俺がモテない理由

秋元智也

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第十九話 魔物それとも眷属?

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俺は、この村に入ってから奇妙な視線を感じている。
そこは小さな村で、働き盛りの男達が消えるのは一
大事なのだった。

一刻も早く解決したいのだろう。

一旦、視線の先を調べたくて誠治にもこっそり話し
たのだった。

「でも、その視線の先には誰も居ないんだよね?」
「あぁ、どこを見ても誰も居ない。おかしいよな?」
「陸、動物の可能性はある?」
「いやいや。動物がこんな殺気立った視線を送るか
 よっ!絶対に人間だって」
「違う違う。例えば……蝙蝠とかって事」

蝙蝠と聞いて使い魔を思い出す。

魔王幹部にも蝙蝠を使って諜報をしている者がいた。

「それって……まさか…」
「うん、魔王との契約は魔王サイドの魔族には有効
 がだ、別の組織となれば話は別だからね」

せっかく平和になった世界を再び戦乱の渦に呑みこ
ませるわけにはいかなかった。

「魔王以外の連中なら全員潰したはずだろ?」
「取り逃したのかもね…もしくは……」

魔王と手を組んで、魔王の取り決め反対する魔族を
一掃したのが、最近あった出来事だった。

それは、勇者と魔王が初めて共同戦線をおこなった
事を意味していた。

「魔王は、戦いを好まなかった……でも配下も同じ
 とは限らないよね?」
「確かにな……でもさ、それでも農作物を一口づつ 
 齧る理由が分からねーんだよな」
「それは捕まえて聞いてみればいいんじゃないかな」
「まぁ、そうだな。待ち伏せしようじゃねーか」

すぐに村長の家に行くと、休ませてもらう事にした。
そして、夜になってようやく行動開始したのだった。


俺がまずしたのは、魔術結界を張る事だった。

自分には視認阻害をかけてただじっと待つのだ。
その間に、勇者の誠治が見回りと称してわざと松明を
持って見回りに出る。

誠治が通り過ぎた後に、ゆっくりと影が落ちる。
ゆらゆらと明かりがゆらめいて誠治が歩いて行くの
が見える。

俺はただ、じっとしているだけだ。
そして、ガサガサッと音がして一人の男が顔を出し
た。
身なりはシャツ一枚の着古した布を着ており、農地
へとゆっくりと近づく。

頭をガッと掻きむしると、植えてある農作物を引き
抜いた。

尖った牙で噛み付くと、地面にペッと吐き出した。

「何をやってるんだ?」

不思議でならない。
同じような事を繰り返すと、どこからかもう一人現
れると同じ事を繰り返したのだった。
彼らには殺気などない。

では、誰が?

そう思っていると、無数の鳥が飛んできて集まって
行く。
いや、違う。
鳥じゃない。翼を持つ夜の使者。
蝙蝠の大群だった。
1箇所に集まると、人の形を成した。

「あいつは……」

それはかつて魔王に仕えていた吸血鬼の種族の王に
して最後まで人間の勇者と手を組む事を反対してい
た者だった。

確か、魔王領を出て行ったのは覚えている。

他の魔族のように勇者に向かって来なかったので
すっかり忘れていた。

奴の得意なスキルは催眠状態にして自分の思うがま
ま操り、眷属を増やす事だったはずだ。

では、この畑を荒らしている者達は、元は村人?
それとも、もう眷属になっているのだろうか?

眷属なら、捕まえて朝日を待てばいい。
もし、まだ中途半端なのだとしたら……。

生きる屍のように村の人間を襲うかもしれなかった。

なんにしろ、やる事は一つだ。

まずは足止めして拘束。
その後の事は、その時考えればいい。

『風の刃よ、我が前の敵を穿て!熱き炎よ、燃え
 上がり周りを囲え』

俺の使える最大火力を持って封じる。

辺りを突風が吹くと畑を荒らしていた男達の足元
をすり抜けた。

作物ギリギリと風の刃が通り過ぎると両足が簡単
にちぎれた。

周りを囲むように炎の檻が出来ると、出ようとし
た瞬間、灼熱の炎が身体を焼くように出来ている。

「こんなところに隠れているとは……勇者のオマ
 ケくん」
「あ″ぁ?なんだと?」

俺が一瞬、自分の事をオマケと言った男を睨みつ
けたのだった。

「あぁ、そういえば魔術師だったんですね~、そ
 のつたない魔法で私の子達を捕まえておけると
 でも?」

ニヤニヤといやらしく笑うと、再び蝙蝠に変化し
て暗闇に消えていった。

今も炎の檻の中には、さっきまで畑を荒らしてい
た男達がおとなしくしていた。

「何言ってやがるんだ?ただの負け惜しみだろ?」
「陸!」

誠治の声に俺は振り返ると、畑の真ん中で炎の柱
が上がった。

「なにっ!」

さっきまで大人しくしていた男達がいきなり暴れ
出したのだった。
身体は炎に焼かれ、身体が焼ける匂いがする。

それなのに、行動を止めなかった。

足を切断されたにも関わらず、這ってでも動き出
そうとしたのだった。

「なんだよ、こいつら…」
『風よ、我が前に渦を巻き、頭上へと巻き上げよ』

一瞬で頭上まで巻き上げると、地面に一気に落下
したのだった。

「これで……うげっ……まだ動いてるっ!」
「僕が止めを刺すよ」

駆けてきた誠治が剣を抜くと脳をひとつきした。

ぴくりとも動かなくなると、やっと終わったのだ
と知る。

「やっぱり、アゾビエンテという魔族の仕業だね」
「あぁ、間違いない。あの野郎、俺を勇者のオマ
 ケって言いやがった!全くふざけた奴だぜ」

朝の日が差し込むと、さっき止めをさした男達は
灰へと変わって行ったのだった。





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