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〜2章〜 第四十六話 死を抱いて
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天野と聖女は離れていた場所にいたせいか光で目が眩んでどう言う状況なのか
把握できなかった。
光が止んでレベル上限が解放されたと機械音がしてからやっと今の現状を把握
したのだ。
愕然とする椎名の前に血だらけになって腰掛けている春樹の姿に言葉が出ない。
メイアちゃんはこうなる事を知っているような口ぶりで自分の役目は終わった
と言っていた。
「春樹…うそだろ…」
前に進もうとする天野を止めたのは聖女だった。
首を振ると今は行かないほうがいい…と。
「何か言い残す事はあるか?」
「いいえ、ございません。私の役目は勇者様のレベル上限を取り払うお手伝いを
する事で、恨まれてもこれが最善であったと思っています。」
「そうか…ならッ…」
椎名の冷たい言葉に止める間もなくメイアの首が飛んだ。
その場に崩れ落ちると返り血を浴びても椎名は顔色ひとつ変えなかった。
「椎名くん…」
かける言葉に迷うと冷たくなって行く春樹を抱き上げるとスタスタと歩いて行っ
てしまう。
外に出ると冷たい風が吹き抜けて行く。
「もうついてくるなっ…春がいなかったら帰る意味もないだろ…」
「でも…あなたは勇者様なのですよ!魔王を倒すと言う使命があるのです」
「そんな事…俺に関係あるのか?」
冷たい声色が聖女の心に突き刺さる。
もう、戦えないのかもしれない。
「俺は…魔王を倒す!春樹だってそれを望んだんだ!俺一人でも倒しに行くから
な!」
天野は椎名の背中に叫ぶと聖女を連れて反対へと歩き出して行く。
(俺はどうしたらいい?はる…)
椎名はそのまま、目的もないまま歩き続けた。
テレポートして来た場所は獣王国のそばだったらしい。
メイアの返り血を川で洗い流すと動かない春樹の亡骸をマジックバックへとしまい
込んだ。
戦い中に冷石は各自が持っていた方がいいと春樹が言い出した事だった。
春樹と天野以外はマジックバックを買って持つ事になった。
お金も春樹に言われ入れてあった。
そんな風に準備してあったおかげで困る事はなかった。
マジックバックの中は時間の流れが止まる。
容量は多くはないが、亡骸を保存しておくのには適していた。
「俺はどうしたらいいんだ?…」
誰も答えなんて返してくれないのはわかってるけど、生きる目的さえも見失っ
ていた。
今どこを歩いているのかも分からない。
ただ彷徨うように森の中を歩いているだけだった。
お腹も減ってきたが、食べる気も起きなかった。
ただ彷徨って歩いていると焚き火の灯りが見えた。
人がいるみたいだった。
近づくにつれて騒がしくなって行く。
「おい、こいつなんなんだよっ!」
「死ねぇーーーー!」
「うわぁぁぁっーー」
もうどうでもいいと言う気持ちで近づくと血の匂いがしてきた。
鼻をつく血の臭い。嗅ぎ慣れたその匂いに春樹を思い出す。
野党らしき格好の男達をまるで子供をあしらうように切り捨てて行く姿を見て、
心が締め付けられる思いがした。
見た目は見たことがある容姿で。
向こうの世界ではいつも椎名に話しかけてくれたあの顔で…。
こっちの世界に来てからは一番長い時間側にいた人物。
「はるっ…」
「…」
野党を全員薙ぎ倒すと血だらけで振り向いた。
やっぱり春樹にそっくりだった。
その男は剣を手に持ったまま椎名に近づくと一気に殺しにかかった。
ギリギリでかわすと疑問が浮かんでいた。
「春っ!俺だよ!椎名桔平だ。分かるだろ?」
「誰だよ?知らねー…死んどけよっ!」
何度か切り裂こうと攻撃されるが持っていた剣で応戦するとなんとかかわし
続けた。
「殺す気ないのか?」
「殺すなんて…春に手を出すわけないだろ?」
「ふ~ん。ならいいや。」
攻撃してこないと分かるとその青年は立ち去ろうとした。
「待ってくれ。春、俺も一緒に…」
「お前さ~誰?俺の知り合いなのか?」
「知り合いって、わからないのか?」
「知らねー、ここがどこなのかも知らねー。ただいきなり襲われたから返り
討ちにしただけだ。」
「春…いや、君の名前は?」
「…知らねー…何も覚えてない…」
その青年は記憶が無いといっていた。
そしてどこかへ行くあても無い…と。
「行く場所がないなら一緒に旅をしないか?名前がないと困るだろう?矢田
春樹なんてどうかな?君にそっくりな俺の友人の名前なんだ。」
「ふ~ん。で?そいつはどこにいるんだ?友人なんだろ?」
「…死んだんだ。つい最近俺の目の前で亡くなった…守れなかった…情けな
いけど、好きだったのに…俺はこの手で守るって誓ったのに…。」
「弱い奴を守るって傲慢なんだな?そいつは守ってもらわないと生きていけ
ないほど弱いなら、初めっから長くは生きていけねーだろ?」
「それは…俺が連れて行ったせいだから…」
「わからねーけど、そいつの意思はどうなんだ?死ぬ覚悟でついてきたなら
死んだからってうじうじされるのはマジでうぜーよ!そいつは死んでよか
ったかもな…そんなうじうじ野郎の面倒見なくて済むんだからな…」
確かに正論かもしれない。
春樹がいなくなっただけで目的も全てを投げ出して逃げてしまった。
違う…元々春樹がいたから目標ができたのだ。
今はなんの為に戦うのだろう?この青年に会って自分を見つめるいい機会かも
しれなかった。
把握できなかった。
光が止んでレベル上限が解放されたと機械音がしてからやっと今の現状を把握
したのだ。
愕然とする椎名の前に血だらけになって腰掛けている春樹の姿に言葉が出ない。
メイアちゃんはこうなる事を知っているような口ぶりで自分の役目は終わった
と言っていた。
「春樹…うそだろ…」
前に進もうとする天野を止めたのは聖女だった。
首を振ると今は行かないほうがいい…と。
「何か言い残す事はあるか?」
「いいえ、ございません。私の役目は勇者様のレベル上限を取り払うお手伝いを
する事で、恨まれてもこれが最善であったと思っています。」
「そうか…ならッ…」
椎名の冷たい言葉に止める間もなくメイアの首が飛んだ。
その場に崩れ落ちると返り血を浴びても椎名は顔色ひとつ変えなかった。
「椎名くん…」
かける言葉に迷うと冷たくなって行く春樹を抱き上げるとスタスタと歩いて行っ
てしまう。
外に出ると冷たい風が吹き抜けて行く。
「もうついてくるなっ…春がいなかったら帰る意味もないだろ…」
「でも…あなたは勇者様なのですよ!魔王を倒すと言う使命があるのです」
「そんな事…俺に関係あるのか?」
冷たい声色が聖女の心に突き刺さる。
もう、戦えないのかもしれない。
「俺は…魔王を倒す!春樹だってそれを望んだんだ!俺一人でも倒しに行くから
な!」
天野は椎名の背中に叫ぶと聖女を連れて反対へと歩き出して行く。
(俺はどうしたらいい?はる…)
椎名はそのまま、目的もないまま歩き続けた。
テレポートして来た場所は獣王国のそばだったらしい。
メイアの返り血を川で洗い流すと動かない春樹の亡骸をマジックバックへとしまい
込んだ。
戦い中に冷石は各自が持っていた方がいいと春樹が言い出した事だった。
春樹と天野以外はマジックバックを買って持つ事になった。
お金も春樹に言われ入れてあった。
そんな風に準備してあったおかげで困る事はなかった。
マジックバックの中は時間の流れが止まる。
容量は多くはないが、亡骸を保存しておくのには適していた。
「俺はどうしたらいいんだ?…」
誰も答えなんて返してくれないのはわかってるけど、生きる目的さえも見失っ
ていた。
今どこを歩いているのかも分からない。
ただ彷徨うように森の中を歩いているだけだった。
お腹も減ってきたが、食べる気も起きなかった。
ただ彷徨って歩いていると焚き火の灯りが見えた。
人がいるみたいだった。
近づくにつれて騒がしくなって行く。
「おい、こいつなんなんだよっ!」
「死ねぇーーーー!」
「うわぁぁぁっーー」
もうどうでもいいと言う気持ちで近づくと血の匂いがしてきた。
鼻をつく血の臭い。嗅ぎ慣れたその匂いに春樹を思い出す。
野党らしき格好の男達をまるで子供をあしらうように切り捨てて行く姿を見て、
心が締め付けられる思いがした。
見た目は見たことがある容姿で。
向こうの世界ではいつも椎名に話しかけてくれたあの顔で…。
こっちの世界に来てからは一番長い時間側にいた人物。
「はるっ…」
「…」
野党を全員薙ぎ倒すと血だらけで振り向いた。
やっぱり春樹にそっくりだった。
その男は剣を手に持ったまま椎名に近づくと一気に殺しにかかった。
ギリギリでかわすと疑問が浮かんでいた。
「春っ!俺だよ!椎名桔平だ。分かるだろ?」
「誰だよ?知らねー…死んどけよっ!」
何度か切り裂こうと攻撃されるが持っていた剣で応戦するとなんとかかわし
続けた。
「殺す気ないのか?」
「殺すなんて…春に手を出すわけないだろ?」
「ふ~ん。ならいいや。」
攻撃してこないと分かるとその青年は立ち去ろうとした。
「待ってくれ。春、俺も一緒に…」
「お前さ~誰?俺の知り合いなのか?」
「知り合いって、わからないのか?」
「知らねー、ここがどこなのかも知らねー。ただいきなり襲われたから返り
討ちにしただけだ。」
「春…いや、君の名前は?」
「…知らねー…何も覚えてない…」
その青年は記憶が無いといっていた。
そしてどこかへ行くあても無い…と。
「行く場所がないなら一緒に旅をしないか?名前がないと困るだろう?矢田
春樹なんてどうかな?君にそっくりな俺の友人の名前なんだ。」
「ふ~ん。で?そいつはどこにいるんだ?友人なんだろ?」
「…死んだんだ。つい最近俺の目の前で亡くなった…守れなかった…情けな
いけど、好きだったのに…俺はこの手で守るって誓ったのに…。」
「弱い奴を守るって傲慢なんだな?そいつは守ってもらわないと生きていけ
ないほど弱いなら、初めっから長くは生きていけねーだろ?」
「それは…俺が連れて行ったせいだから…」
「わからねーけど、そいつの意思はどうなんだ?死ぬ覚悟でついてきたなら
死んだからってうじうじされるのはマジでうぜーよ!そいつは死んでよか
ったかもな…そんなうじうじ野郎の面倒見なくて済むんだからな…」
確かに正論かもしれない。
春樹がいなくなっただけで目的も全てを投げ出して逃げてしまった。
違う…元々春樹がいたから目標ができたのだ。
今はなんの為に戦うのだろう?この青年に会って自分を見つめるいい機会かも
しれなかった。
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