間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

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第八十二話 新たなスキル

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ボス部屋に入ると明かりが順番について行く。

中央に座っているボスはゆっくりと立ち上がると、こちらを見下ろしてきた。

殺気が伝わってきて、皮膚がピリピリする。

「やってやろうじゃん!」

天野は弓を番えると目に向かって射る。もちろん、避けられる事は想定している。
こっちを真正面から見ているボスに当たる訳はない。
それでも簡単に手で弾かれると少し凹む。

次を番える前にと前へと走り出す。

身体が大きいので足元に入るのが一番だと聞いている。
滑り込むように足元に入ると短剣で足の後ろを斬りつけた。
簡単に剣が入って血が噴き出る。
紫の血が辺りにばら撒かれるのを見ながら、後ろから頭へと弓を放つ。
矢の束は背中に背負っている。
次から次へと連射を始める。

ボスは鬱陶しいのか尻尾をダンダンっと地面に叩きつけてくると、一気に土煙りで
視界が悪くなる。

天野はすぐに距離をとると視界が晴れるのをまつ。
そのうちに一気に振動が近づいてくる。
サァーッと視界が裂けて目の前にボスの姿がはっきり見えた時には横から太い尻尾
が振り回された後だった。

HPが1/3ほど一気に減った。

「椎名だったらこんなに減らないんだろうな…」

防御力が低すぎる天野だからなのだろう。
聖女がすぐに駆けつけようとしたが、カエデによって止められた。

「ちょっと、やめなさい。せっかくパッシブスキル解放条件を狙ってるのに、貴方
 が邪魔してどうするのよ?」
「でも、このままでは…」
「少し減ったくらいでピーピー言わないでよ。死にはしないわ」

カエデの言葉にイラッとしたが、掴まれた腕は振り解く事もできず、入り口の付近
で見守る事しかできなかった。

ぼろぼろになりながらも何度も攻撃をしてはかわされ、逃げ回ると距離を取った。
遠距離の人間にはこれが限界だった。部屋の隅に走っては攻撃をしてボスが近づい
てくると煙幕を投げては逃げる。

この繰り返しでやっと半分まで削り切る事ができた。
時間にしては長い戦闘をしているようで15分が経過しようとしている所だった。
そしてやっとの事でピロンッという機械音がしてパッシブスキルの自動回復が手に
入ったのだった。

「取れたぞ!後は手伝ってくれーーー!」

天野から声がかかるとすぐに椎名とカエデが飛び出していった。
一気に削り始めると、残り30%で暴走状態になった。

天野は聖女に回復させて貰いながら遠くから弓を番える。

そして、初めて他のスキルが解放された事に気がついた。

魔法付与と書かれたスキルは説明文に、好きな魔法効果を付与と書かれていた。

「これ使えんじゃん!なら、早速行動不可を付与して…いっけぇーーー!」

刺さりさえすればいい。
天野の矢が背中に刺さると動きが鈍くなった。

左右から攻撃する椎名とカエデに攻撃しようにも動きが遅い。
ヘイトが天野に向くが、すぐに椎名へと変わる。
ボスの奇妙な動きのうちに防御力ダウンを付与して矢を番える。
暴走状態にも関わらず、動きが鈍くなり、防御力が一気に下がったおかげで難なく
倒せた。

「天野も、やるじゃん?魔法付与もできるようになってるじゃん?」
「おう、やればできるんだな~。」
「それは多分…パッシブスキルが増えたせいだろうね~、今度は魔力の矢も出せる
 ようになれると、矢を補充しなくてもいいじゃん?」
「それって何をすればいいんだよ…?」

椎名はカエデに聞くと、フッと鼻で笑われた。

「私よりレベル高いんだから自分で考えなよ~。っていうかさ~どうやってレベル
 上限外すのよ~」
「俺たちも、これにはな~…」
「…」

椎名はただ黙っている。
聖女が説明したように、異世界人を犠牲にして彼らはレベル上限を突破した。
が、カエデも同じように目の前で死なせた。
が、そうはならなかった。

違いといえば、遺跡としか言いようがなかった。

「その遺跡でイツキに死体を持っていけばなんとかなったのかな~?」
「あるのか?」
「…ない。お兄さんが埋葬してくれたって言ってた。」
「そのスキルの事を教えてくれたお兄さんってどんな感じの人だったの?」

聖女が聞くとただカッコよかった。優しそうとかしか出てこない。

一旦宿屋を探す為にと街へと行くと、大騒ぎになっていた。

「何かあったの?私達勇者なんだけど、困った事なら…」
「な、なんと勇者様!お助け下さい、勇者様!ここから東の国が魔王軍の侵攻で
 壊滅したと言うのです」
「東の…国?」

カエデを召喚した国だった。
カエデを探すべく色々な刺客を送り込んできた憎い相手ではあったが、いざ滅ん
だと聞くと不安になる。

「そこはカエデと関係があるのか?」
「私を呼び出した国だよ。思いのままにしようとしてたお偉いさんに嫌気がさし
 て逃げたんだ。その途中に…イツキが…」

ゾンビ化してしまったと言っていた。
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