15 / 17
王たちはどうなるのかしらね
しおりを挟む
アンジェが修道院に送られて暫くすると、王とエドワードからの賠償金が届いた。交渉に向かわせた者は相当巻き上げたらしい。王と王太子の給与の1年分ほどだった。
「あらまあ、これで王たちはどうやって生活しているのかしら」
「これまでの貯蓄がたんまりあるのではないか」
フランベルツは興味なさげだが、ラグノニオスは苦笑している。あの王達がそんなに貯蓄しているはずがないからだ。
事実、ラグノニオスのもとには、王達から国庫のお金の使用許可申請が届いていた。国庫のお金で補填するつもりらしい。アリシエラの発言で、王の独断で国庫を使わせてはならないことを初めて知った金庫番が、王の手出しを防いだため、ラグノニオスに願い出るしかなくなったようだ。
金庫番はこれまで王に要求され、何度か国庫のお金を王の私費に回したとラグノニオスに告解にきた。彼はそれが駄目なことだと本当に知らなかったようだ。教皇の許可無しに王は何も決定出来ないと知るものは、アリシエラ達の想定以上に少なかった。
王族の横暴さは、密かに王城を侵略していたようだ。
「エドワード殿下はどうなりましたの?」
「何もない部屋に軟禁状態のようですよ。今回のことで、多くの地方領主から王族を責める声が聞こえるようになりました」
「……そう」
「商人達も、聖女を貶めたとして王族の批判をしているようですね」
アリシエラは黙って頷いた。予想していた事態だった。特に、アンジェの婚約者だったブルダンが王族を批判しているという。
「そもそも、教皇がこの国のトップなのです。外国との外交に教皇が出るのは煩わしいと思って、彼らが王と名乗るのを許容してきましたが、ここまでの横暴を許した覚えはありません」
「……王族をなくすつもりですのね」
「今一度、権力体制を正すのです」
「彼らは貴族の地位に?」
「いいえ。彼らは明確な罪を犯しています。国家財産の横領という罪です。王太子には、聖女との婚約を不当に貶めたという罪もあります」
「そうね」
「国家財産の横領はアグノアティスが関係する前から行われていたことです。当然彼ら自身の罪と言えましょう」
国家財産の横領は、この国で厳罰に処される。王が横領したお金で暮らしていた王妃と王子もその対象から外れることはない。
「側妃は初めから王からの金は拒否していたようです。生活費は全て実家からの支援でやりくりしていたようで、華やかに見せつつ金を節約していたその手腕は素晴らしいですね」
「まあ、では側妃とザウス殿下には横領の罪は課せられないのね」
「ええ。そこは厳密に調べましたから。ザウス殿下には早急に婿入りしてもらい、王族との縁を切ってもらえば完璧ですね。側妃にも実家に帰ってもらうなりして、王との縁を切ってもらいましょう」
「良かったわ。ザウス殿下は婚約者と相愛なのよ」
「そうらしいですね」
必要以上の人間に罰が課されないと知り、アリシエラは一安心だった。これでこの国の上層部の者も自らの身を改めるだろう。横暴に振る舞っていたのは王族だけではないのだ。王族を見せしめに、貴族達の意識を改めさせるのがラグノニオスの狙いだった。
「あらまあ、これで王たちはどうやって生活しているのかしら」
「これまでの貯蓄がたんまりあるのではないか」
フランベルツは興味なさげだが、ラグノニオスは苦笑している。あの王達がそんなに貯蓄しているはずがないからだ。
事実、ラグノニオスのもとには、王達から国庫のお金の使用許可申請が届いていた。国庫のお金で補填するつもりらしい。アリシエラの発言で、王の独断で国庫を使わせてはならないことを初めて知った金庫番が、王の手出しを防いだため、ラグノニオスに願い出るしかなくなったようだ。
金庫番はこれまで王に要求され、何度か国庫のお金を王の私費に回したとラグノニオスに告解にきた。彼はそれが駄目なことだと本当に知らなかったようだ。教皇の許可無しに王は何も決定出来ないと知るものは、アリシエラ達の想定以上に少なかった。
王族の横暴さは、密かに王城を侵略していたようだ。
「エドワード殿下はどうなりましたの?」
「何もない部屋に軟禁状態のようですよ。今回のことで、多くの地方領主から王族を責める声が聞こえるようになりました」
「……そう」
「商人達も、聖女を貶めたとして王族の批判をしているようですね」
アリシエラは黙って頷いた。予想していた事態だった。特に、アンジェの婚約者だったブルダンが王族を批判しているという。
「そもそも、教皇がこの国のトップなのです。外国との外交に教皇が出るのは煩わしいと思って、彼らが王と名乗るのを許容してきましたが、ここまでの横暴を許した覚えはありません」
「……王族をなくすつもりですのね」
「今一度、権力体制を正すのです」
「彼らは貴族の地位に?」
「いいえ。彼らは明確な罪を犯しています。国家財産の横領という罪です。王太子には、聖女との婚約を不当に貶めたという罪もあります」
「そうね」
「国家財産の横領はアグノアティスが関係する前から行われていたことです。当然彼ら自身の罪と言えましょう」
国家財産の横領は、この国で厳罰に処される。王が横領したお金で暮らしていた王妃と王子もその対象から外れることはない。
「側妃は初めから王からの金は拒否していたようです。生活費は全て実家からの支援でやりくりしていたようで、華やかに見せつつ金を節約していたその手腕は素晴らしいですね」
「まあ、では側妃とザウス殿下には横領の罪は課せられないのね」
「ええ。そこは厳密に調べましたから。ザウス殿下には早急に婿入りしてもらい、王族との縁を切ってもらえば完璧ですね。側妃にも実家に帰ってもらうなりして、王との縁を切ってもらいましょう」
「良かったわ。ザウス殿下は婚約者と相愛なのよ」
「そうらしいですね」
必要以上の人間に罰が課されないと知り、アリシエラは一安心だった。これでこの国の上層部の者も自らの身を改めるだろう。横暴に振る舞っていたのは王族だけではないのだ。王族を見せしめに、貴族達の意識を改めさせるのがラグノニオスの狙いだった。
118
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
その婚約破棄喜んで
空月 若葉
恋愛
婚約者のエスコートなしに卒業パーティーにいる私は不思議がられていた。けれどなんとなく気がついている人もこの中に何人かは居るだろう。
そして、私も知っている。これから私がどうなるのか。私の婚約者がどこにいるのか。知っているのはそれだけじゃないわ。私、知っているの。この世界の秘密を、ね。
注意…主人公がちょっと怖いかも(笑)
4話で完結します。短いです。の割に詰め込んだので、かなりめちゃくちゃで読みにくいかもしれません。もし改善できるところを見つけてくださった方がいれば、教えていただけると嬉しいです。
完結後、番外編を付け足しました。
カクヨムにも掲載しています。
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
悪役令嬢、辞めます。——全ての才能を捨てた私が最強だった件
ニャーゴ
恋愛
「婚約破棄だ、リリアナ!」
王太子エドワードがそう宣言すると、貴族たちは歓声を上げた。 公爵令嬢リリアナ・フォン・クラウスは、乙女ゲームの悪役令嬢として転生したことを理解していた。 だが、彼女は「悪役令嬢らしく生きる」ことに飽きていた。
「そうですか。では、私は悪役令嬢を辞めます」
そして、リリアナは一切の才能を捨てることを決意する。 魔法、剣術、政治力——全てを手放し、田舎へ引きこもる……はずだった。 だが、何故か才能を捨てたはずの彼女が、最強の存在として覚醒してしまう。
「どうして私、こんなに強いの?」
無自覚のままチート能力を発揮するリリアナのもとに、かつて彼女を陥れた者たちがひれ伏しにくる。
元婚約者エドワードは涙ながらに許しを請い、ヒロインのはずの少女は黒幕だったことが判明し、処刑。
だが、そんなことよりリリアナは思う。
「平穏に暮らしたいんだけどなぁ……」
果たして、彼女の望む静かな生活は訪れるのか? それとも、新たな陰謀と戦乱が待ち受けているのか——!?
穏便に婚約解消する予定がざまぁすることになりました
よーこ
恋愛
ずっと好きだった婚約者が、他の人に恋していることに気付いたから、悲しくて辛いけれども婚約解消をすることを決意し、その提案を婚約者に伝えた。
そうしたら、婚約解消するつもりはないって言うんです。
わたくしとは政略結婚をして、恋する人は愛人にして囲うとか、悪びれることなく言うんです。
ちょっと酷くありません?
当然、ざまぁすることになりますわね!
婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。
松ノ木るな
恋愛
純真無垢な侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気だと疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。
伴侶と寄り添う幸せな未来を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。
あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。
どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。
たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。
本当の聖女が見つかったので私はお役御免だそうです
神々廻
恋愛
この国では聖女を探すべく年頃になると、国中の女聖女であるかのテストを受けることのなっていた。
「貴方は選ばれし、我が国の聖女でございます。これから国のため、国民のために我々をお導き下さい」
大神官が何を言っているのか分からなかった。しかし、理解出来たのは私を見る目がまるで神を見るかのような眼差しを向けていた。
その日、私の生活は一変した。
【完結】王太子とその婚約者が相思相愛ならこうなる。~聖女には帰っていただきたい~
かのん
恋愛
貴重な光の魔力を身に宿した公爵家令嬢エミリアは、王太子の婚約者となる。
幸せになると思われていた時、異世界から来た聖女少女レナによってエミリアは邪悪な存在と牢へと入れられてしまう。
これは、王太子と婚約者が相思相愛ならば、こうなるであろう物語。
7月18日のみ18時公開。7月19日から毎朝7時更新していきます。完結済ですので、安心してお読みください。長々とならないお話しとなっております。感想などお返事が中々できませんが、頂いた感想は全て読ませてもらっています。励みになります。いつも読んで下さる皆様ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる