俺がモテない理由

秋元智也

文字の大きさ
14 / 82

第十四話 一網打尽

しおりを挟む
一人になるのを待っていたかのように、俺は追い
詰められていた。

いや、正確には今自分を餌に釣りをしているのだ。

試合もあっけなく終わりを告げると、誠治と合流
を図る為に、待っていた俺に話しかけてきた集団
がいた。

闇討ちではなく、今度は堂々ときたらしい。

「おい、試合の賭け金置いていきな。なもないと
 無事にここから出られないぞ?」
「うわぁーこわぁ~い!じゃ~逃げちゃおうっと」
「おい、待てっ!おい、そいつを捕まえろ!」

後ろから怒鳴り声が響く。

山賊崩れのような強面の男達に追われながら今、
街を走り回っている。

勿論、ルートは頭に入っている。
細い路地を何度も曲がり、追いつかれないスピー
ドで、それでいて巻いてしまわない程度に速度を
調整する。

何ヶ所目かの角を曲がると、待ち受けていたモン
ドによって、数人がひっくり返る。

避けて走って来た数人は、次の角で誠治によって
コテンパンに叩きのめされたのだった。

「陸、ご苦労様」
「これでギルドに突き出せば終了だな」
「まさか、こいつらが賞金首だとは思わなかった
 ぜ」


魔法薬によって、顔を変え犯行を繰り返していた
強盗団なのだと知った。

それは、モンドが前日に捕まえた数人をギルドに
引き渡した事で発覚したのだった。

羽振りのいい客や、勝ち続けて大金を得た客をタ
ーゲットにしていたらしく、なかなか捕まえられ
なかったらしい。

そこへ勇者である誠治が現れて、一網打尽にする
計画を練っている事を話したのだった。

無事、捕まえる事に成功すると、報奨金もがっぽ
りいただいたのだった。

「モンドは勇者じゃないんだろ?いっそ俺たちと
 一緒に行かないか?」

俺の言葉に、モンドは少し驚いた顔をした。

「俺は勇者にはなれなかった……が、勇者パーティ
 ーに入れてくれるなら、それほど嬉しい事はねー
 な。これからも、頼むぜ、相棒!」
「勿論だ」
「よろしく。でも……陸の手を握るのはやめてもら
 おうかな?」

がっしりとモンドの手を握り締めると、誠治がすぐ
に引き剥がそうと力を込めたのだった。

こうして、鍛治職人兼、剣士を仲間にして前衛が二
人になった俺たち勇者パーティーは、次は回復職を
仲間にしたいところではあったのだが……。

「次の街へ行く前にだ!」
「まずは、装備はコレでいいとして、問題は勇者の
 『剣』だな!」
「そうだ!このままじゃ、魔物は切れても魔族には
 歯が立たないかもしれない」

それというのも、魔物は通常の武器でも切れるのだ
が、魔族の皮膚は頑丈でアダマンタイトで作った剣
出ないと切れないのだという。

ただそれだけでは聖剣には届かず。
聖なる泉の水を精製に使って、アダマンタイト鉱石
で剣を鍛える必要があるという。

「ってわけでだ!目的地は、まずは聖なる神水が湧
 く泉へ行って、その後鉱山でアダマンタイトを見
 つけるって事でいいよな?」

俺が、振り返ると、モンドも、誠治も納得してくれ
たのだった。

「まずは腹ごしらえだ!食堂行こうぜ」
「そう来なくちゃな!」
「そうだね、お腹も空いたし、行こうか」

3人で席を立つと居酒屋へと向かう。

そこは大衆居酒屋のような趣で、漫画肉とまではい
かないまでも、かぶりつくような大きな肉も販売し
ていた。

「うわぁ~すげー美味そう」
「ここは、味も格別だぞ」
「それでも、塩、胡椒の差だろうね」

誠治はここに来てから料理の味に少し不満があるよ
うだった。

俺は、別段食べられれば問題ない。
それに、こっちの世界の肉が魔物の肉や、家畜の肉
で、断然魔物肉のが甘味があって美味しいのだった。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

事なかれ主義の回廊

由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・

多分嫌いで大好きで

ooo
BL
オメガの受けが消防士の攻めと出会って幸せになったり苦しくなったり、普通の幸せを掴むまでのお話。 消防士×短大生のち社会人 (攻め) 成瀬廉(31) 身長180cm 一見もさっとしているがいかにも沼って感じの見た目。 (受け) 崎野咲久(19) 身長169cm 黒髪で特に目立った容姿でもないが、顔はいい方だと思う。存在感は薄いと思う。 オメガバースの世界線。メジャーなオメガバなので特に説明なしに始まります( . .)"

君の中に入りたい

下井理佐
BL
【完結しました!】 霊媒体質のせいで病弱になってしまった高校生・氷室翠(ひむろすい)は、ある日街中で霊を取り込んでしまい苦しんでいるところを隣のクラスの神原春渡(かんばらはると)に助けられる。神原の特殊な力に気付いた氷室は、神原に友達になってほしいと願う。

冷酷なミューズ

キザキ ケイ
BL
画家を夢見て都会へやってきた青年シムは、「体液が絵の具に変わる」という特殊な体質を生かし、貧乏暮らしながらも毎日絵を描いて過ごしている。 誰かに知られれば気持ち悪いと言われ、絵を売ることもできなくなる。そう考えるシムは体質を誰にも明かさなかった。 しかしある日、シムの絵を見出した画商・ブレイズに体質のことがばれてしまい、二人の関係は大きく変化していく。

あなたの家族にしてください

秋月真鳥
BL
 ヒート事故で番ってしまったサイモンとティエリー。  情報部所属のサイモン・ジュネはアルファで、優秀な警察官だ。  闇オークションでオメガが売りに出されるという情報を得たサイモンは、チームの一員としてオークション会場に潜入捜査に行く。  そこで出会った長身で逞しくも美しいオメガ、ティエリー・クルーゾーのヒートにあてられて、サイモンはティエリーと番ってしまう。  サイモンはオメガのフェロモンに強い体質で、強い抑制剤も服用していたし、緊急用の抑制剤も打っていた。  対するティエリーはフェロモンがほとんど感じられないくらいフェロモンの薄いオメガだった。  それなのに、なぜ。  番にしてしまった責任を取ってサイモンはティエリーと結婚する。  一緒に過ごすうちにサイモンはティエリーの物静かで寂しげな様子に惹かれて愛してしまう。  ティエリーの方も誠実で優しいサイモンを愛してしまう。しかし、サイモンは責任感だけで自分と結婚したとティエリーは思い込んで苦悩する。  すれ違う運命の番が家族になるまでの海外ドラマ風オメガバースBLストーリー。 ※奇数話が攻め視点で、偶数話が受け視点です。 ※エブリスタ、ムーンライトノベルズ、ネオページにも掲載しています。

子持ちオメガが運命の番と出会ったら

ゆう
BL
オメガバースのblです。

黒獅子の愛でる花

なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。 中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。 深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。 サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。 しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。 毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。  そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。 王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。 王妃は現在、病で療養中だという。 幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。 サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

処理中です...