俺がモテない理由

秋元智也

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第八十二話 旅の終わり

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一ヶ月が過ぎた頃には、魔族領でも落ち着きを見
せるようになった。

現魔王の統治に反論する者はおらず、誰も人間
達を侵略しようと思う者はいなくなっていた。

平和的な考えが浸透し、人族からは作物の苗も
一緒に届くようになった。

まずは第一弾として勇者が送った苗と教本はとて
も役に立ったという。

魔族領を旅立った勇者達は、村々を通りはじめに
召喚された帝国へと戻って来たのだった。

帰って来ると、歓迎パレードが開かれ、全日のよ
うにお城ではパーティーが開かれたのだった。

『魔王を抑え込んで、従えた勇者』

そう、言われていた。

「別に従えたわけじゃないんだけどなぁ~」
「まぁ、あいつらは名目が欲しかったんだろ」
「陸はつまらなそうだけど、ここでのご飯は嫌だ
 った?」

誠治は両手に女性がくっついている状態でこちら
に話かけて来たのだった。

「誠治……お前さぁ~、食うか、女といちゃつく
 かどっちかにしろよ!鬱陶しいっ!」

俺が気に入らないのは、誠治の周りにまとわりつ
いている女どもなのだ。

いや、違う。
女をまとわりつかせている誠治自身だ!

「僕としては困ってるんだけどね……悪いけど、
 離れてくれるかな?」
「えぇー、構いませんけど、明日はご一緒しても
 構いませんか?できれば二人きりがいいです」
「それはずるいですわ。わたくしと婚約していた
 だけるのなら、すぐにでも離れますわ」
「何を言っていますのっ!それはわたくしとです 
 わ、そうでしょう?勇者様」

全員の視線が誠治へと向けられる。
困ったという顔で陸を眺めてくるが、知った事で
はない。
ガン無視すると、食事を頬張ったのだった。

「俺、今日は先に帰るわ」
「待って、陸っ!僕を置いてくの?」
「勝手にいちゃついてろよ」

こういう光景を見るのはいつもの事だった。
それでも、やっぱり慣れない。

「俺だって……モテるはずだろ…勇者パーティー
 の一員なんだぞ……」

そう呟くが、誰からも見向きもされなかったのだ。
そっと影から顔を見せるアレスに癒されながら宿
屋へと帰ったのだった。

「アレス、お前はここにいてもいいのか?」
『シュジン……ソバニイル……イヤカ?』
「そんな事はないよ。でも、アレスは仲間とか探
 さなくてもいいのか?寂しくないか?」
『ナイ……シュジンガイル……』
「そっか……そうだな」

可愛い契約獣に少し気持ちが浮上したのだった。
今も、パーティーは続いているのだろう。
城の中はどこも明るくて賑やかだった。

「帰りたいな……」

つい本音がもれる。
すると、入り口のドアがギィっと音を立てて開い
た。

「陸、先に帰るなんて酷いじゃないか!」
「さっきの女どもはどうしたんだよ?」
「なに?拗ねてるの?可愛い!」
「可愛くねーよ?毎回揶揄ってばっか……」

俺は膨れっ面を見せると、窓の外を眺めた。
ここの夜は本当に真っ暗になるのだ。

「僕は陸が居ればそれでいいよ?」
「だから、またそんな事を……」
「本当だから。僕は陸が生きている世界であればど
 こでもいいんだ」
「はいはい、俺はそう簡単には死なねーって」

なんだか、苦しそうな視線を向けると誠治はそれ以
上は、何も言ってこなかったのだった。






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