貴重な男の中で一番優しいのは俺らしい

クローバー

文字の大きさ
6 / 19

初日を乗り越えたらしい

しおりを挟む
ー お昼休み ー



俺はクラスの女の子+他のクラスの男女+他の学年の女の子に囲まれていた。

俺の事が何やら話題になっているらしい。



怒濤の質問責めを受けている。

まあ、女の子達がかなりハイレベルで可愛いからいいんだけど、ちょっとだけ居心地が悪い…かな。

少しだけ疲れてしまった。



俺が対処に困っていると、通りかかった先生に助けて貰い何とかなった。



「こらこら!松本君が困ってますよ!そんなんじゃ、嫌われてしまいますよ!」

「「…!!?」」



この先生の一言だけでかなり人数が減って、一人ずつ順番に質問や会話をしに来てくれるようになった。

ああ、そこっ!順番で揉めないで欲しいなー。

いやー、先生流石ですね、ありがとう!

…まあ、廊下から鋭い眼光で見つめてくる女の子達が増えたけれどね。



「ごめんね、皆。質問は嬉しいんだけど…まだ学校に慣れてなくて…。少し疲れちゃったから休ませて欲しい…かな」



遠回しに言って離れて貰った。

明日から学校に通うから、そんなに焦らないでほしいよ。



そんな俺は今、早香の隣の席にいる。

今朝、先生に「早香さんの隣でお願いします。」と言ったからだ。

席は最後尾の窓際で、左に窓があり前に長い黒髪の女の子、右に早香さん、後ろには誰もいない。



知っている人がいて安心した。

まあ、俺の発言の後、早香さんはクラスの女子から、ものすごい嫉妬の目線を受けていたので少し申し訳なくなったけどね。



「今朝はごめんね、早香さん。知っている人が早香さんしかいなかったから、甘えちゃった!」

「いい、いいの!むしろ大歓迎だから。…よかった!夢じゃなかったんだ!」

「ん?夢ってどういうこと!」

「な、何でもないよ!」



気になると思っていると、早香さんの前の席の女の子が教えてくれた。



少し長めの茶髪でピアスを空けていて、キレ目のパッと見はギャルに近かい印象の子だ。

だけど、怖くなくて顔がとても優しそうだ。

身長は150センチ中盤くらいかな。

早香さんよりも背が低くて全体的に体がスラッとしている。

あ、胸もスラッとしている。

なかなか接し安そうな人だ。



「教えてあげるよ、修史くん。実は早香ね、教室に着いた瞬間、皆に超かっこいい男の子を自転車に乗せて学校まで来たって騒ぎ出してね。」

「だ、だめだって天音あまね~!」



早香さんはあたふたした。



「勿論、そんな事は誰も信じなくて夢でも見たんだろうってことで相手しなかったの。でも、あまりに早香がしつこいから、一回寝てろ!って皆に言われてね。早香ふてくされて寝ちゃったの」



ははっ!そんな事があったのか。

面白いし、可愛いじゃないか早香さん。



「なるほど、よくわかったよ、ありがと天音さん」

「んっ!何か分からないことあったら頼ってね。まあ、早香が頼って欲しそうだったから早香優先でね!」

「ちょっと!天音何言って」

「分かったよ!」

「松本くん!?」



他愛もない会話でお昼休みは終わり、後は授業をこなして放課後になった。



授業は大学卒業の俺には退屈だったが、どうせなら学年で上位成績を残したいので頑張った。

…授業中も後ろの席なのにかなり視線が気になったのは内緒だが。

先生が黒板を向いた瞬間に一斉に俺を見てくるのは少し怖かった。



「「松本くん!部活のお誘いなんだけど!」」

「ごめん!放課後用事があるからすぐ帰らないとなんだ!」

「そ、そっか、ごめんね!」



俺の事が広まったらしく、かなり部活の勧誘を受けた。

何件目の勧誘を避けたか分からないが、今日は荷物をまとめて母親の家に行かないとだから忙しいのだ。



職員室で先生と初日がどうだっかのお話を軽くしたあと、スマホで妹に連絡を入れてアパートへ歩き出す。

すると、校門を出る前に女の子に囲まれた。



「君、家どこかな?お姉さんと…良いことしない?」

「修史くん…だっけ?家に来ない?最高の思い…させてあげるよ!」

「ねえ、君、一年生かな?カラオケいかない?安心してカラオケ行くだけだからさ!」



…先輩達かな?

逆ナンされて嬉しいが、優先することがあるのでやんわりと断りアパートに向かった。

お、俺はJKの誘いをちゃんと断ったぞぉ!

ちょっと嫌な予感したからね。

…まあ、用事がなければ誘いに乗っていたのは間違いないけどね。





ー しばらくして、アパートに着いた。 ー



「あっ!お兄ちゃん、お帰りなさい!どうだった?学校」

「ああ、楽しかったよ!待たせてごめんね!」

「ううん、今来たところだから」



アパートの扉の前に座っていた妹に申し訳無いと思いつつ、鍵をあけて、早速手伝ってもらった。

妹はしっかりしていて、テキパキ俺の衣類をまとめてくれていた。

俺の下着を見て真っ赤になっていて可愛かったよ、はははっ!



「ありがとな!」

「えへへっ!」



頑張って手伝ってくれたので頭を撫でつつお礼を言った。

妹は頭を撫でられるのが好きな様子で、恥ずかしそうにしながらも幸せそうないい顔をしていた。





…さて、終わったな。

準備が終了したので、アパートに鍵をかけて妹と二人で電車経由で家に向かう。



「お兄ちゃんはやっぱり目立つね」

「ん?そうかな?確かに視線は感じるけど。何でだろうね。…ってか、やっぱりってどういうこと?」

「はぁー。無自覚なんだね、お兄ちゃんは」

(もう!お兄ちゃんはかっこよすぎるんだから、もうちょっと気を引き締めて欲しいよ!)



何故か妹に呆れられてしまった。

いや、俺だって薄々感づいているよ、でも自分が貴重な男でしかもかっこいいから目立つなんて非現実なこと言えるわけ無いじゃないかぁ。



まあ、現実に起きてんだけどね。

ナルシストにならないためだよ、俺は典型的な日本人なんだから謙虚にいかないと!



そう思いつつ、妹の学校の様子とか聞いたり、妹の質問に答えたりしていると家に着いた。



「さ、早く中に入ろ、お兄ちゃん」

「で、でけぇ!なんじゃこりゃ!」



普通の一軒家じゃなくて、豪邸だった。

白くて綺麗で広い庭があって門があっていかにもお金持ちって雰囲気がしていた。



「お兄ちゃん、どうかしたの?」

「い、いや、大きい家だなーって思って」

「うん、芽亜もそう思うよ。まあ、お母さんお金持ちだからしょうがないよ」



俺は唖然として止まっていたが、早く入ろうよ!と妹に手を引かれて恐る恐る侵入する。

玄関先は、至るところにある装飾品がチカチカしていて落ち着かない。

…本当にこんなお家にお邪魔していいのだろうか?俺は庶民だぞ?



「お兄ちゃんは、こういう豪華なの苦手だったもんね。だから、アパートも服もお金かけないもんね」



あ、そういうことになってるんだ。

俺の昔の設定がどうなっているのかほとんど知らないが、庶民思考で通って来ているみたいだ。

それは都合がいい。

お金持ちになど、なったことは無いのだよ!



「どうしてもね。金銭感覚が一般的だから。…芽亜はどうなの?」

「も、勿論、お兄ちゃんと同じだよ!お母さんは金銭感覚狂ってるけど、芽亜はしっかりしているもん!」



一緒にしないで!とばかり怒ってきたので、ごめんごめんと誤った。

妹はいたって庶民思考のようだ。

「金銭感覚狂ってる」って娘に言われてるぞ、母さん!

…大丈夫か?



そんな風に妹の芽亜と話をしながら、俺の部屋に連れていって貰う。



「ここだよ!お兄ちゃん!」

「どれどれ…あー、よかった!部屋は普通だ」



この家を見た後だから、どんな部屋になっているか気になっていたが、部屋は至ってシンプルだった。

大理石のデーブル、キングサイズのベッドがあって、70インチほどのテレビがあって…。

うん、訂正する、普通ではなかった。

感覚が麻痺してたよ。



「あれ?クローゼットとかは?」

「それは隣の部屋だよ、お兄ちゃん」

「あ、そうなんだ…」



家具が少ないと思ったが、服は服専用の部屋、靴は靴専用の部屋などがあるらしく教えて貰った。

俺が覚えてない事を妹は不思議そうにしていた。

何はともあれ、お金持ちもとい、母親に対して少し引いてしまった。



「掃除とか、もしかして人雇ってるの?」

「そうだね、誰もいない時にやってくれているみたいだね」

「そ、そうなんだ。でもご飯は自分たちで用意するよね?」

「うん、お母さんが料理だけは家族に大切だから誰も雇わないって言ってたから、作らないとだよ」



ホッとした。

家族以外の人にご飯を作って貰って毎日食べるのは、庶民育ちの俺には居心地が悪いからね。

掃除は…まあ、いいか。



そんな環境の違いに疲れを覚えつつ、俺は今、妹とご飯を作っている。

本当は、妹が一人で作ると言ったが、手伝った方が早く終わるだろ?と説得して一緒に作っている。



「お、お兄ちゃん、料理出来たんだね」

「まあ、普通くらいだよ」

(うっ…お兄ちゃん、芽亜より手際がいい…。が、頑張らないと!)



妹は俺の手さばきに驚いていたが、一人暮らしの自炊生活で培った腕をなめてもらっては困る。

それにもし「妾は空腹なのじゃ!」とか言って突然美少女が現れたりしたら…作れないと困るからね。←そんな妄想のお陰で料理を覚えた



広いキッチンなので、スペースを無駄に使えるのでかなり楽だった。



「いただきます!」



ハンバーグやサラダ、味噌汁ご飯と一般的な夕食を妹と堪能しつつ、会話を弾ませてご馳走様をする。



「美味しかったよ、芽亜。ありがと!」

「ううん!お兄ちゃんのおかげだよ、こちらこそ、ありがと!」



食器を洗い終わり、二人ソファーでテレビを見ながらだらけた。



デレビ番組は女性ばかりで成り立っていたが、男性も活躍している人がいたので、素直によかった。

男性モデルとか金を持ってそうだ。

羨ましい。

だがテレビに出ている男性よりも自分の方がかっこいい気がする。←調子に乗りました



(男性もしっかり働く環境があるんだな。良かった良かった)



そんな事を思いつつテレビを見ていると、転入初日ということもあってか、疲れが回って来たのが分かった。



「流石に今日は疲れたなぁ。すぐにお風呂入って寝よ」



早めに休む必要がありそうだ。



「そ、それならさ、お兄ちゃん。い、一緒にお風呂はいろ?な、なーんて!」

「うん、いいよー。一緒に入るか!」

「……ふえっ?」



妹にお風呂に誘われたので、一緒に入ることにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら

普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。 そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

処理中です...