朝が来るまでキスをして。

月湖

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くっそ。

ロクでもねえこと思い出した。

・・・でも、確かにアレがキッカケかもしれない。


デビューしてからは、何もしなくても女が寄ってきた。

その殆どの女が、初対面でも平気でカラダを開く女で。

たまに清純そうなコと付き合ってみれば、ただ共演しただけの女優との仲を疑われ、嫉妬で何も見えなくなったのか、仕事中や夜中に何度も電話やメールをされる。

最初は好みだったのにもうめんどくさくて、電話1本し直後に引っ越して強引に繋がりを切った。

事務所に直でその女らしいコから電話があったらしいけど、写真の1枚すら残してなかったしちょっとした注意で終わって。

それからはもう後腐れの無いお姉さんばかり。


・・・(笑)


なんか、自分のロクデナシ加減に自嘲した。

思えば、あの最初のヒト以来、女を信用してなかったんだろうな。

気持ちヨけりゃ良かったし、それ以外の事なんてどうでもよかった。

・・・好きになんて、最初からなれるわけなかったんだ。

自分は何を足掻いてきたんだろう。

ホントに今更だけど、何人だか分からない女のコ達を気の毒に思い出した。

ただ俺が欲を放つ為の手伝いをさせたれただけの女達。

ちゃんと、人並みにデートとかしてたりしたら好きになったのかも・・・?


―――って、一瞬考えたけど、


無いな(笑)。


女達を思い出して、その可能性はゼロだと思い直す。

俺も大概だけど、抱いてきた女達だって大概だった。

うん。ナイ(笑)


いや、それはもう今となってはどうでもいいんだけど。


過去を振り払い、今度は、多分あと1時間もすれば連絡してくるだろう男の事を思う。


いくらなんでも、女が信用できないからって、ヒカルちゃん、男なんだよなー(笑)

・・・とか今更分かり切ってる事を考えて笑う。


俺を好きだと、放してほしくないと泣きながら啼くヒカル。

いつも何事も穏やかにコトを運んできたくせに、俺に関係した女へは辛辣な言葉を少しの躊躇いも無く吐いた。


そんなヒカルに抱く俺の、ずっと一緒にいた者への情とは言い切れない、独占欲にも似た執着は何と呼ぶのか。

放してやれないなんて初めて感じた。


これって、なんだよ。



早く、連絡して来やがれ。



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