間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

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第百○九話 恋を始めよう

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春樹に触れられてさっきから心臓のドキドキが止まらなかった。
心拍数もきっと高いだろう。

ずっと我慢してきた思いをいきなりこじ開けられた気がした。
こんな事する奴じゃなかったのに…。
あんな変わった形のネックレス、俺は渡した覚えはない。
春樹は椎名の言動が気になっていた。

あんな愛しい人からのプレゼントみたいな言い方しておいて屋上まで
追いかけてきてまさか自分に告白してくるなんて思いもよらない。
それどころか、あろう事かあんな大胆な行動にまで出るなんて知らな
かった。

いつもイケメンではあるけど、誰とも話そうとしないし、関わるのが嫌
なのかと思えばそうではない。
ただ不器用なだけなのだ。

それでも女子から詰め寄られば悪い気はしない。
でも、告白は全て断っていた。
そんな椎名に毎日付き纏うように根気よく話しかけた春樹には心を許した
のかよく笑うようになった事は春樹の努力の成果だった。

そんな椎名を見ているうちに、ドキドキするようになっていた。
こんな気持ちいつぶりだっけ…。
そしてその気持ちを払拭する為に彼女と付き合う事にした。
なのに…、椎名に触れられた場所が熱い。
ただ触れられ、舐められただけなのに熱くて苦しい…。

屋上から逃げるように出てきたが、教室には帰りたくなくて逆方向へと行く。
そこでばったり彼女に会ってしまった。

「やぁ、えーっと…」
「春くん、顔真っ赤だよ?どうしたの?」
「なんでもないよ。ごめんちょっと今は…」

今は一人になりたいと言おうとしていきなり引き留められた。

振り向くとそこには椎名がいてあろう事か腰にしっかり腕を回すと引き寄せ
られていた。

「ひゃっ!」
「悪いんだけど、俺、春樹の事君よりずっと前から好きだから!俺に譲って
 くれない?」
「なっ…椎名ぁ!何言って…ちがっ、誤解だから…」
「いいんです!そういう事なんですね!わかりました!私達、別れましょう!
 でも、ずっと見てますから。」

いきなり何を言い出すかと思うといきなりの爆弾発言だった。

なのに彼女はそこには触れる事なく、嬉しそうに別れを言ってきた。
あれ?これって好かれてなかったのか?
走り去って行く彼女を見送った後で椎名を見上げた。

後で腐女子の存在を知ったのがもう少し先だった。

「さっきのって…?」
「あぁ、彼女だった子だよ。いきなり何を暴露してくれてんだよ!」
「だって、俺の気持ちちゃんと伝えないとって思って。ただ黙ってるだけ
 じゃ伝わらないだろ?」
「…わった」
「ん?」
「伝わったって言ってんだよ!バカ!」

照れながらいう春樹を掴むと誰もいないのを確認すると思いっきり抱きしめ
ていた。硬い胸板に細いがしっかりした腰。
女の子みたいに柔らかくないが、それでも触れたいと思うこの温もりを離し
たくないと思ってしまう。

「俺で…いいのかよ…お前なら可愛い子だって振り向かせれるだろ?」
「何度も言ってるだろう?春樹がいいんだ。」
「椎名ってホモなわけ?」
「多分…違うかな。女子は可愛いけど、好きになれない。男も抱きたいなん
 て思わないからな~」
「はぁ~だったら…」
「春樹は別!春の全てが欲しいって思うから…この身体を隅々まで舐めたい
 し、感じさせたいって思うから…」
「変態じゃん…椎名ってそんな奴だっけ?」

椎名は笑うと、抵抗しない春樹を抱きしめたまま唇を何度も重ねた。
今は学校でそれ以上はしないと心に誓うと舌を絡めて口内を何度も犯して行く。

苦しそうにしているが嫌がりはしなかった。
振り払う事もせず、椎名にされるがままに教授していた。
そんな春樹の態度が嬉しくて、もっと触りたくなってしまう。

シャツの中に手を入れると、流石にビクッと震えたが逃げようとはしなかった。

「もっと、いっぱい触りたい…いい?」
「んっ…やっ…ここ学校だし…」

春樹も興奮してはいても場所を考えると頷けない。

「早退しよっか?」
「…うん」

真っ赤になりながら頷くと職員室へと向かった。
確かに春樹の顔色を見た担任が、早退を許可してくれた。

椎名に対しては疑問を持ったようだが…。

『こんな矢田くんを一人で返すのは不安なので送っていきます!』

と断固譲らなかった。
根負けした先生はそのまま許した。

「よく言うよな~?」
「いいだろう?別に…うちくる?夜まで親も帰ってこないし」
「うん…」
「ちょっとコンビニ寄っていい?ゴム買ってくからさ」
「!!」
「いるだろう?」
「それって…マジか…」

真剣な顔で言われると流石に何もいえなかった。
これからの事を考えるとドキドキして、心臓がもたない。

椎名はあの世界の事を全部覚えている。
が、春樹は何も覚えてはいなかった。

あの時、時間が戻って春樹もこの世界に帰ってきた事には嬉しかった。
もし、戻れなかった時の為に持たせてくれた世界のカケラは未だに使われてい
ない。

いっそ、記憶を戻して貰うように願った方がいいのだろうかとも考えたが、や
めた。

このままでも、やっぱり好きな気持ちは変わらないみたいだし、一から始めれば
いいと心の中で思ってしまっているからだった。
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