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飲んだ薬の影響か、意識が朦朧としている。目の前の彼の話を聞きたいのに、集中できない。
「僕たち家族は君の父親から…」
彼は私の父を恨んでいるらしい。この家で働く人たちは彼と同じように父への恨みを募らせた人たちが集められていると聞いた。
「…あの男が溺愛している君を…」
憎んでいる父への復讐として大切なものを奪ってやろうといったところらしい。私は恋人だと思っていたけど、彼にとってはただの復讐の道具だったようだ。全然気が付かなかった。それくらい、2人で過ごした時間は幸せなものだった。
復讐の為に生きるなんてやめてほしい。何をしたって父への恨みは消えないかもしれない。負の感情に囚われて一生を台無しになんてしないで。私のことは忘れて幸せに生きて―――
パンッ
「またこの夢…」
全身に汗をかき、悪夢から目を覚ました。何故か最近見る頻度が高くなっているように思う。愛した恋人から裏切られ死ぬことになる夢だなんて最悪だ。いや、何より最悪なのはこの夢はただの夢ではなく実際に起こったこと―――自分の前世での出来事ということだ。
前世のことを憶えているだなんて言ったら頭がおかしくなったと思われる。家族や友人にも伝えることができず、ずっと1人で抱え込んできた。前世の影響もあってろくに恋人もできない。もしまた命を狙われたらどうしよう。ありえないことだと分かりながらも、異性との交流を深めることに躊躇をしてしまう。唯一仲良くしているのは幼馴染のフィリップだが、幼い頃から兄弟のように育ったものだからお互いにそういった感情が一切ない。
このまま1人で年を重ねていくことも考えていた中、突如舞い込んできた話がある。どうやら家同士の古い約束で同年代の男女が生まれたら結婚させようという話があったらしい。あくまでも口約束に過ぎず、今時そんなことを強要するものではない。両家ともあってないようなものとして扱ってきたのだが、自分の子供が全く結婚する様子がないところから一度会わせてみようということになったそうだ。
両親をいつまでも心配させるのもよくない。会ってみて悪い人でなければ話を進めるのもいい。形だけの婚姻をして相手には自由に過ごしてもらうという手もある。一体どんな人なのだろうか。年は3つ上で王都で暮らしているということしか情報がない。ちなみに顔合わせは今日である。とりあえずこの汗を洗い流して身支度を整えなければ。
お見合いほどお堅いものではないから、最初の挨拶以外は2人で話しやすいようにとカフェで待ち合わせとなっている。相手を待っている間、両親にお相手のことを聞こうとしたところで、丁度彼らも到着したようだ。
「お待たせしてしまい申し訳ありません」
「いえいえ、私たちも到着したばかりですよ」
何世代も遡った両家の長男同士がとても仲が良く、自分たちの子供を結婚させようと約束したらしい。しかし、男子しか生まれなかったり、逆に女子しか生まれなかったり、年齢が少し離れていたりと約束が果たされることはなかった。やがて好きな相手と結ばれてほしいという親の願いもあって、2人の口約束は形骸化した。まさか自分の代で果たすことになるとは。いや、正確にはまだ決まってはいないか。
「ほらゾーエ、見惚れてないでリーンさんにご挨拶なさい」
母親に促された青年がこちらに目を向けた瞬間、時が止まったかと思った。
「ゾーエ・カネーシオと申します」
嘘だ。そんなはずない。どうして―――
「リーン?どうしたの。あなたも挨拶なさい」
「リーン・トロープと…申します」
「この子ったらゾーエさんがハンサムだから緊張しているみたい」
違う、そんな理由じゃない。私はこの人を知っている。
この人は、前世の恋人だ。
「僕たち家族は君の父親から…」
彼は私の父を恨んでいるらしい。この家で働く人たちは彼と同じように父への恨みを募らせた人たちが集められていると聞いた。
「…あの男が溺愛している君を…」
憎んでいる父への復讐として大切なものを奪ってやろうといったところらしい。私は恋人だと思っていたけど、彼にとってはただの復讐の道具だったようだ。全然気が付かなかった。それくらい、2人で過ごした時間は幸せなものだった。
復讐の為に生きるなんてやめてほしい。何をしたって父への恨みは消えないかもしれない。負の感情に囚われて一生を台無しになんてしないで。私のことは忘れて幸せに生きて―――
パンッ
「またこの夢…」
全身に汗をかき、悪夢から目を覚ました。何故か最近見る頻度が高くなっているように思う。愛した恋人から裏切られ死ぬことになる夢だなんて最悪だ。いや、何より最悪なのはこの夢はただの夢ではなく実際に起こったこと―――自分の前世での出来事ということだ。
前世のことを憶えているだなんて言ったら頭がおかしくなったと思われる。家族や友人にも伝えることができず、ずっと1人で抱え込んできた。前世の影響もあってろくに恋人もできない。もしまた命を狙われたらどうしよう。ありえないことだと分かりながらも、異性との交流を深めることに躊躇をしてしまう。唯一仲良くしているのは幼馴染のフィリップだが、幼い頃から兄弟のように育ったものだからお互いにそういった感情が一切ない。
このまま1人で年を重ねていくことも考えていた中、突如舞い込んできた話がある。どうやら家同士の古い約束で同年代の男女が生まれたら結婚させようという話があったらしい。あくまでも口約束に過ぎず、今時そんなことを強要するものではない。両家ともあってないようなものとして扱ってきたのだが、自分の子供が全く結婚する様子がないところから一度会わせてみようということになったそうだ。
両親をいつまでも心配させるのもよくない。会ってみて悪い人でなければ話を進めるのもいい。形だけの婚姻をして相手には自由に過ごしてもらうという手もある。一体どんな人なのだろうか。年は3つ上で王都で暮らしているということしか情報がない。ちなみに顔合わせは今日である。とりあえずこの汗を洗い流して身支度を整えなければ。
お見合いほどお堅いものではないから、最初の挨拶以外は2人で話しやすいようにとカフェで待ち合わせとなっている。相手を待っている間、両親にお相手のことを聞こうとしたところで、丁度彼らも到着したようだ。
「お待たせしてしまい申し訳ありません」
「いえいえ、私たちも到着したばかりですよ」
何世代も遡った両家の長男同士がとても仲が良く、自分たちの子供を結婚させようと約束したらしい。しかし、男子しか生まれなかったり、逆に女子しか生まれなかったり、年齢が少し離れていたりと約束が果たされることはなかった。やがて好きな相手と結ばれてほしいという親の願いもあって、2人の口約束は形骸化した。まさか自分の代で果たすことになるとは。いや、正確にはまだ決まってはいないか。
「ほらゾーエ、見惚れてないでリーンさんにご挨拶なさい」
母親に促された青年がこちらに目を向けた瞬間、時が止まったかと思った。
「ゾーエ・カネーシオと申します」
嘘だ。そんなはずない。どうして―――
「リーン?どうしたの。あなたも挨拶なさい」
「リーン・トロープと…申します」
「この子ったらゾーエさんがハンサムだから緊張しているみたい」
違う、そんな理由じゃない。私はこの人を知っている。
この人は、前世の恋人だ。
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