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呪いと祝福の境界
015 神様
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カルタの目が光を帯びる。同時にナガトの目も光を帯びる。
先に動いたのはナガトだった。駆け出して、目の前に迫るカルタの横腹へ回し蹴りを入れようとーーーカルタはその蹴りを腕で防ぎ、反対の腕でナガトを殴ろうと腕を引く。
カルタの腕がどのような軌道を描くのか、ナガトは瞬間的に考えを巡らせる。この対面の角度で、この身長差、2人の距離感、カルタの腕の長さ、前回相対した時に見たカルタの癖。今までの戦闘経験を、この一瞬に集約して、カルタの行動を予測する。
顔へ殴りを入れてくる。そう判断した瞬間に顔へ飛んでくる拳を右へ躱し、距離をとった。
今度はカルタから仕掛けた。距離を詰められたナガトは、防戦一方になった。様々な角度から繰り出されるパンチや蹴りに反撃の糸口を全く見出せなかった。止まらない連撃の中、ナガトはガードし損ねた蹴りを一つ、諸に溝落ちに食らった。カハッと唾が出る。息が止まりかける。その隙にカルタは更に追撃をした。頭、溝落ち、首、脚、全てに重い一撃を入れた。やはり、単純な勝負では勝てない。そんな考えが頭をよぎる。
地にうつ伏せになったナガトは血反吐を吐いた。それを見て、カルタは
「これであなたは十分でしょう?
次はあの女に、神と言うものを教えてあげましょう。尤も、もう息をしていないかもしれませんが。」
と言って不気味な笑みを浮かべた。
ミナミは絶対死なない。きっとこんなとこで死ぬような奴じゃない。んで今は!ミナミが来るまでこいつを。早く来てくれ。
でも…「呪い」を使った上で負けるような奴に、ミナミは、勝てるのだろうか。そもそも広間にはカルタの他に、信者がざっと100人位はいた。それを全部相手に出来るのか。
うつ伏せになったまま、そんなネガティブな考えが頭を巡った。
いや、考えたらダメだ。とにかく、とにかく今はミナミが来るまで、時間稼ぎだ。どうしてでもカルタを。
後ろ姿のカルタを見据えて、腕に力を入れて立ち上がる。口の血を拭い、ふーっと息を吐く。
ナガトが立ち上がったのを察して、カルタの動きがピクッと止まり、ゆっくりと振り返る。
「幾らやっても返り討ちに遭うだけですよ。
弱者が勝つことは出来ない。負けるのみです。だから、信じねばならないのです、神を。崇めねばならないのです、私を」
そう言ったカルタの目に、気味の悪い光が宿る。
「クソ喰らえだ、神様」
そう言ってナガトは口角を吊り上げた。
先に動いたのはナガトだった。駆け出して、目の前に迫るカルタの横腹へ回し蹴りを入れようとーーーカルタはその蹴りを腕で防ぎ、反対の腕でナガトを殴ろうと腕を引く。
カルタの腕がどのような軌道を描くのか、ナガトは瞬間的に考えを巡らせる。この対面の角度で、この身長差、2人の距離感、カルタの腕の長さ、前回相対した時に見たカルタの癖。今までの戦闘経験を、この一瞬に集約して、カルタの行動を予測する。
顔へ殴りを入れてくる。そう判断した瞬間に顔へ飛んでくる拳を右へ躱し、距離をとった。
今度はカルタから仕掛けた。距離を詰められたナガトは、防戦一方になった。様々な角度から繰り出されるパンチや蹴りに反撃の糸口を全く見出せなかった。止まらない連撃の中、ナガトはガードし損ねた蹴りを一つ、諸に溝落ちに食らった。カハッと唾が出る。息が止まりかける。その隙にカルタは更に追撃をした。頭、溝落ち、首、脚、全てに重い一撃を入れた。やはり、単純な勝負では勝てない。そんな考えが頭をよぎる。
地にうつ伏せになったナガトは血反吐を吐いた。それを見て、カルタは
「これであなたは十分でしょう?
次はあの女に、神と言うものを教えてあげましょう。尤も、もう息をしていないかもしれませんが。」
と言って不気味な笑みを浮かべた。
ミナミは絶対死なない。きっとこんなとこで死ぬような奴じゃない。んで今は!ミナミが来るまでこいつを。早く来てくれ。
でも…「呪い」を使った上で負けるような奴に、ミナミは、勝てるのだろうか。そもそも広間にはカルタの他に、信者がざっと100人位はいた。それを全部相手に出来るのか。
うつ伏せになったまま、そんなネガティブな考えが頭を巡った。
いや、考えたらダメだ。とにかく、とにかく今はミナミが来るまで、時間稼ぎだ。どうしてでもカルタを。
後ろ姿のカルタを見据えて、腕に力を入れて立ち上がる。口の血を拭い、ふーっと息を吐く。
ナガトが立ち上がったのを察して、カルタの動きがピクッと止まり、ゆっくりと振り返る。
「幾らやっても返り討ちに遭うだけですよ。
弱者が勝つことは出来ない。負けるのみです。だから、信じねばならないのです、神を。崇めねばならないのです、私を」
そう言ったカルタの目に、気味の悪い光が宿る。
「クソ喰らえだ、神様」
そう言ってナガトは口角を吊り上げた。
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