間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

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第六十九話 餌場

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ティアを焼き払った後でティアの餌場の村へとやってきた。

「一応農作物はできてて自給自足ができてるんだな…」
「あんた、見ない顔だね?新たに攫われてきたのかい?だったらこっちへおいで」
「ん?」
「仕事だよ。男ならしっかり働きな!」

連れられて向かった先には他にも男がいた。
そこでは女性の下でただ子種として扱われる男の姿があった。

「新入りだよ。若いからたっぷりと絞り取ってやんな!」
「ちょっ…待って!」
「ほら、服なんていらないよ、脱いじまいな。お姉さんが気持ちよくしてあげるからさ」

バシッと手を叩くと小屋から逃げ出した。

「おい、待ちなよ!暴れるとティア様に性を吸い尽くされて殺されちまうよ!」
「もう、ティアはいない。俺が倒した。だからお前たちはここから逃げていいんだ!」
「何を言ってんだい?こんなに過ごしやすい村はないんだよ。誰が出てくもんかい!」
「そうだよ、あんたもいい事だけしてたらいいんだよ。戻っておいでよ!」

話が通じていないようだった。
仕方ないと思うと誰もいない小屋を魔法で焼き尽くした。

「これで分かったか?これ以上ここにいるようなら、全て焼き尽くす。」
「なっ…あんたはまさか勇者なのかい?魔王を倒しにきたと言う…」
「なんて事してくれるんだよ!あたいたちはここで満足してんだよ!」
「そうだよ、余計な事はしないでおくれよ!」

村の女たちは口々に言い出した。

「俺はこの城の主だ。俺が出て行けと言っているんだ!」
「お待ちください、魔王様ー!」

ティアの配下のサキュバス達が駆けつけてくると地面に平伏した。

それを見て村の人々もやっと魔王だと気づいたのか頭を地面に擦り付けるように土
下座した。

「ここはあたいらにも大事な餌場なのです。彼らにも分かっていてもらっているの
 で解散させるのはおやめください。」
「ティアが俺に何をして処刑されたか知ってて言ってるのか?」
「それは…噂で。しかし、これからは出過ぎたマネは致しません…ですからどうか…」
「まぁ、いい。好きにしろ」

まさかサキュバスだけでなく、人間の方もそれで良しとしているとは思いもしなかった。
数人いる男性にも聞いたが、ここから離れる気はないと言われてしまった。

「なぁ~ララ。あいつらはこんなところにいて幸せなのか?」
「魔王様、私もですが、魔王様のお側にいられて幸せでない者などおりません。ティアは
 出過ぎた事をしてしまいましたが、他の者も魔王様のお役に立ちたいのです。」
「俺は…そんなに期待されるような事は…できない」
「それでもいいのです。近くで魔王様の魔力を感じるだけで魔物は活性化されるのです。」
「それって…どういう」

ララはふっと笑うと詳しく話してくれた。

魔王という存在について。
そもそも、魔王という存在は魔力の塊で、近くにいるだけで魔物は活性化して強くなる。
言葉を持たぬものは凶暴化して、言葉を解するものは強くなり魔王を尊敬の眼差しで見る
ようになるらしい。
見た目でなく、中の魔力量で見ているらしい。

だから最初に漆黒の鎧で現れた時も、人の姿になった後でも態度が変わらなかった訳だ。

最初は魔物に襲われる事もあったが、椎名と一緒に行動しても襲われにくくなった気がし
ていた。それは、春樹の中の魔力量の変化によったものだったのだ。

それに魔王の称号が付いてからは余計にだった。

「なるほどな…それで椎名ばかりが狙われたのか…」
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない…。」

城の戻ると昼食を済ませると近くの街へと行くことにした。
もちろん偵察も兼ねて国王に挨拶でもしようかという軽いノリだった。
そう、初めは軽いノリだったのだ。
まさかここまで怯えさせる為に来たわけではない。

春樹の後ろをガスが続き、その後ろを兵のごとく整列した魔物達が続いている。

それが街の周りを囲めばそれ相応に警戒され、怯えた目で見られるのは当たり前だ。

「人間達が敬意を払っておりますな!」
「これは敬意じゃなくて、恐怖だよ…はぁ~こんな風に来るつもりじゃなかったのに…」

ただ、ちょっと出かけてくると言ったもんだから、慌てて準備していたガスが兵を連
れてきてしまったのだ。

「これじゃ~魔王が攻めてきたって言われちゃうってば~」
「進行するのでは?人間達に我らの力を見せつけるいい機会ですからな!」

(あーダメだこの人。分かってなかったぁ~)

魔物の大群に囲まれた街では冒険者に至急の依頼が発行された。

門を守るように重鎧の冒険者達が並ぶ中、不敵な笑みを浮かべてガスが指揮をとった。
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