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―― 第四章 ―― 反枕の夢
【046】初夢は、未来予知。 ※礼人
初夢、何日に視る夢かは諸説ある。
こと、反枕を先祖に持つ四峰の人間にとっては、夢は簡単に夢と片付けられるものではない。その昔、反枕は枕を返して悪夢を視せ、悪い未来を視せ、それが本当になるのを楽しんでみていたという逸話がある。四峰の者は、勿論その大部分は、嗤われる側のヒトだ。人間の血が濃いからだ。
「っ、は」
礼人は飛び起きた。
はぁはぁと荒く呼吸し、胸元に手で触れる。耳元で、何者かが嗤う声が残響している気がして、まだ生々しく夢の光景が網膜に焼きついている。
逆夢を見るのは、悪いことではないともいう。だがそれは、普通の夢の話だ。
これ、は。
「予知……」
ぽつりと呟いた。礼人は身震いする。なんとか冷静になろうと、ゆっくりと瞬きをして現実を確認しようとするのに、鼓動が煩くそれが叶わない。嫌な夢を視た。視たくないものを視てしまった。
片側の掌で顔を覆う。唇を噛む。息がまだ苦しい。
過去、礼人は嫌な夢を幾度も視た。例えばその一つは、母の死、例えばその一つは父の死だった。どちらも阻止することは叶わなかった。指の合間から、布団を睨み付ける。母の時は、まだ幼くて何も出来なかった、いいや、これも言い訳か。もっと強かったならば。父の時は、父が瘴気で肺を患うと事前に分かっていたのに、未来は変えられると笑った父を信じた。信じるべきでは無かった。前日父が、微熱があると話していたのだから。あの時、いくら強い父だから大丈夫だと自分を落ち着けても、それはただ無駄なだけで。自分がすべきことは、せめて感冒薬を渡すことだったんじゃないかなんて無理に笑っては、涙腺が緩む。父は、いつだって強かった。
未来が変えられるのは事実だ。だが、それはほんの些細なことで、元の通りに戻ってしまう。未来を変えるためには、適切に行動しなければならない。
「……」
礼人の瞳が暗さを増す。失ってきた者も存在も多い。
「……最悪の初夢だね」
その言葉は、宙に溶けていく。聞く者は、誰もいなかった。
こと、反枕を先祖に持つ四峰の人間にとっては、夢は簡単に夢と片付けられるものではない。その昔、反枕は枕を返して悪夢を視せ、悪い未来を視せ、それが本当になるのを楽しんでみていたという逸話がある。四峰の者は、勿論その大部分は、嗤われる側のヒトだ。人間の血が濃いからだ。
「っ、は」
礼人は飛び起きた。
はぁはぁと荒く呼吸し、胸元に手で触れる。耳元で、何者かが嗤う声が残響している気がして、まだ生々しく夢の光景が網膜に焼きついている。
逆夢を見るのは、悪いことではないともいう。だがそれは、普通の夢の話だ。
これ、は。
「予知……」
ぽつりと呟いた。礼人は身震いする。なんとか冷静になろうと、ゆっくりと瞬きをして現実を確認しようとするのに、鼓動が煩くそれが叶わない。嫌な夢を視た。視たくないものを視てしまった。
片側の掌で顔を覆う。唇を噛む。息がまだ苦しい。
過去、礼人は嫌な夢を幾度も視た。例えばその一つは、母の死、例えばその一つは父の死だった。どちらも阻止することは叶わなかった。指の合間から、布団を睨み付ける。母の時は、まだ幼くて何も出来なかった、いいや、これも言い訳か。もっと強かったならば。父の時は、父が瘴気で肺を患うと事前に分かっていたのに、未来は変えられると笑った父を信じた。信じるべきでは無かった。前日父が、微熱があると話していたのだから。あの時、いくら強い父だから大丈夫だと自分を落ち着けても、それはただ無駄なだけで。自分がすべきことは、せめて感冒薬を渡すことだったんじゃないかなんて無理に笑っては、涙腺が緩む。父は、いつだって強かった。
未来が変えられるのは事実だ。だが、それはほんの些細なことで、元の通りに戻ってしまう。未来を変えるためには、適切に行動しなければならない。
「……」
礼人の瞳が暗さを増す。失ってきた者も存在も多い。
「……最悪の初夢だね」
その言葉は、宙に溶けていく。聞く者は、誰もいなかった。
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