偽りの王女に奪われた世界

秋元智也

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ガーゴイルの襲来

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屋上のレバーを引くと物凄い物音が聞こえてきた。
下の階が封鎖されたのだ。そして、ボス部屋へと続く道が開かれた。
突然目の前に道ができ、そこから見慣れたボス部屋への扉が現れたのだ。
「ゼム、覚えてるか?」
「確かガーゴイルでしたな!」
ゼムは顎を触りながら答えた。
それにつられてミナも賛同する。
「そうそう、炎の槍だっけ?」
「普通の槍だ。リーチが長い上に重いんだ!それに炎はブレスで吐かれるんだよ。大丈夫か?耐性は高めとけよ?」
「えー、なんか、よく空を飛んでてうざかったよねー」
ミナの意見は無視でゼムの記憶を頼る事にする。
「確か突き、払い、払いで空中ジャンプからの炎でしたかな?」
「あぁ、そういえばそんな感じだな。後、炎は2体倒してからだな、確か・・・」
「そういえば、そんな気もしますな?カールには遠距離攻撃を任せますかな?」
ゼムの言葉に異論を呈した。
「参加させることは、俺は反対だ。数が多すぎる。それに炎の効果範囲も広い。避けきれるとは限らない。安全地帯などないんだからな?」
「確かに・・・」
二人の会話に自分だけがのけ者にされているようでカールはなんだか寂しそうであった。
しかし、死んだら終わりのゲームに連れていく勇気はない。
カールには最後に大仕事が待っているのだ。
本当なら付いてきていい人間ではないのだ。
「そういう訳だからカールにはここで待っていてもらう。戦闘が終われば扉は消えて普通に通れるようになるからそうなってから入ってきてくれ!絶対に途中で入ってくるなよ?」
「わかりました。待ってます。気を付けて行ってきて下さい。それと今回は打撃と魔力攻撃が弱点みたいです。炎は耐性が有るようです」
部屋から読み取るカールに頷くと扉に手をかけた。
「分かった、じゃー行ってくる」
「じゃ~まったねー!」
「カール、安全だからと油断してはいけませんぞ?そこから下にいる小人が見えるじゃろ?ここからヘッドショットのいい練習台だと思ってわしらが出てくるまでに数を減らしておいてくれるかの?決して下に降りてはいかんぞ?いいな?」
「はい。わかりました」
自分にもやることがあると分かると喜んで弓を構えた。
カールの気をそらしている間にボス攻略をすることにした。
俺は雷に騎士剣に竜騎兵の大盾を持つと剣に魔力を付与する。
ゼムは聖職の小盾に円の聖鈴を装備している。
ミナは竜騎兵の大槍を両手で持つとゼムに魔力付与を頼んでいた。
「付与魔法ぐらい自分でかけろよ、ミナ」
「仕方ないじゃん、覚えるの苦手なんだもん!」
「自慢するな!」
あたっ。
軽くこずくと奥のモニュメントに向かって歩いていく。
「行くぞ?いいな?」
確かめるとゼムとミナが頷く。
それを確かめてから石になっているガーゴイルに向かって攻撃する。
ガキィッ。っと音がしてダメージゲージが表示された。
すると、同時に両サイドにいたガーゴイルが台座から降りてこちらに向かってゆっくりと歩いてきた。
2体は左右に別て向かってくる。
「やっぱりそうなるか・・・ミナ一体は任せた!」
俺は駆け出すと始めに攻撃した一体に向かっていく。
攻撃するためではない、突きを避けるためにだ。
思った通りに突っ込んでいくと槍で真っ直ぐに突っこんできた。
すると、大振りに凪ぎ払いを2度、そして一回飛び上がると一気に突進して来た。
そこは読み通りだ。すると、一気に後ろに回り込むと連続で攻撃をいれる。
突進した後は必ず隙が出きる。この時を待っていたのだ。
ミナの方はゼムが飛ばせないように突きと払いをしているときに攻撃をヒットさせ、また突きからの連続ループになっているようだ。
物理的耐性のないガーゴイルは倒すのには苦労することはない。
連続で攻撃を仕掛けたあと距離をおくと突きを誘うかのように攻撃を待つ。
思った通りに突きを放つと凪ぎ払いをかけてくる。それから飛び上がると突っ込んできた。
この後が隙だらけなので俺はそこを狙う。確実に倒すにはコレが一番簡単でリスクが少ない。
連撃を打ち込むとエフェクトがはじけた。横でも同じように倒した後だった。
「よーし、こっからが本番だ。気を抜くなよ!」
「分かってるって!」
「行きますぞー」
奥から2体のガーゴイルが近づいてくる、しかし、これはまだ序の口。
その後ろの石のガーゴイルも動き出すはずである。 
今から4体と戦わなくてはならないのだ。
1対1なら楽だが多数だとそうもいかない。
とにかく先に2体を倒さなくてはならないのだ。
初っぱなはゼムにデカい攻撃魔法をかけて貰った。勿論それほど効いてはいない。
しかし、目眩ましには最適だった。
一体に俺が、そしてもう一体にはミナが、同時に攻撃を仕掛けた。怯んでいるうちにとにかく体力をた半分まで減らすために仕掛けた。
ゼムの攻撃中に戦技をかけ攻撃力アップを俺は自分とミナにかけ突っ込んだ。
一気に決めるつもりで仕掛ける。
「うおおおおおーー」
横から切りつけるとそのまま後ろ足を切りつける。
体勢が崩れる前にもう一度下から切り上げ反対の横に回ると横凪ぎに切りつけた。
体勢が崩れたのを確認すると、前に行くと頭を正面から切りつける。
感触的には硬い。石を切っているみたいだった。しかし、HPは確実に減っている。
「いける!」
残り少しとなると口に炎を溜めだした。が、そんな事は承知の上だ。
溜め終わる前に飛び上がると正面上から地面に切りつけた。
ドォーン。
という、音と共にエフェクトがはじけた。
「よし、これで3体、ミナが殺ってれば残り2体だ!」
そこで振り向こうとして熱を感じて反射的に後ろに飛び退いた。
するとさっきまで俺が居たところは炎に包まれていた。
「危ないよーって遅かったかな?」
のほほーんと、遅れて言ってきたミナに多少の殺意を感じた。
「そういうことは、早く言え!」
HPは減ってはいるが倒しきれていないようだった。
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