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第五十三話 兄を殺したひと
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聖剣 エクスカリバー:勇者のみが真の力を引き出せる。
切れぬものは無いと言われる伝説級の宝剣。
椎名の手には今それが握られていた。
もう勇者の称号も消えて無くなってしまったのに、これだけ手にすると
なんとも滑稽に思えてきた。
椎名はまだ勇者を続けているのだろうか?
関係ないと思いながらも少しは気になってしまう。
あの時、なぜ止めなかったのか?
あの時、なぜ春樹が死ななくてはいけなかったのか?
あの時…。
どれだけ考えても答えなんて見えない。
聖女は知っていたのか?レベル上限を外せる事を…。
あとで見たステータスは聖女もレベル上限が外れており、そのせいで今は
上がっているだろう。
春樹を犠牲にしてまでレベル上限を解放する事になんの意味があったのか!
椎名には分からなかった。
横でゴロゴロしている青年を見てステータスと叫んでも見ることはできなか
った。ステータスは出るのだが文字化けしていて性別しか見られない。
何かスキルを持っているようにも見えるが、読めないのだ。
「春、ステータスオープンって言ってみて?」
「ん~?ステータスオープン?」
目の前にウインドウが開く。
「おっ…」
「ダメだな~、文字化けしてて読めないかぁ~」
椎名は残念そうに呟いた。
「お前さ~こんなの当てにすんなって!読めないもん見ても仕方ねーだろ?」
「まぁ、そうなんだが…そうだな飯食って魔物狩り行くか?」
「おう!そうしようぜ!」
宿屋を出ると森の中へと入っていった。
日が暮れるまで、門が閉まる鐘が3つなる前には中に入らないと次門が開くの
は朝なのだ。
出会った魔物をどんどん倒すと魔石を取り出して集めていく。
他に何が換金できるか椎名は詳しく知らないので数をこなして魔石を集める
事にした。
青年も楽しそうに剣を振るうと新しく買った剣の試し切りを兼ねての討伐だ
った。
「どうだ?剣の調子は?」
「いいんじゃねー?使えねー事はねーよ?」
スパスパッと簡単に切り伏せていく。
「そういえばさ~朝話しかけて来た奴さぁ~」
「もう忘れろ!忘れてくれ…思い出したく無いんだ」
「…そっか。分かった」
青年はそれ以降聞いてこなかった。
今も椎名の鞄の中には春樹の遺体が入っている。
元孤児院という名の廃屋に帰った天野と聖女達はライトを元気付けようと
食事を沢山出した。
「たくさん食べて元気出せよ!」
「今は食べたく無い…」
俯いたままのライトは食事には手をつけようとしなかった。
「少しでも食べないとお兄さんも浮かばれないと思いますわ。誰の為に危険
な事をして来たんだと思いますの?貴方達を守る為、生かす為でしょう?」
「…レオ…兄ちゃん…」
「兄ちゃんの分まで食わねーと、だろ?」
「うん…ぐすっ…」
涙と鼻水を服の袖で拭うと手近にあった肉にかぶりついた。
他の子供達も寝ついた頃にライトがレオの私室兼コレクションの保管室に案
内してくれた。
「ここが兄ちゃんがいつも使ってる部屋。何か手紙呼んで慌てて出ていった
からその何かが分かれば兄ちゃんを殺した奴が分かる?」
「あぁ、そうだな…」
多分、殺した奴には心当たりがある。
あるけど、決して子供の腕で倒せる相手でもないし、ギルドに依頼できる相手
でもない。
全部読んでいくとそれは暗殺依頼と回収依頼に分かれていた事に気づいた。
「これは…そんなっ…」
そこには見たくなかった印が記されていた。
聖女には見慣れた印だった。
自分がいた国王の印だったからだ。
椎名と別れた後に事のあらましを国に報告したので事情は伝わっているはず
だった。
そしてそこに書かれていた内容が恐ろしいものだった。
「何かあったのか?」
「これは…そんなはずないですわ。この街に勇者様がいるはず…」
必死に否定しようとする聖女に天野が付け足した。
「朝、椎名くんに会ったよ」
「う…うそっ…」
「それ、見せてくれる?」
聖女の手からするりと手紙が落ちた。
そこに書かれていたものは勇者の同郷の者の遺体は絶対に火葬する様にと
書かれていた。
もし保存しようとしていたら、その者も殺せ。代金は言い値で払うと書か
れていたのだった。
「国がここまで口出しするのか?ってか、なんで遺体がまだあるって知っ
てるんだ?燃やしてもう、無くなってるかもしれないだろ?」
「…それはわたくしが報告したからですわ。きっとあの方なら肌身離さず
持っているだろう…と。」
「そんなものなかった…あっ…いや、そんなはずは…」
朝のやり取りを思い出した。
そう、あの時懐かしく思えたのは面影が春樹に似ていたからだった。
あの青年は…まさかとまで思ってから、打ち消した。
「死体なんて生き返る訳…無いよな…」
「まさか、あの女を見たんですの?」
「いや…違う…。多分レオは椎名に返り討ちにあったんだと思う。あいつ
ならあり得るからな。だが、これを読むに椎名を殺そうとしたか、連れ
に手を出したか…もしくは大事なものを盗んだか…」
考えこむ二人の言葉にライトが一番反応を示した。
「その椎名って人が兄ちゃんを殺したの?」
「はっ!それは違っ…」
「その人のせいで兄ちゃんは死んだの?許せないっ…優しい兄ちゃんだった
のに…」
ライトの爪が鋭くなると目の色が変わっていく。
「待てっ!そうじゃないんだ!」
「よく聞きなさい!貴方のお兄さんは悪いことをしてお金を稼いでいたのよ。
それで返り討ちにあったんですの。それを恨むのはお門違いですわ」
「兄ちゃんを殺した奴は許さない」
ライトは飛び出していくとあっという間に居なくなってしまった。
切れぬものは無いと言われる伝説級の宝剣。
椎名の手には今それが握られていた。
もう勇者の称号も消えて無くなってしまったのに、これだけ手にすると
なんとも滑稽に思えてきた。
椎名はまだ勇者を続けているのだろうか?
関係ないと思いながらも少しは気になってしまう。
あの時、なぜ止めなかったのか?
あの時、なぜ春樹が死ななくてはいけなかったのか?
あの時…。
どれだけ考えても答えなんて見えない。
聖女は知っていたのか?レベル上限を外せる事を…。
あとで見たステータスは聖女もレベル上限が外れており、そのせいで今は
上がっているだろう。
春樹を犠牲にしてまでレベル上限を解放する事になんの意味があったのか!
椎名には分からなかった。
横でゴロゴロしている青年を見てステータスと叫んでも見ることはできなか
った。ステータスは出るのだが文字化けしていて性別しか見られない。
何かスキルを持っているようにも見えるが、読めないのだ。
「春、ステータスオープンって言ってみて?」
「ん~?ステータスオープン?」
目の前にウインドウが開く。
「おっ…」
「ダメだな~、文字化けしてて読めないかぁ~」
椎名は残念そうに呟いた。
「お前さ~こんなの当てにすんなって!読めないもん見ても仕方ねーだろ?」
「まぁ、そうなんだが…そうだな飯食って魔物狩り行くか?」
「おう!そうしようぜ!」
宿屋を出ると森の中へと入っていった。
日が暮れるまで、門が閉まる鐘が3つなる前には中に入らないと次門が開くの
は朝なのだ。
出会った魔物をどんどん倒すと魔石を取り出して集めていく。
他に何が換金できるか椎名は詳しく知らないので数をこなして魔石を集める
事にした。
青年も楽しそうに剣を振るうと新しく買った剣の試し切りを兼ねての討伐だ
った。
「どうだ?剣の調子は?」
「いいんじゃねー?使えねー事はねーよ?」
スパスパッと簡単に切り伏せていく。
「そういえばさ~朝話しかけて来た奴さぁ~」
「もう忘れろ!忘れてくれ…思い出したく無いんだ」
「…そっか。分かった」
青年はそれ以降聞いてこなかった。
今も椎名の鞄の中には春樹の遺体が入っている。
元孤児院という名の廃屋に帰った天野と聖女達はライトを元気付けようと
食事を沢山出した。
「たくさん食べて元気出せよ!」
「今は食べたく無い…」
俯いたままのライトは食事には手をつけようとしなかった。
「少しでも食べないとお兄さんも浮かばれないと思いますわ。誰の為に危険
な事をして来たんだと思いますの?貴方達を守る為、生かす為でしょう?」
「…レオ…兄ちゃん…」
「兄ちゃんの分まで食わねーと、だろ?」
「うん…ぐすっ…」
涙と鼻水を服の袖で拭うと手近にあった肉にかぶりついた。
他の子供達も寝ついた頃にライトがレオの私室兼コレクションの保管室に案
内してくれた。
「ここが兄ちゃんがいつも使ってる部屋。何か手紙呼んで慌てて出ていった
からその何かが分かれば兄ちゃんを殺した奴が分かる?」
「あぁ、そうだな…」
多分、殺した奴には心当たりがある。
あるけど、決して子供の腕で倒せる相手でもないし、ギルドに依頼できる相手
でもない。
全部読んでいくとそれは暗殺依頼と回収依頼に分かれていた事に気づいた。
「これは…そんなっ…」
そこには見たくなかった印が記されていた。
聖女には見慣れた印だった。
自分がいた国王の印だったからだ。
椎名と別れた後に事のあらましを国に報告したので事情は伝わっているはず
だった。
そしてそこに書かれていた内容が恐ろしいものだった。
「何かあったのか?」
「これは…そんなはずないですわ。この街に勇者様がいるはず…」
必死に否定しようとする聖女に天野が付け足した。
「朝、椎名くんに会ったよ」
「う…うそっ…」
「それ、見せてくれる?」
聖女の手からするりと手紙が落ちた。
そこに書かれていたものは勇者の同郷の者の遺体は絶対に火葬する様にと
書かれていた。
もし保存しようとしていたら、その者も殺せ。代金は言い値で払うと書か
れていたのだった。
「国がここまで口出しするのか?ってか、なんで遺体がまだあるって知っ
てるんだ?燃やしてもう、無くなってるかもしれないだろ?」
「…それはわたくしが報告したからですわ。きっとあの方なら肌身離さず
持っているだろう…と。」
「そんなものなかった…あっ…いや、そんなはずは…」
朝のやり取りを思い出した。
そう、あの時懐かしく思えたのは面影が春樹に似ていたからだった。
あの青年は…まさかとまで思ってから、打ち消した。
「死体なんて生き返る訳…無いよな…」
「まさか、あの女を見たんですの?」
「いや…違う…。多分レオは椎名に返り討ちにあったんだと思う。あいつ
ならあり得るからな。だが、これを読むに椎名を殺そうとしたか、連れ
に手を出したか…もしくは大事なものを盗んだか…」
考えこむ二人の言葉にライトが一番反応を示した。
「その椎名って人が兄ちゃんを殺したの?」
「はっ!それは違っ…」
「その人のせいで兄ちゃんは死んだの?許せないっ…優しい兄ちゃんだった
のに…」
ライトの爪が鋭くなると目の色が変わっていく。
「待てっ!そうじゃないんだ!」
「よく聞きなさい!貴方のお兄さんは悪いことをしてお金を稼いでいたのよ。
それで返り討ちにあったんですの。それを恨むのはお門違いですわ」
「兄ちゃんを殺した奴は許さない」
ライトは飛び出していくとあっという間に居なくなってしまった。
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