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第五十四話 勇者の資格
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ライトが飛び出して行ったあとで天野は自分の軽率さを恨んだ。
「なんでこんな事になるんだよ…」
「どちらにしろ分かる事ですわ。」
「椎名なら躊躇わずに切り捨てるだろうな…」
「そうですわね。これは…?」
天野が鑑定をかけると毒と表示が出ていた。
武器や小瓶がいっぱいあったが、武器に塗る為の毒も豊富だった。
「この部屋は全部処理した方がいいな…」
「そうですわね。危ないものばかりで子供が口にしたら危険ですわ」
聖女がやけに真剣に言うので少し笑えて来た。
「聖女様も子供には優しいんですね?」
「そ、そんな事は…」
「いいって…今度あいつに会ったら春樹の遺体を聞いてみるか…」
「多分…マジックバッグですわ。どこかに預けるとは思えません…」
朝も少し部屋を出るだけなのに春樹が作ったマジックバッグを常に持っていた。
「そうなのかもな~あいつにとっては命よりも大事だったんだろうな…。だから
あんな事を…」
「?」
「あぁ、椎名が今一緒にいる奴がいるんだけど…そいつの事をさ『春』って呼ん
でるんだよ。そいつは否定してたから、多分春樹がいないのを認められないん
だろうな?」
「それは…」
「何も言うなって。相手は男だから。って言っても椎名は元々男の春樹が好きだっ
たんだよな…。今は理想的なのかもな~」
天野はため息を漏らすと聖女に向かって手を差し出す。
「俺らも行くか?流石にライトを放置はできないだろう?」
「そうですわね」
きっと宿屋を全部回る気で出て行ったのだろう。
しかし、天野はどこに泊まっているかを知っているので先回りもできる。
(早まるなよ…ライト)
廃屋を飛び出したライトは手近な宿屋へとこっそり入り込んだ。
マジックバッグの中身を燃やすかその持ち主を殺せと書かれていた指示書。
その人物が椎名とい名前である事。
これだけの情報で探すのは結構困難だった。
食堂に降りると睡眠薬を食事に混ぜていく。
一滴ですぐに効果が現れていく。
冒険者が眠って店が静かになると荷物を触っていく。
魔法の鞄なら魔力が宿っているはずだ。
マジックバッグなんて高級なものを持っている冒険者など一部しかいないはずだ。
もし見つけれれば、それが標的なのだ。
宿の部屋で休んでいる人も何人かいたが、誰も持っていなかった。
他の宿屋へといくと食事に薬を混ぜる。
店員は薬を嗅がせて眠らせると素早い動きで確認していく。
「ここも違ったか…」
そして、すぐに出ていこうとして入ってきた客はこの現状に流石におかしいと思
ったのか出て行こうとしたので後ろからナイフを突きつけた。
「逃がさない…。タイミングが悪かったね、お兄さん…」
ライトの表情はもう幼くは見えなかった。
そしてすぐに次の宿屋へといった。
食事に薬を混ぜたところまではよかった。
そこはそこそこ人気があるようで、人の行き来が多くて全員を眠らすのには時間
がかかりそうだった。
「先に部屋の方へ行こうかな…」
「あーーー、腹減った~。」
「今日もガッツリ狩りしたもんな~」
「あ、すいませーん!腹に溜まる奴よろしく!」
「はいよっ!」
女将の威勢のいい声が響き渡った。
食堂の方は一旦諦めて上にあがろうとしたライトの足が止まったのだ。
兄についていた匂いがしたのだ。
さっき入ってきた客からだ!
そう思うとすぐに行動に移していた。
女将が料理を運ぼうとしたのを取り上げて眠らせると毒を混ぜた。
すぐには効かないが徐々に効き出すように調整されたやつだ。
「おまたせしました~」
愛想よく笑うとテーブルへと運んだ。
「おっ!美味そう~お前は食べねーの?」
「あとでいいよ。まずは春が好きなだけ食べていいよ」
どっちから匂う?
あの匂いは…。
食事にかぶりつく青年からもう一人へと視線を移した。
すると殺気で身体が凍りついた。
「まだ何か?」
「な、なんでもないです。失礼しました」
ライトは殺気だけで足がすくんでしまった。
間違いない。あいつだ!あいつが椎名って名前のやつだ。
周りの客が次々と酔い潰れていく。
流石にその異様な光景に椎名は違和感を覚え始めていた。
さっきの運んできた店員の子供からわずかに殺気を感じた。
「春っ、ちょっとここから出ようっ…春?」
春に声をかけるとさっきまで美味そうに食べていたのに、顔色が悪い。
「春っ!どこか悪いのか?」
「なんか…身体が…おかしい」
崩れ落ちると起き上がれない。
息が苦しそうで、食事に何かを混ぜられたのかと疑う。
すると奥からさっきの子供が出てきた。
「ねーあんたが椎名って奴?」
「そうだが、なんのつもりだ?」
やっぱりと思った時にはこの店で起きているのはその子供と椎名だけだった。
椎名の腕の中では苦しそうに呼吸をする青年がいる。
「春に何をしたんだ?」
「薬を混ぜたんだよ。他の人には睡ってもらうように…そしてあんたの連れに
はゆっくりと死んでいくように…レオ兄ちゃんのっ…ぐはっ!」
いい終える前に壁に吹き飛んでいた。
何が起きたのか分からなかった。
一瞬、目を離した隙に距離を詰められた!?
ありえない速さに、レオがやられたのを思い出した。椎名の持っているマジック
バッグを奪って燃やす。ただ、それだけなのに。
それが一番難しかったのだ。
レオでもできない事をライトができるはずもない。
足を掴まれるとゴキっと音がして激痛が走った。
折られた!?
「うわぁぁああぁあぁっぁっ!!」
痛いなんて感じる暇などない。早く逃げないと、殺される!
変な方向へと曲がった足を見下ろしながら後ずさる。
すると入り口から勢いよく天野と聖女が入ってきていた。
「勇者さま…おやめ下さい。このような事をなさってはダメです」
「椎名くん…彼は?…!?」
「なんでこんな事になるんだよ…」
「どちらにしろ分かる事ですわ。」
「椎名なら躊躇わずに切り捨てるだろうな…」
「そうですわね。これは…?」
天野が鑑定をかけると毒と表示が出ていた。
武器や小瓶がいっぱいあったが、武器に塗る為の毒も豊富だった。
「この部屋は全部処理した方がいいな…」
「そうですわね。危ないものばかりで子供が口にしたら危険ですわ」
聖女がやけに真剣に言うので少し笑えて来た。
「聖女様も子供には優しいんですね?」
「そ、そんな事は…」
「いいって…今度あいつに会ったら春樹の遺体を聞いてみるか…」
「多分…マジックバッグですわ。どこかに預けるとは思えません…」
朝も少し部屋を出るだけなのに春樹が作ったマジックバッグを常に持っていた。
「そうなのかもな~あいつにとっては命よりも大事だったんだろうな…。だから
あんな事を…」
「?」
「あぁ、椎名が今一緒にいる奴がいるんだけど…そいつの事をさ『春』って呼ん
でるんだよ。そいつは否定してたから、多分春樹がいないのを認められないん
だろうな?」
「それは…」
「何も言うなって。相手は男だから。って言っても椎名は元々男の春樹が好きだっ
たんだよな…。今は理想的なのかもな~」
天野はため息を漏らすと聖女に向かって手を差し出す。
「俺らも行くか?流石にライトを放置はできないだろう?」
「そうですわね」
きっと宿屋を全部回る気で出て行ったのだろう。
しかし、天野はどこに泊まっているかを知っているので先回りもできる。
(早まるなよ…ライト)
廃屋を飛び出したライトは手近な宿屋へとこっそり入り込んだ。
マジックバッグの中身を燃やすかその持ち主を殺せと書かれていた指示書。
その人物が椎名とい名前である事。
これだけの情報で探すのは結構困難だった。
食堂に降りると睡眠薬を食事に混ぜていく。
一滴ですぐに効果が現れていく。
冒険者が眠って店が静かになると荷物を触っていく。
魔法の鞄なら魔力が宿っているはずだ。
マジックバッグなんて高級なものを持っている冒険者など一部しかいないはずだ。
もし見つけれれば、それが標的なのだ。
宿の部屋で休んでいる人も何人かいたが、誰も持っていなかった。
他の宿屋へといくと食事に薬を混ぜる。
店員は薬を嗅がせて眠らせると素早い動きで確認していく。
「ここも違ったか…」
そして、すぐに出ていこうとして入ってきた客はこの現状に流石におかしいと思
ったのか出て行こうとしたので後ろからナイフを突きつけた。
「逃がさない…。タイミングが悪かったね、お兄さん…」
ライトの表情はもう幼くは見えなかった。
そしてすぐに次の宿屋へといった。
食事に薬を混ぜたところまではよかった。
そこはそこそこ人気があるようで、人の行き来が多くて全員を眠らすのには時間
がかかりそうだった。
「先に部屋の方へ行こうかな…」
「あーーー、腹減った~。」
「今日もガッツリ狩りしたもんな~」
「あ、すいませーん!腹に溜まる奴よろしく!」
「はいよっ!」
女将の威勢のいい声が響き渡った。
食堂の方は一旦諦めて上にあがろうとしたライトの足が止まったのだ。
兄についていた匂いがしたのだ。
さっき入ってきた客からだ!
そう思うとすぐに行動に移していた。
女将が料理を運ぼうとしたのを取り上げて眠らせると毒を混ぜた。
すぐには効かないが徐々に効き出すように調整されたやつだ。
「おまたせしました~」
愛想よく笑うとテーブルへと運んだ。
「おっ!美味そう~お前は食べねーの?」
「あとでいいよ。まずは春が好きなだけ食べていいよ」
どっちから匂う?
あの匂いは…。
食事にかぶりつく青年からもう一人へと視線を移した。
すると殺気で身体が凍りついた。
「まだ何か?」
「な、なんでもないです。失礼しました」
ライトは殺気だけで足がすくんでしまった。
間違いない。あいつだ!あいつが椎名って名前のやつだ。
周りの客が次々と酔い潰れていく。
流石にその異様な光景に椎名は違和感を覚え始めていた。
さっきの運んできた店員の子供からわずかに殺気を感じた。
「春っ、ちょっとここから出ようっ…春?」
春に声をかけるとさっきまで美味そうに食べていたのに、顔色が悪い。
「春っ!どこか悪いのか?」
「なんか…身体が…おかしい」
崩れ落ちると起き上がれない。
息が苦しそうで、食事に何かを混ぜられたのかと疑う。
すると奥からさっきの子供が出てきた。
「ねーあんたが椎名って奴?」
「そうだが、なんのつもりだ?」
やっぱりと思った時にはこの店で起きているのはその子供と椎名だけだった。
椎名の腕の中では苦しそうに呼吸をする青年がいる。
「春に何をしたんだ?」
「薬を混ぜたんだよ。他の人には睡ってもらうように…そしてあんたの連れに
はゆっくりと死んでいくように…レオ兄ちゃんのっ…ぐはっ!」
いい終える前に壁に吹き飛んでいた。
何が起きたのか分からなかった。
一瞬、目を離した隙に距離を詰められた!?
ありえない速さに、レオがやられたのを思い出した。椎名の持っているマジック
バッグを奪って燃やす。ただ、それだけなのに。
それが一番難しかったのだ。
レオでもできない事をライトができるはずもない。
足を掴まれるとゴキっと音がして激痛が走った。
折られた!?
「うわぁぁああぁあぁっぁっ!!」
痛いなんて感じる暇などない。早く逃げないと、殺される!
変な方向へと曲がった足を見下ろしながら後ずさる。
すると入り口から勢いよく天野と聖女が入ってきていた。
「勇者さま…おやめ下さい。このような事をなさってはダメです」
「椎名くん…彼は?…!?」
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