間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

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第九十七話 魔王城

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考えてもわからないとその日は部屋に各自入ってゆっくりとくつろいだ。

久々にベッドの上で眠れるとカエデと聖女は喜んでいた。
深夜遅くに聖女は部屋を抜け出し天野の部屋に入って行くのをトイレに
起きたカエデが見てしまうと、朝ニヤニヤとしていた。

「なんだよ~カエデ顔大丈夫か?緩んでるぞ?」
「いえいえ、天野さんは昨日はお楽しみだったのかな~って思いまして?」
「なっ…ごほっごほっ」
「いいですよーそれも人生ですもんね~」

後から降りてきた聖女は二人のぎこちない様子に疑問を浮かべた。

「あぁ、気にしないで下さい。昨日の夜、天野さんがとっても魅力的で気持ち
 よかったんですって!聖女様?」

意地悪く言ってやると真っ赤にして二階に上がってしまった。

「少し揶揄い過ぎちゃいましたか?」
「やりすぎだ…、お前だって好きなやつと一緒だったら…するだろう?」
「私の場合…もう、死んじゃいましたからね~」

少し気まずそうにすると天野が謝ってきた。

「悪かったな…」
「別にいいですよ~、こんなに笑えるのもそろそろ終わりだなって思っただけ
 ですから」

そう、もうすぐ見えてくるのだ。
最終目的地である、魔王城だ。

朝靄がかかった大地を抜けると魔王城の輪郭が見えてくる。
遠くからでも大きく見える城は本当に静観だった。

「あそこに向かってるのよね~私たち…。」
「だな~、でも俺らならできる!だろ?」

天野は自身を持った言い方でカエデに言い返す。
少し不安を抱くカエデにとってはこの、能天気さはありがたい。
椎名は最近、前にも増して口数が少ない気がする。

「椎名くん?何か心配事か?」
「ないでもない。行くぞ」
「はいはい」

悪路を進んでいく。

もうわざわざ隠れたりなんかしない。堂々と道を使って行く。
そして最後の休憩ができる街へときた。

やっぱりと言うべきか、街の住人は全員殺されていたのだった。
ここまで先頭がないと言うのもありがたいのか、それとも訓練にもならない分
残念と言うべきか…。

魔族なら経験値になるのだが、まぁそれはいい。
日が暮れる前にと街につけてよかった。
明日には魔王城へとつけそうだった。
ここで馬車を借りようとしたが馬車はあるのだが、肝心の馬がない。
諦めて歩く事になりそうだった。

魔王城では、春樹はたった一人で最後の夜を過ごしていた。
明日には勇者達が訪れるだろう。

上手くできるだろうか?
いや、上手く振る舞うしかない。
椎名を騙してまで演じるんだ。
最後の戦いってやつを無事に演じ切って見せるんだ…。


朝が明けるのが遅い気がする。
多分眠れないせいかもしれない。

人の温もりが有ればしっかり眠れると言うが、春樹にも椎名にも恋しい
温もりはない。

二人の思いは一つだった。

「君と一緒にいたい」
「椎名と一緒に帰りたい」

空を切るように手を伸ばすが、何も掴めないまま振り下ろした。

城の中は誰もおらず、静寂な夜が流れていった。



当初の予定では春樹を奪取して逃げると言うのが、最初の計画だった。
その為に天野と聖女の同行を許した。
囮にして、助け出すと言うのが、計画だったのだが、最近の街襲撃を考えると
この計画じゃダメな気がしてきた。

魔王の魔力は底なしかと思うくらいに大気かった。
自分もそれなりにレベルも上がった、強くなった気はするが追いついたと思え
る程ではない。

対峙して勝てる自信など毛頭ない。
だが直角が言っているのだ。

何かが違う。
と。

まるで勇者を歓迎しているような魔王の暴挙がただの戦闘狂であったなどとは
思えない。

聖女が過去の文献から前回の魔王戦での決め手は初手で魔王城に到達した瞬間
一気にブレスを浴びて全滅しかけたと言っていた。
竜でも飼っているのか?
とも思ったが、ちゃんと退治したと書いてあったそうだ。

それ以降竜のブレスは登場していない。

今回はどうだろう?初撃が来るか?

過去では瀕死になったら近隣の村へ勝手に転移させられてポージョンをたまたま
いっぱい購入してあった村人が助けてくれたらしい。
村で最高級ポーションを大量に仕入れているという事なんてあるのか?

それに近くの村は今回全滅している。

なら、何が待ち受けているのだろう?

どんな事があろうとも、春樹が生きているなら、それでいい。
それだけが椎名にとっては全ての源だった。
人間が全て滅びようが構わない。

どーせ自分とは関係のない人間達だ。
私利私欲で勇者を祭り上げ、魔王を倒せばお払い箱か、政治に利用しようとする
ような汚い連中なのだ。
滅んで当然だ。

その考えは、初めから一貫して変わらない。
椎名には春樹のように、現地人に優しくとかそんな考えは全くない。

「勇者に選ばれたのが春樹だったらもっと違ってたんだろうな~」

考えても仕方ないが、やっぱりどこかで考えてしまうのだった。

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