間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

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第三十二話 魔族

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魔王城まではまだまだ距離がある。
その前に武器を揃えなくてはならなかった。

「あのさ~聖女様の杖って結構古いじゃん?どこかドロップするところ
 ないのか?」

天野が聞くと、聖女は驚いたように天野をみた。

「聖女様だってそのままでは戦えないだろ?」
「それは…」

椎名は渋い顔をした。

「その人を連れていかなければいいんじゃないのか?」
「椎名っ、ここに情報あるじゃん。取りに行こうぜ?勇者が二人もいる
 んだぜ?俺らなら簡単だろ?」

春樹が割り入るように捲し立てた。
その意見に賛同する様に天野も椎名を説得し始める。

「な?ここの街に寄って食糧買い込んで行こうぜ!光魔の杖って格好いいじゃん?」
「格好いいって春っ…」
「いいじゃん?自動バリア生成を行うってさ。ってより後方向けじゃん?」
「あなたの方が後ろで待機していた方がいいのではなくて?レベル1じゃ、たい
 して役にも立たないでしょう?」

久しぶりの聖女の嫌味だった。
が、今は春は余裕でかわせる。なぜなら…

「もうレベル10まで上がってるんだな~、そういえば聖女様は10が限界値でした
 よね~?それじゃ~ついて来れないんじゃないですかぁ?」
「なっ、それは嘘ですわ!そんな事って…」

慌てたように取り乱す聖女に天野が付け加えた。

「本当の事ですよ。召喚された者はレベルMAXかもしくは成長型。春樹は成長し
 続けるって訳です。そのうち俺らと同じになったりして?」
「春は強くなっても、そのままでも、構わない。春が居てくれるならそれでいい
 のだが?」

椎名はいたって変わらない主張だった。
今回の寄り道も春樹が言ったから。
聖女の杖を取りに行くのも、春樹が言い出したから。
春樹が言わなければ寄りもしないし、興味すらないような言い方だった。

「聖女様?椎名って初めからあんな感じなんです?」
「ええ、そうですね。何にも興味のないような方でしたわね…彼女を奴隷から買い
 取った時は女性に興味があるのだと期待しましたが、そうではないようなので。」
「あ~なんとなくわかった気がする…春樹だからだね…」
「そうみたいですわね。今も処女っていう事は手を出さない理由が…」

聖女は悲しそうに俯いた。

「うーん、手を出してない訳じゃなさそうなんですがね~、入れてる場所がって感じ
 じゃないですか?いつも腰痛そうだし…」

天野の考えは大方あっていた。
男同士で使う場所をあえて使っているのだ。
しかも、女にはないはずの器官があることを知ると、そこばかり責め立てた。

街に着くと、早々に事件と鉢合わせる事になった。

通り過ぎた居酒屋から壁を突き抜け、人が飛び出して来た。
見て明らかに緑の肌を持ち背中には翼を生やした存在だった。
むっくりと起き上がると通りかかった俺たちの方へと走ってくる。
長く鋭い爪を光らせる一気に距離を詰めると襲いかかってくる。

いつも椎名ばかりに戦わせるわけにはいかないと春がシールドを展開する。

もちろん自分達にではない。
向かってくる敵の前と後ろの両方に同時展開し、一気に挟むと移動阻害する。
あとはゆっくりと近づくと椎名の剣が持ち上がり切り下ろした。

黒い影となり、バラバラに霧散した。

「なんだったんだ?」
「春っ、今のは?シールドだよね?今の使い方って…」
「あぁ、戦えないからな~、守り以外の使い方をと思ってな?」

本当に機転がきく。
春樹の戦い方は常に危険を回避してどれだけ安全に倒すかを追求していた。

「最近やっと使えるようになったもんな~?」
「そうそう、だから色々と使い方を考えなくちゃなんだよな~」

春樹は自慢げに笑いかけてきた。

「俺さ、結構このパーティー気に入ってんだぜ?遠距離の天野や、回復
 しかできない聖女、近距離の椎名だろ~、俺は全体の指示役って感じ
 でさ~」
「回復しかってなんですの!そんなのあんまりですわ」
「でも、それ以外取りえもねーじゃん?胸がでかいだけ?」

聖女と春樹のやりとりもいつもの事となった。
日常のいっかんで、聞き流す事にしたらしい。

「春、もういいでしょ?ほらっ、行こう?」
「そうだなっ」

目的の場所へ向かう為にと移動しようとすると、後ろから声をかけられた。

「すみません。お待ち下さい」

騎士風の鎧を身に纏っている人が店の中から出てきていた。
さっきのを店から吹き飛ばしたのはこの人なのだろう。

剣を抜いたままこちらに向かって来ていた。

「何か用ですか?」
「いえ、アレを一発で倒したあなた方にお願いがあります」

4人は顔を見合わせると面倒に巻き込まれた事を悟った。
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