間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

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第四十五話 レベル上限解放

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一瞬の後、倒した事への実感が湧いて来た。

椎名は春樹に抱きつくとボロボロだったが嬉しそうに抱きしめてきた。
溶岩は氷竜が倒された時に溶岩の方に倒れると冷気で固まって岩へと化した。

「終わりましたね。先へ進みましょう」

小部屋以外にも氷竜を倒した事で岩肌が崩れて部屋が現れた。
そこには金貨と宝箱が置かれていた。

椎名が開けると一振りの剣が入っていた。

エクスカリバー。
英雄が使ったとされる宝剣。
魔王殺しの宝剣と書かれていた。

「やったな?」
「あぁ。これも春の機転のおかげだよ」

今椎名が持っている剣の性能とは桁外れに強化された剣だった。

ただし、刃こぼれしていてそのまま使うにはちょっと躊躇われるほどだった。

「こんなに刃こぼれしてていいのか?」
「よくない…気がするが、まぁ今はいいよ。あとは鍛冶屋にでも持ち込めば
 いいだろ?」

単純に考えていたが、いつのまにか追いついて来ていたメイアが即座に否定
した。

「これはドワーフしか治せないです。この近くですとナル山の地下にドワーフ
 の街があるのでそこで修理を頼むべきです」
「ここから近いのか?」
「地下都市ベイル。あそこに入るにはまず国境を越えて獣王国を抜けてその先の
 街から地下に降りられる場所があると聞いた事があります。しかし、結構な料
 金をぼったくられると聞いています」

呆れた街だと思いながらも全員が合流すると小部屋の奥に入って行く。
そこには地面に書かれた魔法陣があった。
四方向に向かって大きな霊石が配置されており、全員が魔法陣の中に入ると起動
した。
光出すと一瞬のうちに周りの景色が変わった。

どこかの遺跡らしきところに飛ばされたようだった。

「おっ、レベルが30になってる!」
「春よかったな?」
「あぁ。」

メイアは自分のステータスを確認すると32となっていた。

「勇者様、今から向かうのはレベル上限を取る方法です。それをすれば魔王を倒
 すのも楽になると聞いています。ひいお爺様は…この儀式をとても嫌いました。」

メイアは淡々と話した。

「上限を上げれるなら普通は嫌がらないだろ?何でだ?」
「そこの台座の上に春さん、座ってもらえますか?」
「ん?なんか石の玉座っぽいな~」

春樹が前に出ると冷たく、硬い玉座に座った。
すると周りに灯りが順番に点っていった。

「おぉーどんな仕掛けなんだ?」

面白そうに眺めている春樹の腕に冷たい鉄の枷がはまった。

ガシャンッ、ガシャンッ、ガシャンッ。

腕に、足にはまった鉄でできた枷は頑丈にできていてびくともしない。
サビがこびり付いているがこれはところどころに黒くなっている。

「メイア…これはどーゆー事なんだよっ!騙したのか?」
「おい、春のこれを外せ。じゃないと今ここで死にたいのか?」

椎名の声が狂気を帯びた。
明らかに怒っている。
天野も流石にこれは温和に許せる冗談には見えなかった。

「メイアちゃん?ちょっと冗談にしてはやり過ぎだよ?」

黙ったままだったメイアは玉座の後ろのレバーを下ろした。

「勇者様を強く導くのが私の役目です。」
「それはどう言う…!?」

光が中央へと集まると部屋全体が揺れ出すと光に包まれた。
椎名は急いで春樹に駆け寄ると枷に剣を当てて外そうと試みるが全く歯が立たない。

「なんか揺れてね?メイアこれ外してくれっ…なんでこんな…カハッ…うそ…だろ?」

椎名の目の前で血飛沫が上がった。
玉座から棘のような突起が春樹の身体を突き破って出てきたからだった。
肩から脇にかけて生えてくると、引っ込み腹を抉るように迫り出してきた。

「しぃ…ごふっ…かはっ…」
「はるっ!!」

喉の奥から溢れてくる血で言葉も話せない。

目の前で真っ赤に染まって行くのをただ見ているしかできない!
そんな馬鹿な話があってたまるか!?

必死に抵抗するがどうにもならなかった。
振動が止み、光が消えて行くとピコンッという機械音がなっていつのまにかレベル
上限が消えていた。
そして光を失った春樹の亡骸だけがその場に残っていた。

「お前…何をしたのかわかっているのか?」
「分かっています。勇者様の手助けです。同郷の方を探す手間が省けてよかったです。
 この儀式には召喚された者の命が必要だったので助かりました。これで私の役目も
 終わりました。」
「役目が終わっただと?春に手を出して許されるとでも思っているのか?」

椎名の怒りが手に取るように分かる。
天野も聖女も流石に口を挟む気にはなれなかった。
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