間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

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第三十一話 デート

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それからは、椎名が春樹の側から離さなかった。

何かあるごとにくっついて来て、街を歩く時も手を繋いだまま腰を引き寄せ
密着させて来ていた。

「椎名?どうした?」
「いや、春が側にいるって感じたくて…嫌か?」
「そ、そんな事は…/////」

ずっと春樹の身体を常に、いかなる時でも触れてくるようになった。
もう、遠慮する事なく堂々としてくるので何となく躱しては何事もないよう
に落ち着いて対応する。

「まだ処女なわけ?」
「…うんっ/////」

天野は春の顔を見て今も処女である事を知った。

「本当に手を出さないんだな~?春樹はそれでいいのか?女として抱かれた
 いんじゃねーの?」
「それは…今はこのままでもいいかなって…椎名がしたいなら別だけど…」
「なんだよ、それ~。女としての快感は今しか味わえないぞ?」
「いいって、そんなの、お前クドいって!」
「何をしてるの?」

二人のじゃれあいに椎名が冷たい視線を投げかけてきた。

「おかえり、宿に戻るか?」
「あぁ、春おいで」

天野から隠すように自分の後ろに隠す。
嫉妬心丸出しの威嚇に天野は笑いを堪えるのに必死だった。

春樹を連れて行ってしまったあとには一緒にいた聖女が残されていた。

「どう今からちょっとデートしない?聖女さま。」
「わたくしは忙しいのですわ」
「なら、俺にも手伝わせてよ?」
「そんな事は…しかたないのでお茶くらいは付き合ってあげなくもないですわ」

ツンデレな言い方だが、確実に最初の時よりは心を開いているようだった。

「ここデザート美味しいよね~」
「そうですわね…この味なら王都でも店を開けるくらいですわ」
「素直に美味しいって言えない?」
「まぁ、まぁですわ。それに、わたくしが言うと噂が広まってしまって他の店
 に迷惑になってしまいますわ。なので…言葉には気をつけなくては…」

少し俯きながらもぐもぐしている聖女を眺めるとまるで普通の少女に見えた。

「なるほどね。なら、持ち帰りのがよかったって訳か…これからそうしようか」
「そんな事は…」
「素直な感想も言えないんだろ?ここじゃぁさ?なら誰もいないところで思い
 っきり好きなように話しながら食べれる方がいいじゃん?」

天野の笑顔に聖女はドキッと心震わせた。
勇者様を初めて見た時と同じような心が震える感じだった。

「本当に勇者という人はどうしてこんな…」
「聖女様はさ~椎名くんの事好きなのか?」
「…それは勇者様ですから…」
「勇者とか関係なく、男として見てるのかって言いたいんだけど?」
「…男としてみる必要がありますか?聖女は勇者を意のままに操れるように惚れ
 させなければならないのです。ならないのに…わたくしは…」

手に小さな小瓶を握りしめながら悔しさを抱えている。

「ねぇ~知ってる?薬とか毒ってさ~勇者の身体には効かないって…」
「えっ…それはどういう…」
「媚薬をあの教皇が飲ませたのは知ってるよね?春樹だけじゃなくて俺も飲んで
 るんだよ。そして侍女が何人か来たんだけど…勇者には元々耐性が備わってる
 から、すぐに分解されて消えるんだ。もし、使おうって思うならやめておいた
 方がいい。逆に怒りを買うかもよ?」
「何もかもお見通しですの?これを手に入れる為にわたくしが何をして来たと…」
「そうだね~、処女って訳ではなさそうだね~。でも、もしこれからその気がある
 なら、俺が一生守ってあげる事もできるけど?どうしたい?」

聖女の顔がハッとして天野を振り返った。

「俺も勇者だし?結構聖女様の事気に入ってんだよね~?」
「勇者様は…いえ、あなたは軽すぎますわ…」

言いたい事を飲み込むとただ黙々と食べた。

普通に自分の感情も出せず、普通に振る舞い続けるだけの聖女に興味を持った瞬間
だった。

(綺麗なだけじゃない女って…いいじゃん。こっちは簡単に落ちそう…)

天野は聖女をエスコートすべくその日はデートを楽しんだ。
聖女自身も満更ではないようで、楽しんでいたのだった。
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