15 / 82
第十五話 情報屋トーテン
しおりを挟む
聖なる神水が湧く泉は、深い森の奥にあると聞く。
それは誰も立ち入らない、深い深ーい森の奥だと
いう。
光も当たらない、そんな場所にポツリと、全てを
癒す神水が沸いているらしい。
「なんか、胡散臭くねーか?」
「誰も行った事ね~からなぁ~」
モンドが肉に齧り付きながら話す。
「なんで行かねーんだよ?」
「行かねーんじゃなくて、行けねーんだよ」
「……?」
モンドが言うには、真っ直ぐ進んでいるはずが、
いつのまにか元の場所に戻って来ているらしい。
「それって……」
「結界…だね?」
「だな……中に入れさせねーってか…断然やる気
出た!ぜってー入ってやろうじゃん」
俺はこう言う展開が一番燃える。
魔法となれば、負けてはいられないからだ。
すると、給仕をしていた女性が誠治の横に来ると
胸を強調した服を押し付けていた。
またかよ……。
お決まりのお色気作戦。
何度も見せられて来たことだから、いちいち気に
しない。
しかも、今年の優勝者だけに、余計に悪目立ちし
ていた。
「おい、誠治いい加減に…………」
女とイチャイチャしたいなら外でやれ!
そう言いかけた時、目の前で濃厚なキスシーンが
始まったのだった。
俺は真っ赤になって、言葉を失ったのだった。
誠治はやんわりと彼女に微笑むと引き剥がした。
「陸?どうしたの?陸?りーくー」
「………どうしたじゃねーだろ?勇者ってのはモテ
るんだろ?決まった相手とだけにしとけよ?」
モンドは一途らしい。
なので、優勝した後も誰にも触れなかったらしい。
「まぁ、僕がしたわけではないからな~。陸?」
誠治は何か考えてから、チュッと俺の唇にキスをし
た。
「コレでおあいこ?」
誠治はニッコリと笑ったが、俺は笑えなかった。
眉間に青筋が浮かぶのが分かる。
「ふざけんな!俺のファーストキス奪ってんじゃ
ねー!」
大学生にもなって、まだ童貞だし、キスすらまだ
誰ともしたことがなかったのにーー!!
それも、初めてがこんな軽い奴なんて。
しかも相手が男とか!あり得ねー!
俺は、叫ぶと宿屋へと走って戻ったのだった。
♦︎
この街にも情報屋はいるもので、金次第でどんな
情報であっても数日のうちに集めてくるくらいに
優秀な人材だと言われていた。
だが、実際情報屋の姿を見た者はなく、ただ名前
をトーテンという愛称だけが巷で噂になっている
という。
「モンド、悪いけどその情報屋に会う方法はある
のか?」
「あぁ、それならこれだ」
「地図?」
「その通りに行けば会えるって言われている。た
だし、金がないと会ってもくれないって噂だぜ」
「金なら、ある!」
俺が成金にでもなったかのように金貨をじゃらつ
かせたのだった。
誠治が優勝してくれたおかげで、たんまり稼がせて
もらったのだ。
地図の通りに行くと、行き止まりになっていた。
地図では先があるように書かれている。
と言う事は、多分その先にいるのだろう。
俺は金貨を見せびらかすと大声を上げた。
「情報屋トーテンに聞く。聖なる神水の場所までの
案内を頼みたい。前金はここにある。出てこない
なら、このまま帰るがいいか?」
じゃらじゃらと音を立てると、目の前にあった壁が
スッと消えていた。
目の前に現れたのは、小さな少年だった。
「君がトーテンかい?」
誠治が腰を落とすと、少年の目の高さに合わせて話
した。
「そうじゃ。我がトーテンじゃ。主の金貨の音が心
地良くてのう」
「いい耳してんじゃん」
俺の言葉に臆せずニヤリと笑ったのだった。
手を出す少年に俺は金貨の入った袋を渡した。
中を確認すると、少年は自信満々に頷いた。
「3日待て、3日後に再びこの場所に来るがいい。
案内してやろう」
「分かった。交渉成立だな?」
納得したのか、少年はまるで霞のように消えていた。
これが、トーテンとの出会いだった。
金にがめつい男だった。
逆に言えば、金さえ積めばどんな事でもやるような
外道でもあったからだ。
それは誰も立ち入らない、深い深ーい森の奥だと
いう。
光も当たらない、そんな場所にポツリと、全てを
癒す神水が沸いているらしい。
「なんか、胡散臭くねーか?」
「誰も行った事ね~からなぁ~」
モンドが肉に齧り付きながら話す。
「なんで行かねーんだよ?」
「行かねーんじゃなくて、行けねーんだよ」
「……?」
モンドが言うには、真っ直ぐ進んでいるはずが、
いつのまにか元の場所に戻って来ているらしい。
「それって……」
「結界…だね?」
「だな……中に入れさせねーってか…断然やる気
出た!ぜってー入ってやろうじゃん」
俺はこう言う展開が一番燃える。
魔法となれば、負けてはいられないからだ。
すると、給仕をしていた女性が誠治の横に来ると
胸を強調した服を押し付けていた。
またかよ……。
お決まりのお色気作戦。
何度も見せられて来たことだから、いちいち気に
しない。
しかも、今年の優勝者だけに、余計に悪目立ちし
ていた。
「おい、誠治いい加減に…………」
女とイチャイチャしたいなら外でやれ!
そう言いかけた時、目の前で濃厚なキスシーンが
始まったのだった。
俺は真っ赤になって、言葉を失ったのだった。
誠治はやんわりと彼女に微笑むと引き剥がした。
「陸?どうしたの?陸?りーくー」
「………どうしたじゃねーだろ?勇者ってのはモテ
るんだろ?決まった相手とだけにしとけよ?」
モンドは一途らしい。
なので、優勝した後も誰にも触れなかったらしい。
「まぁ、僕がしたわけではないからな~。陸?」
誠治は何か考えてから、チュッと俺の唇にキスをし
た。
「コレでおあいこ?」
誠治はニッコリと笑ったが、俺は笑えなかった。
眉間に青筋が浮かぶのが分かる。
「ふざけんな!俺のファーストキス奪ってんじゃ
ねー!」
大学生にもなって、まだ童貞だし、キスすらまだ
誰ともしたことがなかったのにーー!!
それも、初めてがこんな軽い奴なんて。
しかも相手が男とか!あり得ねー!
俺は、叫ぶと宿屋へと走って戻ったのだった。
♦︎
この街にも情報屋はいるもので、金次第でどんな
情報であっても数日のうちに集めてくるくらいに
優秀な人材だと言われていた。
だが、実際情報屋の姿を見た者はなく、ただ名前
をトーテンという愛称だけが巷で噂になっている
という。
「モンド、悪いけどその情報屋に会う方法はある
のか?」
「あぁ、それならこれだ」
「地図?」
「その通りに行けば会えるって言われている。た
だし、金がないと会ってもくれないって噂だぜ」
「金なら、ある!」
俺が成金にでもなったかのように金貨をじゃらつ
かせたのだった。
誠治が優勝してくれたおかげで、たんまり稼がせて
もらったのだ。
地図の通りに行くと、行き止まりになっていた。
地図では先があるように書かれている。
と言う事は、多分その先にいるのだろう。
俺は金貨を見せびらかすと大声を上げた。
「情報屋トーテンに聞く。聖なる神水の場所までの
案内を頼みたい。前金はここにある。出てこない
なら、このまま帰るがいいか?」
じゃらじゃらと音を立てると、目の前にあった壁が
スッと消えていた。
目の前に現れたのは、小さな少年だった。
「君がトーテンかい?」
誠治が腰を落とすと、少年の目の高さに合わせて話
した。
「そうじゃ。我がトーテンじゃ。主の金貨の音が心
地良くてのう」
「いい耳してんじゃん」
俺の言葉に臆せずニヤリと笑ったのだった。
手を出す少年に俺は金貨の入った袋を渡した。
中を確認すると、少年は自信満々に頷いた。
「3日待て、3日後に再びこの場所に来るがいい。
案内してやろう」
「分かった。交渉成立だな?」
納得したのか、少年はまるで霞のように消えていた。
これが、トーテンとの出会いだった。
金にがめつい男だった。
逆に言えば、金さえ積めばどんな事でもやるような
外道でもあったからだ。
20
あなたにおすすめの小説
事なかれ主義の回廊
由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・
多分嫌いで大好きで
ooo
BL
オメガの受けが消防士の攻めと出会って幸せになったり苦しくなったり、普通の幸せを掴むまでのお話。
消防士×短大生のち社会人
(攻め)
成瀬廉(31)
身長180cm
一見もさっとしているがいかにも沼って感じの見た目。
(受け)
崎野咲久(19)
身長169cm
黒髪で特に目立った容姿でもないが、顔はいい方だと思う。存在感は薄いと思う。
オメガバースの世界線。メジャーなオメガバなので特に説明なしに始まります( . .)"
君の中に入りたい
下井理佐
BL
【完結しました!】
霊媒体質のせいで病弱になってしまった高校生・氷室翠(ひむろすい)は、ある日街中で霊を取り込んでしまい苦しんでいるところを隣のクラスの神原春渡(かんばらはると)に助けられる。神原の特殊な力に気付いた氷室は、神原に友達になってほしいと願う。
冷酷なミューズ
キザキ ケイ
BL
画家を夢見て都会へやってきた青年シムは、「体液が絵の具に変わる」という特殊な体質を生かし、貧乏暮らしながらも毎日絵を描いて過ごしている。
誰かに知られれば気持ち悪いと言われ、絵を売ることもできなくなる。そう考えるシムは体質を誰にも明かさなかった。
しかしある日、シムの絵を見出した画商・ブレイズに体質のことがばれてしまい、二人の関係は大きく変化していく。
あなたの家族にしてください
秋月真鳥
BL
ヒート事故で番ってしまったサイモンとティエリー。
情報部所属のサイモン・ジュネはアルファで、優秀な警察官だ。
闇オークションでオメガが売りに出されるという情報を得たサイモンは、チームの一員としてオークション会場に潜入捜査に行く。
そこで出会った長身で逞しくも美しいオメガ、ティエリー・クルーゾーのヒートにあてられて、サイモンはティエリーと番ってしまう。
サイモンはオメガのフェロモンに強い体質で、強い抑制剤も服用していたし、緊急用の抑制剤も打っていた。
対するティエリーはフェロモンがほとんど感じられないくらいフェロモンの薄いオメガだった。
それなのに、なぜ。
番にしてしまった責任を取ってサイモンはティエリーと結婚する。
一緒に過ごすうちにサイモンはティエリーの物静かで寂しげな様子に惹かれて愛してしまう。
ティエリーの方も誠実で優しいサイモンを愛してしまう。しかし、サイモンは責任感だけで自分と結婚したとティエリーは思い込んで苦悩する。
すれ違う運命の番が家族になるまでの海外ドラマ風オメガバースBLストーリー。
※奇数話が攻め視点で、偶数話が受け視点です。
※エブリスタ、ムーンライトノベルズ、ネオページにも掲載しています。
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる