俺がモテない理由

秋元智也

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第四十八話 接触

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街へと辿り着くと、まずは一般客のように装い
街の中へと潜入する。

あとは領主邸にいるであろうナオを人質にして
交渉を行う。

あの時、ナオの位置はあきらかに普通ではなか
った。
むしろ……前線を見られる位置であってしかも
安全が確保できている後方近くで護られている
場所にいたのだ。

護らなければならない理由となると、心理の魔
眼だろう。

サキュバスの中でも珍しい種類だと言っていた。
戦闘向けではない種族だが、耐性のない人間や
その他の亜人、魔族、ドワーフには魔眼の効果
は絶大だったからだ。

一度かかってしまえば、例え解いたとしても再
び魔眼の影響下に置かれる。
それほど強力なのだ。

だから、あえて人質をとって、その人質に仲間
を説得してもらうと言う手段を取る事にしたの
だった。

まずは、服装から変えると旅人を装った。
大人数で行くとかえって怪しまれそうなので
誠治と俺、レイネとその護衛としてモンドとい
う役割りにして別々に街へ入る門を潜ったのだ
った。

門を護る守衛の門番は笑顔で通してくれた。

「この街はいいところだぞ~、楽しんでいって
 くれ」
「あぁ、ありがとう」

誠治はにこやかに挨拶を交わしていた。
が、実際はそう言っている門番の目は虚で魅了
の影響を受けているのがあきらかだった。

そのあと、すぐに若い女性がおもむろにこちら
へと近づいて来たのだった。

「お兄さん達~、この街は初めて?」
「はい、この街の出身者に頼まれごとをして来
 たのですが、かなり広い街ですね~」
「えぇ、綺麗な街でしょ?よかったら私が案内
 してあげましょうか?」
「それは助かります。ぜひお願いします」
「えぇ、もちろんですわ」

見た目はすっごく綺麗な女性だった。
そう、見た目は綺麗なのだ。
サキュバスという特性上、どの種族に扮してい
ても、確実に美しいと思わせる見目を持つのが
特徴の一つだった。

もう、間違いなくサキュバスだとわかる。

だが、街中で魅了をかける訳ではないのかどこ
かに誘うつもりだろう。
それならそれでいい。
案内してもらおう。

作戦的には、接触して来るサキュバスをまずは
捕まえてナオの元へと連れて行ってもらう。

もし、抵抗するようなら……仕方ないが口を封
じるしかなくなる。

誠治は人には優しいが、敵と判断すると容赦が
なくなる。
まぁ、勇者なのだからそれでいいのかもしれな
い。

でも、俺には人と、魔族、などの他種族によっ
てどう違うとかは考えられなかった。
ただ言えるのは、人に害をなすのなら退治すべ
きだという事だけだった。

過去の惨劇を繰り返さない為にも、早くナオを
見つける必要があったのだ。

「ナオって方を知ってる?どうしても渡してく
 れって頼まれてるんだよね~」
「ナオ様に?」
「……?」
「いえ、そのナオという方の特徴を聞いても?」
「えぇ、いいですよ」

そういうと、前に会った時の彼女の風貌を教え
たのだった。

「紛れもなくそれはあの方です……どこで知り
 あったのか聞いても?」
「今は荷物を先に渡してもいいですか?直に渡
 すように言われているので」
「それは失礼しました。こちらへどうぞ」

サキュバスの中でも地位の高い証拠だった。
案内されたのは、元領主の家だった。

「やっぱりここか………」
「何かありましたか?」
「いや、なんでもないよ。それで、いつ会える
 のかな?」
「すぐに会えますよ。こちらです」

豪勢な客間に通されると、そこには先客がいた
ようだった。

「私に用があるというのは彼らなの?」
「はい、ナオ様に直接渡すものがあるとか…」
「そう。もう下がっていいわよ」
「はい」

俺たちに魅了をかける事なく部屋をでて行った
のだった。






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