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第2章 波乱のギルド検定試験
cys:31 ルミが消えた
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「なぁルミ、そろそろいいだろ」
ノーティスがルミに手を引かれたまま勘弁してくれという顔でボヤくと、ルミはしぶしぶ手を離した。
「もうっ! ノーティス様がレイ様にデレデレしてるのがいけないんですからね」
「いやいや、全然デレデレしてないじゃん」
ノーティスが訴えるような顔を向けると、ルミは胸の前で腕を組み、ちょっと火照らせた顔をプイッとさせた。
「いーえ、してました」
そう言って聞かないルミ。
頬にとはいえノーティスが他の女にキスされたのが、ルミは本当にイヤだったのだ。
前にアンリからもあったが、レイのはそれと違うのを感じたから特にそう。
───もうありえん。本当にありえん。あーーっ、でもノーティス様に、こんな態度取っちゃう自分もイヤだ……
ノーティスは、そんなルミを見ながら参ったなという顔を浮かべ、目を閉じながら片手で頭をクシャクシャッと掻く。
「あーーーじゃあもう、どう言やいいんだよ。ったく……!」
ノーティスがそう零した瞬間、ルミの足元から薄いピンク色の光が地面から立ち昇ってきた。
───えっ?何これ。
ルミはそれを考える間もなく光に包まれた。
そしてノーティスが目を開けると、今側にいたハズのルミは消えていたのだ。
「えっ? あっ? ルミ? どこ?」
ノーティスは慌てて周りをキョロキョロ見渡したが、ルミの姿はどこにも見当たらない。
まるで、神隠しにでも会ったかのように。
「消えた……いやいや、えっ? そんなバカな……!!」
ノーティスは何がなんだか分からなかったが、突如消えてしまったルミを探しに走り始めた。
◆◆◆
「あれっ?」
ルミは、突然目の前の景色が変わった事に目を丸くして周りを見渡すと、ここは恐らくどこかの部屋である事が分かった。
大きな本棚にはたくさんの魔導書らしき物が並べられ、妖し気な機械や水晶が目に映ったから。
もちろん、ルミもなんでいきなりここへ来てしまったのか、本当にさっぱり分からず、頭の処理が追いつかない。
「えっと……ちょっと待って。落ち着いて。私は、今の今までノーティス様と一緒にいたハズ……で?」
ルミが目をパチクリさせながら、そう零した瞬間だった。
「よく来たニャ♪」
「きゃあっ!」
突然後ろから声をかけられたルミは、身体をビクッ! とさせ声の方を振り向いた。
するとそこには、エキゾチックな風貌の美女が、ルミをニヤニヤしながら楽しそうに見つめている姿が。
「あっ、アナタは王宮魔導士のアンリ様!」
「おーーーよくぞ覚えててくれたのルミ。流石だニャ♪ 感心感心」
ご機嫌な顔のアンリに、ルミは確かめる様な顔を向ける。
「あの……もしかして、ここに召喚させたのはアンリ様ですか?」
「そうニャ♪」
全く悪びれる事なくニパッとした笑顔で答えたアンリに、ルミは身を少し乗り出した。
「もうっ、アンリ様。急に召喚なさらないで下さい! ビックリしたじゃないですか。私、頭パンクしそうになっちゃいましたよ」
「ニャハハッ♪ ごめんニャ。ただお主が仕えるノーティスに、どーーしても興味があっての♪」
それを聞いたルミは、またかという顔をする。
いつもなら別方向に思考がいくのだが、あんな事があった後だと、どうしても邪推してしまう。
───レイ様に次いでアンリ様まで。もーーーーっ!
「やっぱりアンリ様も、ノーティス様をお好きなのですか?」
「ん? なんの話ニャ?」
ルミの問いかけにキョトンと首をかしげたアンリ。
「あっ、違うんですか。私はまたてっきり……」
ルミは顔を少し赤くし、ごめんなさいの表情で軽くうつむくと、チラッとアンリを見上げた。
それを見て大体の事を察したアンリは、片手を軽く口に添えてニンマリする。
「別に、そなたが心配するような事は無いニャ♪」
「す、すいませんアンリ様」
「気にするでない♪ 私はノーティスの光に興味があっての♪」
「ノーティス様の光に?」
ちょっと不思議そうに見つめてきたルミに、アンリは好奇心に満ちた笑顔を浮べた。
「そうニャ♪ あの光は今まで私が知る限り、剣聖アルカナート以外に発現させた者はおらん。それをあの若者が宿してるのは、私にとって非常ーーーに興味深いのニャ♪」
溢れ出す好奇心を隠そうともせず、ウィンクをしたアンリ。
ある意味、王宮魔導士とは思えない程、純粋な好奇心に瞳をキラキラ輝かせている。
レイとは全く違う意味での、ノーティスへの興味があるのだ。
それを感じたルミはそれに少しホッとしながらも、1つ疑問が浮かんだ。
「そうなんですね。ただアンリ様、それならなぜノーティス様ではなく私を?」
するとアンリはニッと笑い、ルミに理由を話し始めた。
◆◆◆
「おーい、ルミ! どこに行ったんだー!」
ルミがアンリと話している頃、ノーティスはギルド会場中を声を出しながら練り歩いていた。
けれど当然、ルミの姿はどこにも見当たらない。
「ルミーーーー! どこだーーーー?」
すると、後ろから突然呼びかける声が。
「あれ、ノーティス。もしかして、お姉ちゃん探してるの?」
その声にハッと振り向くと、そこにはノーティスをキョトンとした顔で見つめているエレナの姿が。
「エレナ!」
ノーティスがちょっと驚いた顔をすると、エレナは嬉しそうに満面の笑みを浮べた。
「ノーティス、聞いたよーーー♪ レイ様からの特別試験、合格したんだね♪ おめでとう! さすがだよ」
エレナとは前に軽く一悶着あったけど、根が素直で明るい子だから、こういう笑顔を向けられるとやっぱり嬉しい。
「ありがとうエレナ」
ノーティスはそう言って微笑んだ。
が、ルミの件があるのですぐに血相を変えた。
「けど、今それどころじゃないんだ。ルミが急にいなくなってしまって……!」
「そうみたいだね……ホントに急に?」
「ああ、もうホントに急というか一瞬目を閉じてた隙に……エレナどっか心当たり無いかな?」
するとエレナは顎に軽く左手を添えて、斜め下に視線を落し軽く唸る。
「うーん……もし本当に急にいなくなったんなら、お姉ちゃんどこかに召喚させられたのかも」
「しょ、召喚っ?!」
ノーティスがルミに手を引かれたまま勘弁してくれという顔でボヤくと、ルミはしぶしぶ手を離した。
「もうっ! ノーティス様がレイ様にデレデレしてるのがいけないんですからね」
「いやいや、全然デレデレしてないじゃん」
ノーティスが訴えるような顔を向けると、ルミは胸の前で腕を組み、ちょっと火照らせた顔をプイッとさせた。
「いーえ、してました」
そう言って聞かないルミ。
頬にとはいえノーティスが他の女にキスされたのが、ルミは本当にイヤだったのだ。
前にアンリからもあったが、レイのはそれと違うのを感じたから特にそう。
───もうありえん。本当にありえん。あーーっ、でもノーティス様に、こんな態度取っちゃう自分もイヤだ……
ノーティスは、そんなルミを見ながら参ったなという顔を浮かべ、目を閉じながら片手で頭をクシャクシャッと掻く。
「あーーーじゃあもう、どう言やいいんだよ。ったく……!」
ノーティスがそう零した瞬間、ルミの足元から薄いピンク色の光が地面から立ち昇ってきた。
───えっ?何これ。
ルミはそれを考える間もなく光に包まれた。
そしてノーティスが目を開けると、今側にいたハズのルミは消えていたのだ。
「えっ? あっ? ルミ? どこ?」
ノーティスは慌てて周りをキョロキョロ見渡したが、ルミの姿はどこにも見当たらない。
まるで、神隠しにでも会ったかのように。
「消えた……いやいや、えっ? そんなバカな……!!」
ノーティスは何がなんだか分からなかったが、突如消えてしまったルミを探しに走り始めた。
◆◆◆
「あれっ?」
ルミは、突然目の前の景色が変わった事に目を丸くして周りを見渡すと、ここは恐らくどこかの部屋である事が分かった。
大きな本棚にはたくさんの魔導書らしき物が並べられ、妖し気な機械や水晶が目に映ったから。
もちろん、ルミもなんでいきなりここへ来てしまったのか、本当にさっぱり分からず、頭の処理が追いつかない。
「えっと……ちょっと待って。落ち着いて。私は、今の今までノーティス様と一緒にいたハズ……で?」
ルミが目をパチクリさせながら、そう零した瞬間だった。
「よく来たニャ♪」
「きゃあっ!」
突然後ろから声をかけられたルミは、身体をビクッ! とさせ声の方を振り向いた。
するとそこには、エキゾチックな風貌の美女が、ルミをニヤニヤしながら楽しそうに見つめている姿が。
「あっ、アナタは王宮魔導士のアンリ様!」
「おーーーよくぞ覚えててくれたのルミ。流石だニャ♪ 感心感心」
ご機嫌な顔のアンリに、ルミは確かめる様な顔を向ける。
「あの……もしかして、ここに召喚させたのはアンリ様ですか?」
「そうニャ♪」
全く悪びれる事なくニパッとした笑顔で答えたアンリに、ルミは身を少し乗り出した。
「もうっ、アンリ様。急に召喚なさらないで下さい! ビックリしたじゃないですか。私、頭パンクしそうになっちゃいましたよ」
「ニャハハッ♪ ごめんニャ。ただお主が仕えるノーティスに、どーーしても興味があっての♪」
それを聞いたルミは、またかという顔をする。
いつもなら別方向に思考がいくのだが、あんな事があった後だと、どうしても邪推してしまう。
───レイ様に次いでアンリ様まで。もーーーーっ!
「やっぱりアンリ様も、ノーティス様をお好きなのですか?」
「ん? なんの話ニャ?」
ルミの問いかけにキョトンと首をかしげたアンリ。
「あっ、違うんですか。私はまたてっきり……」
ルミは顔を少し赤くし、ごめんなさいの表情で軽くうつむくと、チラッとアンリを見上げた。
それを見て大体の事を察したアンリは、片手を軽く口に添えてニンマリする。
「別に、そなたが心配するような事は無いニャ♪」
「す、すいませんアンリ様」
「気にするでない♪ 私はノーティスの光に興味があっての♪」
「ノーティス様の光に?」
ちょっと不思議そうに見つめてきたルミに、アンリは好奇心に満ちた笑顔を浮べた。
「そうニャ♪ あの光は今まで私が知る限り、剣聖アルカナート以外に発現させた者はおらん。それをあの若者が宿してるのは、私にとって非常ーーーに興味深いのニャ♪」
溢れ出す好奇心を隠そうともせず、ウィンクをしたアンリ。
ある意味、王宮魔導士とは思えない程、純粋な好奇心に瞳をキラキラ輝かせている。
レイとは全く違う意味での、ノーティスへの興味があるのだ。
それを感じたルミはそれに少しホッとしながらも、1つ疑問が浮かんだ。
「そうなんですね。ただアンリ様、それならなぜノーティス様ではなく私を?」
するとアンリはニッと笑い、ルミに理由を話し始めた。
◆◆◆
「おーい、ルミ! どこに行ったんだー!」
ルミがアンリと話している頃、ノーティスはギルド会場中を声を出しながら練り歩いていた。
けれど当然、ルミの姿はどこにも見当たらない。
「ルミーーーー! どこだーーーー?」
すると、後ろから突然呼びかける声が。
「あれ、ノーティス。もしかして、お姉ちゃん探してるの?」
その声にハッと振り向くと、そこにはノーティスをキョトンとした顔で見つめているエレナの姿が。
「エレナ!」
ノーティスがちょっと驚いた顔をすると、エレナは嬉しそうに満面の笑みを浮べた。
「ノーティス、聞いたよーーー♪ レイ様からの特別試験、合格したんだね♪ おめでとう! さすがだよ」
エレナとは前に軽く一悶着あったけど、根が素直で明るい子だから、こういう笑顔を向けられるとやっぱり嬉しい。
「ありがとうエレナ」
ノーティスはそう言って微笑んだ。
が、ルミの件があるのですぐに血相を変えた。
「けど、今それどころじゃないんだ。ルミが急にいなくなってしまって……!」
「そうみたいだね……ホントに急に?」
「ああ、もうホントに急というか一瞬目を閉じてた隙に……エレナどっか心当たり無いかな?」
するとエレナは顎に軽く左手を添えて、斜め下に視線を落し軽く唸る。
「うーん……もし本当に急にいなくなったんなら、お姉ちゃんどこかに召喚させられたのかも」
「しょ、召喚っ?!」
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