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47 助けるという事
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涙を水で薄めるだけならそう難しい事ではない。
グラスを用意してもらって・・・
玉ねぎ・・・、玉ねぎってこっちで玉ねぎって言うのか?
果物の形状も名前も違う事を思い出し、これはどう言ったらいいんだろう。
などのほほんと考えていると
『・・・ハルカは本当にあの子供を助けたいのか?』
クロウが真剣な声で訊ねてきた。
「・・・どういう意味?」
現在進行形で、殿下の甥っ子王子を助けるために色々考えている最中だというのに。
『ここまで来て何をと言うかと思うかもしれないが、そのままの意味で言っている。
ハルカは心優しい人間だと理解はしている。故に、純粋にあの子供を助けてやりたいのだとも。
その力は神が愛し子に授けた特別な力だ。その力を以ってすればあの子供を助けることなど容易い。そうなればあの男や親などから感謝されるだろう。
しかし、その後はどうか。
あの男とは約束を交わしたが、あの子供の親がハルカの力を知って大人しくしていると思うか?
ハルカの力は諸刃の剣だ。大きな救いであり同時に大神官をも凌駕する力は大きな脅威でもあるだろう。
それに加えて、この国を守護する神獣は既に神獣とは呼べないものになり果てている。
長年神獣を奉ってきた国の王がそれに気づいていない筈はない。
そこにきてハルカの連れている我は神獣の王だ。王はどう思うだろうか』
「・・・それは」
『誠実な人間がいる事は知っている。だが、国の王と言う者はそれだけでは務まらぬものだ。国益の為、非情に、狡猾に物事を成さねばならぬ。ハルカの力は有益で脅威。囲っておきたいと思うのは当然だと思うが』
クロウの言う事は尤もだ。
俺だってこの力が普通じゃない事くらい理解している。
神が詫びだとサービス過多で寄越した力は俗な言い方をすれば超チート級だ。
知られれば騒がれることは想像に難くなかった。だからここに来る前に殿下にいろいろ約束してもらったのだし。
王弟殿下はきっと約束を守ってくれる。それはなんか心配してない。
けど、まあ・・・うん。会った事の無い王様もだけどそれより今までずっと王子の治療に関わってきた人達が、特に神官とか、うるさそうだなあ・・・。
下手したら難癖付けられて神殿に軟禁とか?
万が一そうなっても、その気になれば魔法全開で逃げられるとは思う。
こっそり、なんてのは無理だろうけど。
でもその後は?
最悪ずっとお尋ね者だ。悪い事など一切していないしするつもりも無いというのに。
・・・嫌だなあ。
でもなあ。
王子に関しては会うって約束しちゃったし。
小さい子が苦しむのって可哀そうじゃん。
「王子、サクッと治して、一旦神の森に帰ろうか」
『・・・ああ、そうだな』
この世界を旅なんかしながら、たまに地元民(?)と交流してゆったりまったり生きていきたいなーと思っていたけれど、その計画は早くも頓挫しそうで。
ならば早々に自分を癒しに神の森に帰ろうかな、なんて。己を甘やかしすぎだろうか。
でも爺さん神さんも別に俺に使命なんか無いって言ってたし、いいよな。
後の事はまたゆっくり考え直す事にしよう。
「んじゃ、とりあえず涙の採取しますか」
話を終わらせ結界を元に戻すと、殿下と側近さん達全員がこちらをじっと見ている事に気付いた。
ああ、そういえば断りも入れずに結界の縮小したな。
クロウが見えない側近さんにしてみれば俺が防音結界の中一人で何が喋っていたように見えただろうし、殿下は俺達が何を話していたのか気がかりだろう。
会話の中身を教えるつもりは無いけど。
「・・・殿下、すみませんがクラスに水を一杯頂けないでしょうか」
目の前にさっき淹れてもらったお茶があるのに何をと思うだろうが、とりあえず結界の中での会話を詮索される前にとお願いをした。
グラスを用意してもらって・・・
玉ねぎ・・・、玉ねぎってこっちで玉ねぎって言うのか?
果物の形状も名前も違う事を思い出し、これはどう言ったらいいんだろう。
などのほほんと考えていると
『・・・ハルカは本当にあの子供を助けたいのか?』
クロウが真剣な声で訊ねてきた。
「・・・どういう意味?」
現在進行形で、殿下の甥っ子王子を助けるために色々考えている最中だというのに。
『ここまで来て何をと言うかと思うかもしれないが、そのままの意味で言っている。
ハルカは心優しい人間だと理解はしている。故に、純粋にあの子供を助けてやりたいのだとも。
その力は神が愛し子に授けた特別な力だ。その力を以ってすればあの子供を助けることなど容易い。そうなればあの男や親などから感謝されるだろう。
しかし、その後はどうか。
あの男とは約束を交わしたが、あの子供の親がハルカの力を知って大人しくしていると思うか?
ハルカの力は諸刃の剣だ。大きな救いであり同時に大神官をも凌駕する力は大きな脅威でもあるだろう。
それに加えて、この国を守護する神獣は既に神獣とは呼べないものになり果てている。
長年神獣を奉ってきた国の王がそれに気づいていない筈はない。
そこにきてハルカの連れている我は神獣の王だ。王はどう思うだろうか』
「・・・それは」
『誠実な人間がいる事は知っている。だが、国の王と言う者はそれだけでは務まらぬものだ。国益の為、非情に、狡猾に物事を成さねばならぬ。ハルカの力は有益で脅威。囲っておきたいと思うのは当然だと思うが』
クロウの言う事は尤もだ。
俺だってこの力が普通じゃない事くらい理解している。
神が詫びだとサービス過多で寄越した力は俗な言い方をすれば超チート級だ。
知られれば騒がれることは想像に難くなかった。だからここに来る前に殿下にいろいろ約束してもらったのだし。
王弟殿下はきっと約束を守ってくれる。それはなんか心配してない。
けど、まあ・・・うん。会った事の無い王様もだけどそれより今までずっと王子の治療に関わってきた人達が、特に神官とか、うるさそうだなあ・・・。
下手したら難癖付けられて神殿に軟禁とか?
万が一そうなっても、その気になれば魔法全開で逃げられるとは思う。
こっそり、なんてのは無理だろうけど。
でもその後は?
最悪ずっとお尋ね者だ。悪い事など一切していないしするつもりも無いというのに。
・・・嫌だなあ。
でもなあ。
王子に関しては会うって約束しちゃったし。
小さい子が苦しむのって可哀そうじゃん。
「王子、サクッと治して、一旦神の森に帰ろうか」
『・・・ああ、そうだな』
この世界を旅なんかしながら、たまに地元民(?)と交流してゆったりまったり生きていきたいなーと思っていたけれど、その計画は早くも頓挫しそうで。
ならば早々に自分を癒しに神の森に帰ろうかな、なんて。己を甘やかしすぎだろうか。
でも爺さん神さんも別に俺に使命なんか無いって言ってたし、いいよな。
後の事はまたゆっくり考え直す事にしよう。
「んじゃ、とりあえず涙の採取しますか」
話を終わらせ結界を元に戻すと、殿下と側近さん達全員がこちらをじっと見ている事に気付いた。
ああ、そういえば断りも入れずに結界の縮小したな。
クロウが見えない側近さんにしてみれば俺が防音結界の中一人で何が喋っていたように見えただろうし、殿下は俺達が何を話していたのか気がかりだろう。
会話の中身を教えるつもりは無いけど。
「・・・殿下、すみませんがクラスに水を一杯頂けないでしょうか」
目の前にさっき淹れてもらったお茶があるのに何をと思うだろうが、とりあえず結界の中での会話を詮索される前にとお願いをした。
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