俺がモテない理由

秋元智也

文字の大きさ
20 / 82

第二十話 新たな旅立ち

しおりを挟む
サラサラと灰になって行くのを見ながら俺は
一息ついたのだった。
すると、そこに誠治が来るとポツリと呟く。

「やっぱり、眷属だったね」
「あぁ、それもあいつだった」
「そう……だろうね。まだ終わっていなかっ
 たんだ」
「そうだな……」

皇帝には報告してしまったが、実際はまだ終わっ
ていなかったのだ。

魔王は無力化してあるが、その配下までも大人し
くしているわけではない。

人間との和睦協定を認めない魔族はまだいるだろう。

「厄介なことになったな…」
「でも、僕たちがやらないとね」
「まじか……ゆっくり出来ると思ったのにな~」
「それもいいんじゃないかな?前は魔王という敵を
 倒す事が目的だったけど、今度はゆっくりと色々
 な国を巡りながら旅でもしようよ」

誠治は呑気な返事をしてきた。

「せっかく屋敷をもらったのに、いいのかよ?」
「うん、大丈夫。孤児院として活用する事にする
 から」
「はいはい、そうと決まれば、旅の支度をしなき
 ゃだな」

魔王の侵略を止めた勇者パーティーの次の目的地
は、魔王の残党狩りとなったのであった。



一度暴れて、勇者に見つかった土地で再び悪さを
するとは思えなかったので、畑を荒らす魔物の駆
除を終えたと報告する事にしたのだった。

そして、消えた村人は……。
まさか灰になったとは言えない。

「どうやって誤魔化すんだ?」
「う~ん、まぁ遺骨だけでも回収できたらよかっ
 たんだけどね……陸って錬金術師も齧ってたよ
 ね?」
「は?無理だろ?」
「でも、死んだかどうかわからずに待つよりはい
 いと思うけど?」
「………うぅ…」

俺は魔法を習得しながら錬金術師にも手を出して
いた。
ただ基本的な事しか出来なかったが、その中に簡
単なモノなら修復させる事も出来るのだ。

修復であって、そのものの復元ではない。

動物の骨を人間の骨の一部のように見せかけると
いう小細工を言っているのだ。

現代人の科学で骨の標本を思い出せれば問題なく
作る事が出来る。
ただし、本物ではない為どうしてもばらつきや、
形が歪になってしまう事はある。

「この世界の人には見分けなんてつかないよ」
「……勇者が言う台詞か?」
「いいの、いいの。村の人が安心できればいいん
 だよ」

いつまでも待つより、誰ともわからないが、消え
た人数分の遺骨さえあればそれでいいのだった。

俺は、適当に白骨化した骨を拾うと人間の頭蓋骨
を思い浮かべた。

魔力で練ったところに入れて形を整形して行く。

「ふぅ~、これでいいか?」
「うん、上出来だよ。後4つよろしく」

朝日が昇って、村長の家に行く前には数個の骸と
魔物の報告に行ったのだった。

もちろん、村長は泣いて喜んでくれた。
魔物を倒した事と、行方不明だった村人を見つけ
てくれたのだから。
報酬は少し多めにしてくれた。
これには罪悪感しか湧かなかった。




     ♦︎




家に帰ると早速荷物をまとめた。
俺が少ない荷物をまとめていると、なんだか嬉し
そうにレイネが見つめてきた。

「あら、陸ったら出かけるのかしら?そのままず
 っと帰って来なくていいわよ?私と勇者様の邪
 魔ばかりしたんだから、いい加減に邪魔者だと
 気づいたのかしら?」
「悪いが、旅に出るんだ。もちろんあいつも一緒
 だぞ?邪魔で悪かったな。もうついて来なくて
 もいいぞ?」
「えっ!えぇぇぇーーーー!!ちょっと待ちなさ
 いよ!どう言う事よ!この家は?」

慌てるレイネに俺は、軽く鼻を鳴らした。

「ふっ……聞いてないのか?孤児院になるんだっ
 てよ?」
「ちょっと!待ちなさいよ!」

聖女とは思えぬほど口が悪い。

いつも猫の皮をかぶっているだけあってか、俺に
だけ当たりがきついのだ。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

事なかれ主義の回廊

由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・

多分嫌いで大好きで

ooo
BL
オメガの受けが消防士の攻めと出会って幸せになったり苦しくなったり、普通の幸せを掴むまでのお話。 消防士×短大生のち社会人 (攻め) 成瀬廉(31) 身長180cm 一見もさっとしているがいかにも沼って感じの見た目。 (受け) 崎野咲久(19) 身長169cm 黒髪で特に目立った容姿でもないが、顔はいい方だと思う。存在感は薄いと思う。 オメガバースの世界線。メジャーなオメガバなので特に説明なしに始まります( . .)"

君の中に入りたい

下井理佐
BL
【完結しました!】 霊媒体質のせいで病弱になってしまった高校生・氷室翠(ひむろすい)は、ある日街中で霊を取り込んでしまい苦しんでいるところを隣のクラスの神原春渡(かんばらはると)に助けられる。神原の特殊な力に気付いた氷室は、神原に友達になってほしいと願う。

冷酷なミューズ

キザキ ケイ
BL
画家を夢見て都会へやってきた青年シムは、「体液が絵の具に変わる」という特殊な体質を生かし、貧乏暮らしながらも毎日絵を描いて過ごしている。 誰かに知られれば気持ち悪いと言われ、絵を売ることもできなくなる。そう考えるシムは体質を誰にも明かさなかった。 しかしある日、シムの絵を見出した画商・ブレイズに体質のことがばれてしまい、二人の関係は大きく変化していく。

あなたの家族にしてください

秋月真鳥
BL
 ヒート事故で番ってしまったサイモンとティエリー。  情報部所属のサイモン・ジュネはアルファで、優秀な警察官だ。  闇オークションでオメガが売りに出されるという情報を得たサイモンは、チームの一員としてオークション会場に潜入捜査に行く。  そこで出会った長身で逞しくも美しいオメガ、ティエリー・クルーゾーのヒートにあてられて、サイモンはティエリーと番ってしまう。  サイモンはオメガのフェロモンに強い体質で、強い抑制剤も服用していたし、緊急用の抑制剤も打っていた。  対するティエリーはフェロモンがほとんど感じられないくらいフェロモンの薄いオメガだった。  それなのに、なぜ。  番にしてしまった責任を取ってサイモンはティエリーと結婚する。  一緒に過ごすうちにサイモンはティエリーの物静かで寂しげな様子に惹かれて愛してしまう。  ティエリーの方も誠実で優しいサイモンを愛してしまう。しかし、サイモンは責任感だけで自分と結婚したとティエリーは思い込んで苦悩する。  すれ違う運命の番が家族になるまでの海外ドラマ風オメガバースBLストーリー。 ※奇数話が攻め視点で、偶数話が受け視点です。 ※エブリスタ、ムーンライトノベルズ、ネオページにも掲載しています。

子持ちオメガが運命の番と出会ったら

ゆう
BL
オメガバースのblです。

黒獅子の愛でる花

なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。 中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。 深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。 サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。 しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。 毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。  そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。 王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。 王妃は現在、病で療養中だという。 幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。 サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

処理中です...