間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

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第八十七話 獣王国の罠

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苛立ちが募るが、すぐに別の追手が追いついてくるので厄介だった。

「地下には大きな広場があるようです。少し探らせますか?」
「あぁ、頼んだ」
「分かりました…なっ…これは…」
「どうした?」
「いえ、地下にある場所で分体が消されました…」
「なに?」
「もう一度他の子をいかせます」

春樹は一瞬迷ったが、ララの分体は匂いもないければ、どこにでも
潜入出来るのがメリットだった。
なのにすぐに始末するということは、そこに何か警戒すべき何かが
あると言うことに他ならない。

「ララ、そこに案内してくれ!」
「しかし、そこは出口が一つしかなく…罠だったら…」
「それでもだ!何か匂うんだよ、俺の第六感がさ…」
「分かりました。ですが…私に考えがあります」

ララの指示に従うように地下の闘技場へと向かった。
入るのはララのみ。
まずは安全かを確認できたら春樹も入るというものだった。
姿を普通の兵士に化けるとララは入り口を通り抜ける。

向かうのは、さっき分体が消された場所。
誰も観客はいない闘技場の中は森になっている、生い茂る木々は
リアルにできていた。

奥に進んで行くとどっさりと無造作に置かれた金品財宝があった。

「こちらに宝物庫の財宝が運び込まれていたようです。回収してき
 ますか?」
「あぁ、そうだな」

分体を通じて会話をするとララが身体の中へと収納していく。
全部収納すると部類分けして分体の方から欲しいものだけを取り出す。

今春樹の手には箱に封印された世界の破片が手に入った。
帰ってから開けようと自分のイベントリに納めるとララは収納した財宝を
元の位置に戻していく。
目当ての物は手に入ったので、すぐに引き返そうとしたがそこにはライオン
の立髪を持った獣のような見た目の大男が立ちはだかっていた。

「ララ、早く帰ってこい!」
「それはちょっと難しいかもしれません…」

目の前の男からは異常なほどの力を感じた。
そして先ほどから魔力が分散して力を使えなくなっていた。

「ハルさま、すぐにお逃げください。ここは場所が悪いです。魔力が邪魔
 されて…」

状況を伝えてきた分体から声が途切れた。

「ララ!おい、ララ!?」

分体を服の中にしまうと急いで地下の闘技場へと降りていった。



「こんな可愛らしいお嬢さんが宝物庫荒らしの賊だったとはな…話してもら
 おうか?お前は何を狙っていたのかを?」
「そんなくだらない話をしててもいいのですか?私には連れがいるんですよ?
 あなたなんか簡単に殺せるとようなお人です。私を殺したとて、代わりは
 いくらでもいるのですよ?」
「ほう~それは楽しみじゃな!我が獣王国、獣王であるわしに敵う者がいる
 とはな!!」

目の前にいるのがこの国のトップ。
力でねじ伏せ、国を納めるだけの力を持つ男なのだ。

この場所がおかしい事はララも入った時に薄々気づいていた。
魔力が上手く操れないのだ。

(魔王様と一緒に来なくてよかった)

内心少し安堵した。自分だけならなんとでもなる。
まして死んだとて、魔王様さえ生きてさえいればいい。

魔王様は魔力が潤沢だが、体力や攻撃力は普通の人間並みだった。
強化をかければ別だが、この場所ではそれも叶わないだろう。

「御託はいいです。さっさときなさい!」

煽るようにララが言うと獣王の横にあった木が持ち上げられた。
ただの腕一本で持ち上げたのだ。
怪力にも程がある。

それを軽々とぶつけてくる。

「なぜここにいると分かったか聞いてもいいか?」

ララは少しでも時間を稼ごうとしたが、獣王の攻撃は激しくなっていく。

「匂いだ。お前からは水の匂いしかしないのだ。そしてこちらに別の匂い
 がむかっているな?」
「ま、まさか…」
「お仲間とやらがきたようだぞ?ここからはもう逃がさん!」

春樹がこの空間に入った瞬間、嫌な違和感が身体を駆け巡った。
魔力で強化していたはずの足が一気に遅くなったのだ。

「なに?これは…」

すぐに引き返そうとしたが見えない壁に阻まれ出ることもできなくなって
いた。

もう先へ進むしかない。
一人での脱出は不可能ならララと一緒に出るしかない。

分体が弱ってプルプルと震えている。

「俺の中に入れるか?」
「いいのですか?」
「このままだと消えちまうだろ?俺の身体の中ならなんとかなるだろ?」
「はい、ではっ…」

すうっと身体に吸い込まれるようにはいっていった。

すると、そのまま耳に分体の声が直接響くようになった。
春樹の中の膨大な魔力は分体を強化したらしい。
本体との結びつきを強化し、危険を知らせてきた。
今、ララは獣王と対峙している…と。

駆けつけた時には、あたりは木々が薙ぎ倒され、暴れ回った獣王がその場に
立っていた。
地面にはボロボロのララが倒れている。

スライムとはいえ、打撃が全く効かない訳ではない。
受け流しているだけで、ダメージはちゃんと入っている。

「お前がこいつに仲間か?」
「ララ!お前がララをやったのか?」

不敵に牙を見せてくれる猛獣のような見た目に怒りをあらわにすると小馬鹿に
したように話してきた。

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