僕の好きは、君とは違う!

秋元智也

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第七話 すれ違い

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いつものカフェに着くとそこにはもう恵が奥の席を確保していた。

「ごめん、いきなり…」
「いいよ~、元彼の頼みだもん。でも、今の彼にはこんなところ
 見せられないな~きっと嫉妬しちゃうから!」

恵は堂々としていた。
昔にイジメから助けて、一緒につるむようになってからは結構図太
くなっていく気がしたが、今ほどではない。

恵と俊が付き合った時でも、実は恵は先生とも関係を持っていた。
毎回呼び出されるのはそういった関係だったからで、俊と交際す
る時にはセフレの関係は辞めたと言っていた。

「一体どうしたの?荒太くんの事?」

こくりと頷くと昨日からの事を話し出した。

「う~ん、それってもしかしたらだけど、僕といるところ見られ
 てない?」
「それはない!だって荒太は気づいてないっぽいし…それにそん
 な話しされてないし…もし恵の事なら俺に話すだろ?見つかっ
 た事に荒太が黙ってるはずないし…」

俊が思っているほど、現実は単純じゃない事は恵が一番わかって
いる。

「あのね~俊くんと荒太くんって付き合ってるんでしょ?それも
 僕が見つかるまでって言ってたんでしょ?なら、荒太くんから
 したら僕が見つかったって言うとおもう?」
「言うだろ?親友だし…それに…」
「それに?自分が捨てられるのに?」
「捨てられるってなんでだよ?俺は荒太の事…誰にも渡すつもり
 はないぞ?」

恵は少し悩みながら俊に話す。

「それって荒太くんも知ってるの?多分、俊の事だから何も言っ
 てないんじゃない?実は好きだって言葉すら言ってないとか?」
「いや、何度も言ったぞ」
「本当に?何回も?ちゃんとした時に?ベッドの上じゃ無効だよ?
 酒が入った時も無効だからね?」
「うっ…それは…」
「やっぱり~、俊、帰ったらちゃんと気持ちを伝えなきゃダメだよ。
 話すのはそれからだよ。それと頭ごなしに怒っちゃダメだからね!」

散々説教されると、仲直りの方法を聞いて、試すべく家に帰った。
部屋に帰ると真っ暗で電気もついていなかった。

寝たままなのかと思うと寝室へと行ってみる。
静まりかえっていた室内には、寝息すら聞こえなかった。
電気を付けると荒太の姿はどこにもなかった。
それだけじゃない、旅行用のスーツケースも無くなっていて、荒太の
私物がごっそりと無くなっていたのだった。
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