偽りの王女に奪われた世界

秋元智也

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ボス戦

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言葉が遅いせいで丸焼けになるところだったぜ。
とっさに避けて難を逃れたがこのままにしておくのもどうかと思いHPの減ったガーゴイルを狙いに行こうと踏み出した瞬間に後ろから奇声が聞こえてきた。
どうやら行かせてはくれないようだ。
ゼムとミナは2人で2体ならなんとかなるだろう。
「俺の相手はお前か?」
振り向くとそのままガーゴイルの方へと走り出した。
一気に距離を詰め、突きを出す前に仕掛ける。
振り払った剣を上空に逃れてかわされると、口に炎を溜めだした。
「炎が来るぞー」
大声で叫ぶと着地場所である足元に滑り込む。
頭上を炎が通過して後ろに燃え広がった。
ミナ達とは先程よりは離れてはいるが、それでも全く影響が無いわけではないないので声かけはきっちりと行っておく。
降りてきたところを切り上げた。
突きの体勢に入ったところを避けると懐に入ってかわすとそのまま尻尾を切りつける。
ダメージ量はどこを切っても大差なかった。変わるとすれば頭を狙った時くらいだった。
雄叫びを上げると再び突きの体勢に入ってきた。
それを軽く避けて凪ぎ払いをかわすと、そのまま後ろに回り込んで尻尾を切りつけた。
炎を吐かれるのは厄介なので溜めだすと即座に叩き潰す事にした。
残り少しというところで後ろからの熱気に気づき、またもや後退を余儀なくされた。
さっきの場所にはなぜか炎の壁が通りすぎた。
「大丈夫だったー?」
「ちゃんと言えよ。あぶねーだろ?」
「ごめん、ごめん。今いったよー」
「俺を殺す気か?」
向こうでは笑いながら戦うミナの姿がチラッと見えた。
「アイツ、遊んでるな・・・」
隙をつかれて後退したうちに上空へと飛んでしまったガーゴイルはまたもや炎を溜めだした。
チィッ。と舌打ちをするとまたもや真下に逃げ込んだ。
「また、来るぞー」
声だけはかけると着地の瞬間を待った。


1体目を倒し終わると、今度はまた2体と奥からもう2体が接近しようとしていた。
「行きますぞー」
ゼムが声を荒げると上空から炎の岩が幾つも敵に向かって落ちていく。
それが終わると同時にシリが1体に駆け出していた。
残りのもう一体にミナも駆け出すと槍を突き刺した。
ガキィッ。と硬い音がして振動が伝わってくる。
HPは確かに減っている。しかし、手応えは余りない。
それでも何度も切りつけるといきなりの凪ぎ払いを咄嗟に槍で受け止めてしまった。
「きゃっ。」
いきなり吹っ飛ばされると。転がりながら止まる。
回復を一気に飲むとそのまま駆け出した。
その間ゼムが盾でしのいでいるが後衛のため、押しきられそうだった。
「ごめん。しくじった」
ゼムが下がるとミナはまた、前に出る。すると、その隙に飛び上がり炎を溜めだした。
ヤバイと思った時にはそこまで炎が迫っていた。両サイド飛び退くと転がりながらかわした。
ゼムの弓は少しずつだが体力を削っていっていた。
そういえば後ろにはシリがいたような気がする。
と、思い振り返ると。凄い剣幕で怒鳴られてしまった。
「危ないよーって遅かったかな?」
と、後で付け足しておいた。
すると、見事にシリは1体を倒しきってた。
その頃には奥からのもう1体も合流してしまい。こちらは2体になってしまった。
「1体はゼムに任せていい?」
「余り長くは持ちませんぞ?」
そう言うとHPの少ない方にミナが駆け出した。
「すぐに終わらせる。少しだけ引き寄せてて」
「仕方ないですな!」
聖鈴からメイスに持ち変えると盾と共に突っ込んでいった。
「お主の相手はこちらですぞー」
足元に入ると一回殴りつけると直ぐ様引き返し後退する。
ガーゴイルはゼムの方を攻撃するが、逃げた後なので空振りしてしまう。
すると、そのまま追いかけるようにミナから離れていった。
「よーし。いい調子だよ。」
そのまま残りのHPを削ろうと切りかかる。
突きを避けて凪ぎ払いのうちに後ろへと回り込んで一発突き上げる。
飛び上がって上からの切り落とし。
またもや来た突きを槍で凪ぎ払うと体勢を崩しかけた。
「おっと、あっぶなー」
予想以上に重かったのでよろめいたがそのまま横へと回り込む。
足を今度はミナが凪ぎ払い、そのまま頭に一発決める。
その瞬間エフェクトがはじけて霧散する。
すぐにゼムの方に駆け寄ると盾で力比べの真っ最中に後ろから切りつけた。
「お待たせー!」
「間に合いましたな!下がりますぞ?」
すぐにゼムは後退するとメイスから聖鈴に持ち変えた。
それから氷の槍を降らせた。
足止めにしかならないが多少の体力は削れる。
それからゼムは弓に持ちかえると頭を狙って撃ちだした。
ミナも足元でガーゴイルを自分に引き付けながら切りつけていた。
突きをかわされ大きく凪ぎ払いをしてくる。
その間にゼムからの弓が着実に当たっていく。
そして次の瞬間いきなりミナの切り上げが避けられたと思うと空へと舞い上がった。
そして次に来るのは炎のブレスだった。
「あれ?また~厄介だな~」
とぼやきながら左右に別れて迂回する。
真っ直ぐに吐き出された炎はシリの戦っている方へと向かっていく。
「あっ。またやっちゃった?」
「おっと、そっちは・・・」
気づくとちゃんと避けていたのでひと安心した。
「大丈夫だったー?」
「ちゃんと言えよ、あぶねーだろ?」
「ごめん、ごめん。今いったよー」
「俺を殺す気か?」
さすがにこっちも悪かったとは思うけど、死んでないんだからいいじゃん、と思いつつガーゴイルに向き直った。
「あんたのせいでまた怒鳴られたでしょー許さないんだからね!」
ゼムの弓がガーゴイルの目にヒットすると、後ろに回り込んでいたミナが後ろを切りつける。振り向くとタイミングで前に来ると頭を下から切り上げた。
「残り少しじゃぞ」
「オッケー。ラスト行くよー」
ゼムの魔法が頭にまた命中すると、ミナは力を溜めると強攻撃を繰り出す。
通常攻撃に比べて振りが遅いので目眩ましのゼムの攻撃がないと使えないのだ。
一気に背中を駆けあがり頭上で串刺しにする。
すると、一気にHPがなくなりエフェクトがはじけた。
隣でシリも終わってこちらを確認して来たのでVサインをしておいた。


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