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第5章 ホラムでの決戦
cys:81 クロエ再び
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「わーいっ、ボクが1番乗りっ♪」
メティアはそう言ってビョンっと魔法陣から飛び出すと、ノーティス達に可愛く笑顔を向けた。
それを優しく見つめるノーティス達。
「よかったな、メティア」
「うん♪ ノーティス。どんな街なのか楽しみー♪」
小躍りするメティアの側で、ノーティスはふと気になった。
「ロウ、そういえばここにも統治者がいるんだよな」
「あぁ。教皇ではないが皇帝はいる」
「じゃあ、挨拶に行かないとな」
「あぁ、僕もそう思っていた所だ」
ロウがそう答えると、横からレイがスッと入ってきた。
「そうね♪ それに、どんな人なのか気になるわ。ロウは会った事あるの?」
「いや、僕は昔先生に少しお供させてもらっただけで、直接会った事はないんだ」
「そう。どんな人なのかしら……」
レイが少し不安そうに声を漏らすと、ジークが気合の入った笑みを浮かべた。
「まぁ、どんなお人か知らねぇけど、一丁バシッと挨拶しにいこーぜ!」
「ハァッ。ホント、単純ね」
「んだよレイ」
「でもまぁ、今はアナタの単純さに救われたわ♪」
レイはそう言ってジークに微笑むと、ノーティスの背中を両手で押す。
「行くわよノーティス♪ アナタは勇者なんだから先頭歩いて」
微笑みながら背中を押してきたレイに、ノーティスはちょっと慌てながらレイの方へ振り向いた。
「ちょ、ちょっとレイ、分かったから押すなよ」
「じゃあ、ちゃんとして」
そして背中を押しながら、そっと囁く。
(ずっと好きでいさせてよ)
「ん?」
ノーティスはレイの声が上手く聞き取れず尋き返したが、レイは頬を赤くしたまま答えない。
なので、再び尋き返す。
「レイ、今何か言った?」
「何でもないわよ!」
「そ、そっか」
ちょっと困惑したノーティスが部屋から出ると、外にボラムの女兵士が跪いて待機していた。
「うわっ、ビックリした」
「お待ちしておりました♪ 本国の王宮魔道士様」
「キミは……」
「私はホラムの一等騎士『フランソワ・クロエ』と申します。お久しぶりです♪エデン・ノーティス様」
ニコッと微笑んだクロエの顔を見て、ノーティスは驚いて目を大きく開いた。
「キミはあのクロエか!」
「はい♪ ギルド検定試験以来ですね」
久ぶりの再開に見つめ合う2人。
ノーティスとクロエの脳裏に、あの日の事が蘇る。
「クロエ。あの時は本当にありがとう」
「こちらこそ♪ ノーティス様のお陰で助かりました」
「いや、あの時はすまなかった。測定機バラバラにしちゃって……」
ノーティスが、ちょっとすまなそうに軽くうつむき片手で頭を掻くと、クロエはニコッと微笑んだ。
「いいんですよ♪ あの後ルミ様からちゃんと連絡頂きましたし、私、あの日のお陰でこうしていられるんですから」
「ん、どういう事?」
ノーティスが意外そうな顔をして尋ねると、クロエは綺麗なブロンド色の髪を軽く揺らしながらゆっくり立ち上がった。
以前よりも、生き生きしてる雰囲気を醸し出している。
新天地というのもあるが、あの傲慢な試験官から離れたのも大きい理由だろう。
「私、ノーティス様のお陰でここに来れたんです」
「んーー? あっ、その前にクロエ。様とか堅苦しくなくていいよ」
「いえ、でも……」
「確かに、今はホラムの人間として俺達を案内する為にいるんだろうけど、俺が勇者になれたのはキミのお陰でもあるんだから」
そう告げられたクロエは、頬を少し赤くしてノーティスを見つめた。
久々の再開だからというだけではなく、ノーティスへの好意が顔にありありと表れている。
無論ノーティスはそれに気付かないが、それ以外の皆は一瞬でそれを感じ取った。
───フム。あの日ノーティスがの壊したのは、測定機だけでは無かったみたいだな。
───まったく、相変わらず無自覚な野郎だぜ。どうしてこうもモテやがんだ。しかも、いい女からばっか……まっ、らしくていいけどよ♪
ロウとジークは心でそう呟いて見つめるだけだが、レイとメティアはそうはいかない。
「ねぇアナタ、ノーティスのなんなの?」
「レ、レイ様私は、元ギルド検定試験会場の補助官です。同じ補助官のリリーさんとは仲良くしていましたが……」
「リリーと?」
見を乗り出してきたレイに、ちょっと圧倒されたクロエ。
レイはただでさえ美しい瞳に目力があるのに、それを近づけられると存在感が凄まじいからだ。
「は、はい。思い出していただけましたか……」
少したじろぐクロエを、レイはジッと見つめたまま思い返す。
「あぁ、思い出したわ。アナタが辞めて、リリーは少し寂しそうだったし」
「それは失礼しました……」
「けどそうじゃなくて、アナタ、ノーティスと何があったの?」
「えっ?」
再び困惑した顔を浮かべたクロエに、今度はメティアも加わってくる。
メティアも当然、クロエの気持ちに気付いているからだ。
「そーそーボクも気になるなーー♪」
軽く目を閉じて、ちょっとツーンとした感じでそう言ったメティア。
もちろん、レイと違ってそこまで問い詰めたりする気は無い。
メティアはノーティスをどうこうしようとかではなく、ただ純粋に好きなだけだから。
けどこうなった以上、ちょっと知っておきたい気持ちもある。
でも、そこまでは流石に分からないクロエからしたら、自分を責める相手が加わったのと何ら変わりない。
───ど、どうしよう。連絡先交換したとか言ったら、特にレイ様からはメチャメチャ怒られそうだし……
「アハハッ……えーっとですね……」
クロエが軽く顔を引きつらせながら考えていると、ノーティスがレイとメティアにサッと告げてきた。
「恩人だよ」
メティアはそう言ってビョンっと魔法陣から飛び出すと、ノーティス達に可愛く笑顔を向けた。
それを優しく見つめるノーティス達。
「よかったな、メティア」
「うん♪ ノーティス。どんな街なのか楽しみー♪」
小躍りするメティアの側で、ノーティスはふと気になった。
「ロウ、そういえばここにも統治者がいるんだよな」
「あぁ。教皇ではないが皇帝はいる」
「じゃあ、挨拶に行かないとな」
「あぁ、僕もそう思っていた所だ」
ロウがそう答えると、横からレイがスッと入ってきた。
「そうね♪ それに、どんな人なのか気になるわ。ロウは会った事あるの?」
「いや、僕は昔先生に少しお供させてもらっただけで、直接会った事はないんだ」
「そう。どんな人なのかしら……」
レイが少し不安そうに声を漏らすと、ジークが気合の入った笑みを浮かべた。
「まぁ、どんなお人か知らねぇけど、一丁バシッと挨拶しにいこーぜ!」
「ハァッ。ホント、単純ね」
「んだよレイ」
「でもまぁ、今はアナタの単純さに救われたわ♪」
レイはそう言ってジークに微笑むと、ノーティスの背中を両手で押す。
「行くわよノーティス♪ アナタは勇者なんだから先頭歩いて」
微笑みながら背中を押してきたレイに、ノーティスはちょっと慌てながらレイの方へ振り向いた。
「ちょ、ちょっとレイ、分かったから押すなよ」
「じゃあ、ちゃんとして」
そして背中を押しながら、そっと囁く。
(ずっと好きでいさせてよ)
「ん?」
ノーティスはレイの声が上手く聞き取れず尋き返したが、レイは頬を赤くしたまま答えない。
なので、再び尋き返す。
「レイ、今何か言った?」
「何でもないわよ!」
「そ、そっか」
ちょっと困惑したノーティスが部屋から出ると、外にボラムの女兵士が跪いて待機していた。
「うわっ、ビックリした」
「お待ちしておりました♪ 本国の王宮魔道士様」
「キミは……」
「私はホラムの一等騎士『フランソワ・クロエ』と申します。お久しぶりです♪エデン・ノーティス様」
ニコッと微笑んだクロエの顔を見て、ノーティスは驚いて目を大きく開いた。
「キミはあのクロエか!」
「はい♪ ギルド検定試験以来ですね」
久ぶりの再開に見つめ合う2人。
ノーティスとクロエの脳裏に、あの日の事が蘇る。
「クロエ。あの時は本当にありがとう」
「こちらこそ♪ ノーティス様のお陰で助かりました」
「いや、あの時はすまなかった。測定機バラバラにしちゃって……」
ノーティスが、ちょっとすまなそうに軽くうつむき片手で頭を掻くと、クロエはニコッと微笑んだ。
「いいんですよ♪ あの後ルミ様からちゃんと連絡頂きましたし、私、あの日のお陰でこうしていられるんですから」
「ん、どういう事?」
ノーティスが意外そうな顔をして尋ねると、クロエは綺麗なブロンド色の髪を軽く揺らしながらゆっくり立ち上がった。
以前よりも、生き生きしてる雰囲気を醸し出している。
新天地というのもあるが、あの傲慢な試験官から離れたのも大きい理由だろう。
「私、ノーティス様のお陰でここに来れたんです」
「んーー? あっ、その前にクロエ。様とか堅苦しくなくていいよ」
「いえ、でも……」
「確かに、今はホラムの人間として俺達を案内する為にいるんだろうけど、俺が勇者になれたのはキミのお陰でもあるんだから」
そう告げられたクロエは、頬を少し赤くしてノーティスを見つめた。
久々の再開だからというだけではなく、ノーティスへの好意が顔にありありと表れている。
無論ノーティスはそれに気付かないが、それ以外の皆は一瞬でそれを感じ取った。
───フム。あの日ノーティスがの壊したのは、測定機だけでは無かったみたいだな。
───まったく、相変わらず無自覚な野郎だぜ。どうしてこうもモテやがんだ。しかも、いい女からばっか……まっ、らしくていいけどよ♪
ロウとジークは心でそう呟いて見つめるだけだが、レイとメティアはそうはいかない。
「ねぇアナタ、ノーティスのなんなの?」
「レ、レイ様私は、元ギルド検定試験会場の補助官です。同じ補助官のリリーさんとは仲良くしていましたが……」
「リリーと?」
見を乗り出してきたレイに、ちょっと圧倒されたクロエ。
レイはただでさえ美しい瞳に目力があるのに、それを近づけられると存在感が凄まじいからだ。
「は、はい。思い出していただけましたか……」
少したじろぐクロエを、レイはジッと見つめたまま思い返す。
「あぁ、思い出したわ。アナタが辞めて、リリーは少し寂しそうだったし」
「それは失礼しました……」
「けどそうじゃなくて、アナタ、ノーティスと何があったの?」
「えっ?」
再び困惑した顔を浮かべたクロエに、今度はメティアも加わってくる。
メティアも当然、クロエの気持ちに気付いているからだ。
「そーそーボクも気になるなーー♪」
軽く目を閉じて、ちょっとツーンとした感じでそう言ったメティア。
もちろん、レイと違ってそこまで問い詰めたりする気は無い。
メティアはノーティスをどうこうしようとかではなく、ただ純粋に好きなだけだから。
けどこうなった以上、ちょっと知っておきたい気持ちもある。
でも、そこまでは流石に分からないクロエからしたら、自分を責める相手が加わったのと何ら変わりない。
───ど、どうしよう。連絡先交換したとか言ったら、特にレイ様からはメチャメチャ怒られそうだし……
「アハハッ……えーっとですね……」
クロエが軽く顔を引きつらせながら考えていると、ノーティスがレイとメティアにサッと告げてきた。
「恩人だよ」
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