢がいたら絶対捕まえて下さいね! 応援しています!」
少し離れた場所にいる栄太達がその言葉に黙って頷くと、近藤が割り込んで来た。
「何、あんた達。こんなやばいジジイ達を信用してんのかよ。そんな下着が透けて見えそうな服で歩いたら、盗撮されるかもしれないのに」
「何、この人達。あっ、ちょっと。勝手にスマホで撮らないでよ」
「辰馬さん達に絡んでいるユーチューバーじゃない。変なことしていると、警察呼ぶからね」
「そうよ。そうよ。CMTの活動を邪魔しないで。私達は辰馬さんに守って貰うから」
CMTの二人は、今度もコンチャイズム達の前に立ちはだかりつつ、彼女達を通そうとした。乗り込んで来た人数が多すぎて、他の男性乗客と共に中へと進ませる。
「それでいい。中は中でブロックしてくれ」
本部の指示通り、栄太達は未知留に近づいて来た女生徒や女性客といった登録者を一塊にさせた後、彼女達に背を向けつつ他の男性客達の間に体を押し込み、壁を作る。
体制としては八名で取り囲み、少し離れた場所で二名ずつが待機し、ドアから入って来る女性客などを中に通す二番目の壁になっていた。
しかし今や両側にいた四名は、それぞれユーチューバーの前に立ちふさがる役目で精一杯だ。それでも本部は問題ないと判断したらしい。
「おはよう!」
「おはようございます!」
未知留達が明るく挨拶を交わし合う。いつもの光景だが、元気な彼女達の姿を見ているだけで、栄太は心が洗われる気がした。
しかし今日は、そこから不穏な会話が交わされる。
「ねぇねぇ。駅に変な人達がいなかった?」
「変な人って? 痴漢じゃなく?」
「そうじゃないと思うけど、スマホで撮影している人達」
「ああ、それ、ユーチューバーでしょ。いたいた。駅員が声をかけて注意してくれたから、どっかへ行ったけど、あれ、何だったのかな」
「えっ、あなた達、アプリの連絡を見てないの。今日、何組か現れているんだよ。この車両にも乗って来たんだから。あっちの方に、コンチャイズムまで来ちゃってさ」
未知留が聞こえよがしに言った為、車内がざわついた。
「そうだ。問題が起こる覚悟はしていたし、それでもぶれずにやると決めたじゃないか。それでいいと思う。ただ今後続ける上で、障害で取り除けるものや、解決できる問題があれば一つずつでもしっかり潰しておく必要はある。今日は、それを話し合う場だったよな」
「そうだった。少し弱気になっていた。すまない。ぶれない心で辰馬君を信じ、自分達を信じて進もう。批判する奴らは単に私達の行動が邪魔で、足を引っ張りたいだけだから」
「そうですよ。亨先輩は偉くなったから、足を引っ張る人もいるでしょう。だけど評価する人もいるはずです。少なくとも女性社員の多くは、まだ支持していると思いますよ。登録者の減少だって一時的なものでしょう。痴漢に遭う恐怖が無くなった訳ではないですからね」
「私も由美さんに賛成。学校で登録を外したのは、親に言われてしょうがなくとか、そんな子ばっかり。ほとんどはタッチャンや栄太さん達のファンだし、CMTを信じているから」
未知留がそう言ったのは訳がある。テレビなどでも取り上げられる程の騒ぎになり、一部の保護者からのクレームを受けた学校側から、彼女の父親でありアプリ開発者でもある則夫が呼び出されたのだ。
それまで学校側は、アプリの存在を把握してはいたものの生徒達の評判が良かったこともあり、導入などに関しては黙認していた。
しかし今回の件を受け放置できなくなり、しっかり事情を聞き、把握しなければならないと判断したのだろう。
則夫が呼び出しを受けたと聞き、辰馬は元々の発案者として同席すると言いだした。それを受け、それなら二人だけでは心許ないから警察OBの肩書を持つ栄太も同行したほうがいいと準にアドバイスをされた。
それなら一流有名企業役員の肩書だって有効だという意見もでて、亨先輩を含め四人で学校に赴き、行動を始めたきっかけやその後鉄道会社や警察にも評価された実績、今後の展望などをとうとうと説明したのである。
その結果、学校からお咎めは受けずに済んだものの、あくまで登録は自己判断であり、何か問題が起きた場合の責任は学校側に無く、活動の中心である則夫や辰馬達で負うことを確約させられたのだ。
そうした流れから、アプリ登録を削除させられた生徒が一部で出たのである。
「そうだな。確かに未知留の学校の生徒で、登録から外れた子は少数で治まった。そういう意味では、最初に始めたCMTの信頼度は保たれていると思う」
「そうだよ。私も活動は正しいと思うし、感謝してくれる人は沢山いるから続けて欲しい」
フェスで助けられた経験によるものか、陽菜乃がそう告げた。
「そうや、則夫。それによう思いだせや。人が必要やというから、登録者の限定を緩和しただけやないか。足らんのなら、足りる面子だけでやれることをやればええ。そうやろ」
「そうだね。登録者数が増えるまでは、CMTとMMTの活動に重点を置こう。全体の登録者が減ったといっても男女共だし、それでも登録し続けてくれている人はいる。対象路線を減らして、その人達だけで出来る範囲はそのまま継続すればいいよね」
幹部会に出席している全員が頷いた。そこで栄太は発言した。
「よし。そうと決まれば、後は活動を続ける上での対策だな」
「うん。アプリ登録者は減少したけど、対応できる人数のバランスは問題ないと思う。それに登録者が絞られたおかげで、身元確認がしっかりできるようになったから、痴漢をするような輩が紛れ込む確率は低くなっているからね。そうなると注意すべき点は内部ではなく、CMTの行動を妨げようとする外部からの攻撃に対して、どう対処するかじゃないかな」
「アホないちゃもんは、無視すりゃぁええ」
辰馬はそう一蹴したが、則夫は苦笑しながら言った。
「いや、基本はそうだけど、黙っていてもしつこく絡んでくる奴らは必ずいるからね。CMTの面々に、全て無視しろと指示を出すのは難しいよ。最小限の反論は必要じゃないかな」
「則夫が言うように、あの時辰馬や俺も上げ足を取られないよう気を付けながら、多少は反論していたからな。といっても、それぞれの自己判断で対応させるのはリスクがある」
「だったら想定問答集を作ったらどうだろう。ある程度の受け答えや方針を決めて周知させれば、トラブルの発生を最小限に食い止められるんじゃないかな」
「亨先輩、それ、良いですね。これまで受けた言いがかりやネットでの書き込みを、運営側で分析して作成すればいいかも。大変だけど、活動を続けるには必要なアイテムだと思います。早速、明日にでも過去の映像や書き込みからピックアップして、取り掛かりますよ」
「俺の会社でも手伝おう。映像はそっちが持っているから、書き込みは任せろ」
則夫ばかりに負担がかかるのは悪い、と健吾が手を上げた。そこで二人は話し合い、これまであった誹謗中傷に関して弁護士が蓄積した情報も健吾に渡し、対応の分担を決めた。
小説家で、長年国語教師をしてきた言葉のプロである由美も参加すると言い出した。
「ネット関係は二人に任せたほうがいいね。だったら私は想定問答集の作成を手伝う」
「当麻さんが加わるなら良い雛型ができるだろう。だったらそのチェックは、うちと取引のある弁護士に私が依頼しよう。則夫君達の会社の顧問弁護士は、今別件で忙しいだろうから」
「そうか。健吾さんも前科の件で誹謗中傷を受けているからね。費用は幹部会で出せばいい。想定問答だったら、俺や竜も手伝える。当麻さんだけじゃ大変だから手伝うよ」
「頭を使う役目は準達なら適任だ。そうなると俺は何をすればいい」
栄太は拗ねたい気持ちを隠しながらそう尋ねると、則夫が答えてくれた。
「これまで同様、CMTやMMTメンバーへの連絡や教育をお願いします。あと警察や鉄道会社との連携も。実際現場で動いて経験値が高く信頼も厚い、栄太さんにしかできない役目です。僕らが分析し当麻さん達が完成させた想定問答集を配布すれば終わりではなく、周知徹底させないと意味がないですからね。それらが出来上がるまでも、事前の心構えや対応などは今出来る範囲で伝えて欲しいです」
「そう、今一番大変なのは現場だ。誹謗中傷に心が折れる登録者が続出しているし、これからも出て来る。それでも脱退せず続けてくれる面々は大事にしないと。その人達のケアは、裏で支援する私達では無理だ。同じ苦しみ、いやそれ以上の屈辱に耐えてきた栄太君だからこそ説得力が生まれる。実際うちの社員からも色々耳にしているからね。頼りにしているよ」
「そうそう。昔からタッチャンを知る人達は別格だけど、私の学校の子達で栄太さんのファンは結構多いんだから。守られる側からも信頼されている証拠でしょ」
「私もそう思う。フェスの時に色々話したけど、栄太さんへの信頼度は大きいって言ってた」
亨先輩に続き、未知留や陽菜乃までがそう言い持ち上げてくれた為、栄太は照れくさく頭を掻いた。
「そうや。みんな、ええこと言う。昔の俺らを知っとる奴らは別やが、知らん奴らにとって元警視庁所轄刑事の実績と肩書は大きいし、頼もしい姿を見せとる。信頼されて当然や」
辰馬にまでおだてられ、気恥ずかしくなり思わず関西弁で言い返した。
「分かったわ。俺にも役割があるんやったらええ。想定問答集が出来るまで、いま登録してくれとる面々と出来るだけコンタクトを取って、アホの因縁にも腰が引けんよう鍛えればええんやろ。任せとけ。それで逃げてく奴は、登録する資格がないっちゅうことや」
「おいおい、栄太。気合を入れるのはいいけど、やり過ぎはパワハラになるから注意してくれよ。それこそ脱退した面々に、理不尽なことを言われたなんて内部告発されたら元も子もない。前科者の俺とは違って、元警察官で今も公務員の一員だということを忘れるなよ」
「け、健吾に言われんでも、ちゃんと分かっとるわ。こういう口が利けるんは内輪だけや。一歩外へ出たら、俺は紳士やで」
「どこが紳士や。興奮したらすぐ関西弁になりよる。まあ俺より分かりやすうてええけどな」
「私は栄太さんの関西弁、好きだけどね。標準語で話す時より、人間味が出るからかな」
「未知留ちゃん、ええとこ気付いた。標準語で喋っとる栄太は東京に染まっとって、人間味が薄いんや。警察組織に長ごうおったさかい、余計やな。第一、目つきが冷たいやろ」
「辰馬、それはないだろう。さっきまで、あんなに褒めてくれたのに」
栄太が標準語に戻し嘆くと、彼はわざとらしく体を震わせた。
「ほら、これや。おお、怖い。これが元刑事の目や。元親衛隊長の目やない」
「元総長が何を言うとる。健吾らだけやなく、俺も昔に出会うた頃は相当どつかれたんやぞ」
「おっ、また関西弁に戻ったのう。しかもここで内部告発か。幹部内での分裂は致命的やぞ」
「もう勘弁してくれ、辰馬。分かった。俺の負けだ」
栄太が白旗を上げて項垂れると、皆が笑った。こうして幹部会はいつも通り深刻になり過ぎず、真剣ながらも和気あいあいと話し合いが繰り広げられたのである。
今後の方針が決まり、月曜日の朝を迎えて新たな活動が始まった。
といってもまだ想定問答集は作成されていない為、ある程度のやりとりと注意事項を当日集まったCMTの面々に伝えただけで、あとの行動はいつも通りだ。
その日、未知留が乗る電車に乗り込むCMTは、辰馬と栄太の他に十名いた。発足当初とほぼ変わらない数だが、他の時間帯の電車や路線の一部では、同時にMMTが動いている。
一時期に比べ縮小したとはいえ、それでも辰馬の意思を反映したアプリの導入が少しずつでも浸透している証拠だ。そう考えれば悲観することはない。
それでも風当たりは格段に違った。大学はまだ夏休み中の辰馬が、毎朝活動していると広まっていたからだろう。彼を狙う悪質なユーチューバー集団等が、わらわらと集まってきた。
七時十五分発の電車が来るのを、未知留の傍で待ちながらホームに立った時から、チラチラと目を向ける一部乗客が気になってはいた。
テレビなどでも取り扱われた為、辰馬や栄太の顔を知る人達だろうと思っていたが、どうやら違う。よく目を凝らすと、スマホでこちらを盗撮しているのだと分かった。しかもぼそぼそと何やら呟いている様子から、動画を撮りつつ実況か何かを録音しているようだ。
周りを見渡すと、そんな集団がいくつも点在していると分かった。だがそういう奴らは辰馬達と一定の距離を置き、決して近くに寄って絡んでくることは無かった。
「あいつら、一体何を企んどるんや。あの様子じゃあ、同じ電車に乗り込むつもりやぞ」
彼らの存在に気付いた辰馬がそう呟き栄太が頷くと、則夫からの声が耳に届いた。
「こちら本部。タッチャン達を撮影するユーチューバーらしき集団を五組確認。いま絡んでも、面白い映像は取れないからだと思う。乗り込む生徒達がそれなりに増えてから、何か仕掛けてくるかもしれない。事前に伝えた通り、挑発に乗ってトラブルを起こさないよう注意して。アプリ登録者には全員、運営側からメッセージを送っておく」
こういう事態が発生した際、事前に伝える文言をいくつか用意していた。CMT側だけではなく、守られる側も知っておけば心積もりができる。登録者にとって彼らは敵だと認識しているから、CMTが攻撃を受けた場合は、女性陣による援護射撃も得られるだろう。
特に未知留達の学校の生徒は、CMTに対する信頼度が極めて高い。悪質なユーチューバー達も、一般の女子高生達を敵に回すのは得策ではないと考えるはずだ。
とはいえ辰馬達に照準を合わせて来た集団となれば、その程度は調べているに違いない。よってそれなりの対応をしてくると予想された。そこでふと思い立ち、栄太が尋ねた。
「則夫。本部で確認できたのは、俺達の周りだけか。他の路線周辺に、動きはないのか」
「警戒するよう伝えているけど報告はないし、画像を見る限りでもまだ確認できていない」
「そうか。油断しないようそっちも引き続き、目を配っておくよう徹底して欲しい」
「了解」
と則夫が答えた後、ホームを上がり改札方面に向かう階段のほうから、下品な笑い声が聞こえて来た。
朝の通勤時間帯は人が多い為、多少ざわついてはいる。しかしほとんどの人は音楽を聴くかスマホを見るかして黙っていた。よってそうした集団はかなり目立つ。
「おい、栄太、あの声、前に聞いたことないか」
辰馬の問いかけに、しばらくして頷いた。
「ああ。フェスの時にいた奴だな。則夫。本部でも確認できるか」
少し経ち、栄太とは別のスマートグラスによる映像を見たのだろう。彼の声が届いた。
「間違いないね。コンチャイズムだ。フェスの後は、しばらく静かにしていたんだけどな」
「テレビで扱われて以降、俺達への批難が高まったからか、最近また騒ぎだしていただろう。だから嫌な予感はしていたんだよな。しかしまた直接来るとはいい度胸だ」
「何や、あんなアホを褒めとんのか」
「褒めてはない。けど厄介なのは確かだ。あいつら、俺らを相当目の敵にしてやがるからな」
「あれだけフェスで恥を掻かされたんや。いつかは反撃してくると思うとったわ」
「気を付けて。狙いは間違いなくタッチャン達だから。周囲のCMTは援護を宜しく」
則夫の指示を聞いたのか、視界内にいる何人かが頷いた。その中には、六月の痴漢逮捕騒ぎの際にいた田端の姿もあり、彼が声を出して言った。
「任せとけ。元親衛隊の名は伊達じゃないからな」
それを聞いて、栄太は溜息を付きながら声をかけた。
「おい、田端。お前、手は絶対出すな。そうなったら、相手の思う壺だぞ」
「分かっていますよ。俺だって再就職先の警備会社には、迷惑をかけられませんからね」
軽く受け答えた奴に、本当かと返したかったが思い止めた。昔を良く知る栄太としては心配しかなかったが、他のCMT達の手前、恥をかかせることもできない。
それに、もうあれから四十年以上経っている。還暦を過ぎたいい大人に説教できる立場でもないからだ。
そんなことを考えている内に、不快な声がどんどんと近づいて来た。乗車する為に並んでいた人達を押しのけて進む姿が目に入る。
「はい、ごめんなさいね。ちょっとどいてくれますか。ああ、いたいた。おいぼれヤクザもどきのタッチャンとその部下だ。久しぶりだね。元気だったか。じじい、良く生きていたな」
「何や、あん時のケツの青い若造か。釈放されて良かったのう。せやけど、今度悪さしたら逮捕するぞって、キツくお仕置きされたんとちゃうんか」
「起訴猶予になったと聞いたが、引き続き警察からマークされているそうじゃないか。こういう公の場で、大きな声を出して騒ぐのも迷惑防止条例違反だ。通報してやろうか」
辰馬に続いて栄太が睨みながら告げると、コンチャイズムの近藤が肩をすくめた。
「勘弁してくれよ。もう心を入れ替えたんだからよ」
言葉とは裏腹に、薄ら笑いを浮かべていた。明らかに何か企んでいる表情だ。
栄太は所轄時代の伝手を使い、事情聴取した刑事から近藤の身辺情報を得ていた。八王子出身の奴は母子家庭育ちで貧しく、幼い頃から苛められていたらしい。地元の不良の先輩達にこき使われ、万引きなどでの補導歴があった。恐らく彼らに利用されたのだろう。
またFランクと揶揄されている大学に何とか入り卒業したものの、就職氷河期時代の末期だったからか就職活動は上手くいかず、非正規雇用の仕事を続けながら今に至るそうだ。
元暴走族出身で、かつ六十過ぎで近藤より偏差値の高い大学に入り、経済的にも困らず過ごしながら周囲にもてはやされている辰馬を目の敵にする理由が、こうした背景にあるのかもしれない。
「ふんっ。心を入れ換えたにしては、目上に対する言葉遣いがなってないな。こんな朝の通勤ラッシュ時に、仲間を引きつれてどこへ行くつもりだ。会社勤めを始めたとは思えんが」
「これは担咲元警部補。そちらこそ、交番相談員のお仕事があるんじゃないのか」
「あるさ。ここが終わってからな。で、お前らは何をしにここへ来た」
「そうか。公務員は退職後も仕事が確保されているからいいねぇ。まあ、引き続き税金で飯を食ってんだから、その分はしっかり働いて貰わないと困るけどよ」
「そうだな。俺の仕事は、街の治安を守る警察官の補助だ。お前らのような社会のルールを破る奴がいれば、通報する義務がある。今は勤務時間外だが、言われた通り仕事をするか」
そう言ってスマホを取り出したが、近藤は慌てなかった。
「俺がいつルールを破ったのかな。ああ、警察はこうやって冤罪を産むのか」
「さっき、大声を出しとったやないか。それに、お前ら電車に乗るつもりなら、ちゃんと列の後ろに並べや。俺らの横に付いたまま割り込みするんなら、明らかなルール違反やろ」
辰馬が割って入り忠告した時、丁度待っていた電車がホームに入って来た。
「はいはい。並べばいいんだろ。図体はデカいのに細かくて、小うるさいじじいだよ」
捨て台詞を吐いた近藤は、周囲から反感を買うのを恐れたのか、列の後ろへと移動した。その後ろ姿を見ながら、栄太がマイクを通して指示を出す。
「この電車に乗るぞ。体制は打ち合わせ通り。各自位置に付き、俺達の後ろの近藤達とその他集団に気を付けろ。また挑発には乗らないよう注意してくれ。基本は無視だ。どう対応すればいいか分からない場合は、本部に問い合わせろ。その指示に従うように」
「了解」
と短く各自が応答し、乗り込む体制を取る。電車が停まりドアが開く。既に車両はかなり混雑していた。僅かに降りる人を待ち、並んでいた乗客達が一斉になだれ込む。
「大変混雑しております。車両ドア付近に立ち止まらず、電車の中ほどまでお進みください」
とのアナウンスは流れるが、毎度ながら従わない乗客は一定程度いる。
次、またはその次の駅で降りたい場合もあるだろうが、多くはそうで無い。中まで進むと囲まれて嫌なのか、単に入り口にいれば邪魔になると周囲を気遣う思考回路なんて元々ないのか、は不明だ。
よって毎回客による数の力で押し込まれ、皆が車両の中へと進む。辰馬はもちろん栄太達のようにそれなりの身長があり、体幹もそれほど弱くない人でさえ苦痛に思う時間帯だ。未知留のような身長が低い女性などは力に対抗できず、なす術もないまま人に埋もれてしまう。背の高い男性達に挟まれ、窒息しそうになることさえあるのだ。
今日はいつも居ないユーチューバー達がいるからだろうか、特に混雑が酷く感じた。
「未知留ちゃん、大丈夫か」
苦しまないよう、栄太達が間に入り緩衝材になろうとしたが、多勢に無勢で限界はあった。
「う、うん。大丈夫」
いつもより背後からの圧迫が激しい気がしたのは、近藤達が後ろにいる為かもしれない。栄太達との間にもCMTは二人いるが、それだけで十数倍の人数を押し返すのは無理だ。
何とかいつも通り車両の中ほどまで進み、別のドアから入って来た他のCMT達と合流する。
しかしその過程で、多少の衝突があったようだ。どうやらユーチューバー達が、CMTの周辺に立ちはだかったらしい。
「こいつら、俺達の邪魔をしようとしていますね」
ボソッと呟く声がイヤホンを通じて耳に入る。すかさず本部から指示が飛ぶ。
「強引に進めば因縁を付けられる。できるだけ流れに逆らわず、いつも通り進むように」
そうした忠告が功を奏した。ユーチューバー達も周囲の力を押し返す力はない。無理をすれば、逆に他の客から攻撃を受けてしまう。
また彼らとは違い、CMT達は何度も満員電車に乗り込んできた経験を持つ。かつ同じ時間の同じ車両に乗っている為、他の客のほとんどがこれまでと同じ面子だ。よって彼らの手助けも受けたらしく、危惧する程の混乱は何とか避けられ、予定の位置に付くことができた。
「あいつら、この時間帯の通勤ラッシュを舐めていたようだな」
「普段、経験してへんからやろ。毎朝早く起きて会社に行こうと電車に乗るような奴が、こんな時間に動画を回す真似なんかせえへんわな。そんなんしとる余裕なんてまずないやろ」
「しかし油断はできない。この時間帯を狙って来たんだ。必ず何か仕掛けてくるぞ」
「駅に着く度、他の女子生徒や登録者達が乗り込んで来る。その人達がこの車両中央へ近づく時が危ない。一緒に中へ入り込もうとしたら、出来るだけ防ぐように。但し無理はするな」
女生徒達に紛れて他の男性客がついてくることは、これまでも何度かあった。痴漢行為が目的か、単に押し込まれただけかは判別が難しい。
ただそんな他の客とアプリ登録者を分断する動きは、これまで再三繰り返してきた。
これもまたいつもと同じ乗客が周囲にいる場合が多く慣れている為、女生徒達は車両の中へ進む流れが出来ている点も大きい。皆、ただでさえ毎日の満員電車の中でストレスを抱えている。よって少しでもお互い邪魔をせず、楽に乗っていたいとの心理が働くのだろう。
だが今日は、ユーチューバーという異分子が入り込んでいる。それがどう影響するかは未知数だ。今のところ栄太達にとっては良い流れだが、今後どう動くか分からない。
そうしている間に次の駅で電車が停車し、降りる客が動き出す。ホームにいる客が乗り込むまでの短い時間、車内の混雑が緩和される。この隙に、CMT達は客の合間を縫って移動し、配置の微調整をした。
しかしそれは、奴らが動ける範囲も広がることを意味する。
「来たぞ。気を付けろ」
案の定、離れた場所に立っていたコンチャイズムが、辰馬達に近づいてきた。その手前で二名のCMTが立ちはだかり、それ以上進ませないようブロックする。
「おい、どけよ」
やはり絡んで来たようだ。それを無視し、彼らはそのままの位置をキープする。
「何だ、お前ら。耳にイヤホンを嵌めていやがるな。ということは、あのじじいの仲間か」
そう口にした瞬間、入り口から乗客がどっと押し寄せて来た。その勢いで両者がぶつかる。
「痛えな! おい! お前ら! どけ!」
こうなると言われた通り後退するしかない。しかし彼らを後ろに行かせないよう、壁となったまま流れに逆らわないよう移動する。
ドアから入った他の乗客達も中へと進もうとし、その中には学生服を着た数人の女生徒がいた。
彼女達はいつも通り、車両中央付近にいる背が高い坊主頭の辰馬を目印に、未知留達がいる場所へ進もうとする。それを周囲の乗客の多くが、何の抵抗もなくサポートしていく。
だが今日は少し状況が違った。近藤や他のユーチューバー達が立ちはだかったからだ。
「すみません。中に入れて貰えますか」
申し訳なさそうに、生徒の一人が小声で呟いた。そんな一言でも見知らぬ男性に対し、なかなか口にはできない。それでもCMTがいるからと、勇気を持って言葉を発したのだろう。
「ああ、ごめん。だけど、この前に立っている人が邪魔をするんでね。中に進めないんだよ」
コンチャイズムの近藤がそう言いながら、CMTのメンバーを睨んだ。別のドアから入った女子生徒にも、他のユーチューバー達が同じような声をかけている。
「やはりこいつら、グルかもしれないな」
栄太が忌々しいと思い呟くと、本部から再び指示が出た。
「できるだけ、女子生徒達だけ通すように。友達が中にいるのかと質問して下さい」
CMTの一人がその通りに聞くと、彼女達は黙ってうなずいた為、
「君達だけ中に入って」
と声をかけ通そうとした。
だが当然近藤達が割って入ろうとする。その動きを止めようとし、再び体同士がぶつかった。
「おい、痛いな。どけ」
しかしCMTメンバーは睨んだまま、返事をしない。そうして膠着状態は続くかと思ったが、次の駅に電車が到着し降りようとする客が動いた際、小柄な利点を生かした女生徒が隙を突いて中に入った。
「あっ、待て!」
その後をついて入ろうとする近藤をCMTが体で止め、周囲に聞こえる声で言った。
「今、あんた、待てって言った? 制服を着た女の子達の後を追いかけて、何をしようとしているんだ? なあ、ユーチューバーのコンチャイズムの近藤さんよ」
反対側で止められていた女子高生の近くでも同様のやりとりがあり、周囲がざわついた。
「なんで、こんなところにユーチューバーがいるんだよ」
「勝手に撮影しているんだったら、辞めて欲しいんだけど」
「もしかして、こいつら痴漢の仲間か?」
あちこちでそうした批難の声が挙がったからだろう。彼らは黙り、動きを止めた。フェスでの騒ぎなどでも、無関係の客を下手に刺激し敵に回せば厄介だと学んだのかもしれない。
そこで新たな乗客達がなだれ込んで来た。同じくここでも数人の女子生徒達が現れ、またアプリ登録者と思われるスーツ姿の女性も伴い、中に進もうとしていた。
しかも二十代半ばくらいの彼女達は笑顔でCMT達に近づくと、一人が声をかけて来た。
「あの、もしかしてあそこにいるのは辰馬さんと、栄太さんですよね」
「ああ、そうだけど」
一人がそう答えると、彼女は喜びを押さえた声を出した。
「嬉しい! 痴漢がいたら絶対捕まえて下さいね! 応援しています!」
少し離れた場所にいる栄太達がその言葉に黙って頷くと、近藤が割り込んで来た。
「何、あんた達。こんなやばいジジイ達を信用してんのかよ。そんな下着が透けて見えそうな服で歩いたら、盗撮されるかもしれないのに」
「何、この人達。あっ、ちょっと。勝手にスマホで撮らないでよ」
「辰馬さん達に絡んでいるユーチューバーじゃない。変なことしていると、警察呼ぶからね」
「そうよ。そうよ。CMTの活動を邪魔しないで。私達は辰馬さんに守って貰うから」
CMTの二人は、今度もコンチャイズム達の前に立ちはだかりつつ、彼女達を通そうとした。乗り込んで来た人数が多すぎて、他の男性乗客と共に中へと進ませる。
「それでいい。中は中でブロックしてくれ」
本部の指示通り、栄太達は未知留に近づいて来た女生徒や女性客といった登録者を一塊にさせた後、彼女達に背を向けつつ他の男性客達の間に体を押し込み、壁を作る。
体制としては八名で取り囲み、少し離れた場所で二名ずつが待機し、ドアから入って来る女性客などを中に通す二番目の壁になっていた。
しかし今や両側にいた四名は、それぞれユーチューバーの前に立ちふさがる役目で精一杯だ。それでも本部は問題ないと判断したらしい。
「おはよう!」
「おはようございます!」
未知留達が明るく挨拶を交わし合う。いつもの光景だが、元気な彼女達の姿を見ているだけで、栄太は心が洗われる気がした。
しかし今日は、そこから不穏な会話が交わされる。
「ねぇねぇ。駅に変な人達がいなかった?」
「変な人って? 痴漢じゃなく?」
「そうじゃないと思うけど、スマホで撮影している人達」
「ああ、それ、ユーチューバーでしょ。いたいた。駅員が声をかけて注意してくれたから、どっかへ行ったけど、あれ、何だったのかな」
「えっ、あなた達、アプリの連絡を見てないの。今日、何組か現れているんだよ。この車両にも乗って来たんだから。あっちの方に、コンチャイズムまで来ちゃってさ」
未知留が聞こえよがしに言った為、車内がざわついた。
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