偽りの王女に奪われた世界

秋元智也

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侵入者

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レベルも上がり今はミナと2人で月の塔に来ている。

シリ レベル 41 HP 870 MP 20
ゼム レベル 35 HP 610 MP 105
ミナ レベル 43 HP 980 MP 10

階段を上がると弓矢を持った黒い鎧の小人と長剣を持った小人が待機していた。
横を過ぎようとするといきなり大声で叫ばれた。
「侵入者だー女王様を守れーーー」
とだ。いきなり過ぎるだろう?それに下の人は通してくれたから!
叫ぶ間もなく襲いかかられるとどうしても戦うしかなくなってしまう。
「ミナ!」
後ろを見ると既に剣を握り、戦闘体勢に入っていた。
剣抜いてるし。ってかそんな態度で入って来たらこうなるわな?
諦めの付いた眼差しで剣を引き抜く。
手前の長剣持ちをミナに任せると奥の弓兵に向かって駆け出す。
「はぁぁぁーーー」
2人が片付くと上からまた2人が降りてくる。階段で倒すと切りつけた拍子に下へと死体が転がっていく。
下の死体の山はこうやってできたのかと納得してしまった。
そのまま上の階も制圧すると残るはボス部屋と屋上だけになった。屋上には4人がいたはずだ。
長い梯子がありそこからは降りてくる気配はない。
「一気に行くか?」
「まだ追いかけてこないうちにいっちゃおう」
軽いミナの同意で俺が敵を引き付ける役になる。
いつもの事だが、どうしても嬉しくない役回りだ。
「しっかりとフォロー頼むからな!」
「まっかせてよ。バッチリオッケーだよ~」
不安しか残らないが一人で行くのは危険すぎる。
その為ミナの助力を借りるわけだが・・・ほんとはゼムを待ってから行くべきかと考えていたのだ。
小人は強度が高い鎧を着ているせいかなかなか倒れない。
隙は大きいので何とかなるのだが一発でも食らうと一気にタコ殴りにする習性がある。
しかも、敵を皆で襲いかかる厄介な癖があり、俺が先に見つかると、全員で俺だけを狙って来るのだ。
そこを後ろから1体ずつ倒して貰うと言うことが今回の作戦だった。
兎に角俺は逃げ続けなければならないわけだ。
気合いを入れると一気に梯子を登りきると、直ぐに走り出した。後ろから爆弾を投げつつ、槍兵と弓兵、爆弾兵、長剣持ちという順番で追いかけてきた。屋上を一周すると2周目にかかる頃には長剣持ちは消えて、今爆弾兵が消えようとしていた。その場で踵を返すと弓兵に向かって剣を降り下ろした。
よろめいた小人と入れ替わるように槍が突き出されるが、それを難なくかわしそのまま切りつけると体の遠心力を使い、さっきの弓兵に再び攻撃を入れる。
折角弱らせたのだ、このまま一気に押しきるのみだ。
4体は無理でも、2体なら何とかなるのだ。
連続で切りつける。そして一旦距離を取ると1体はエフェクトが弾けたがもう一体はHPが微妙に残ってしまったらしい。
「浅かったか?」
もう一回っと駆け出すがその横を矢が通りすぎて胴体の真ん中に命中してエフェクトが散った。
「勝手に先に行くとは寂しいですぞ?」
後ろには弓を構えたゼムの姿があった。
梯子を今上がってきたばかりのカールが顔を覗かせた。
「もう来たんだ~早かったねー?」
「それより大変なんです。小人の兵士が下に沢山いるんです」
「あぁ、俺たちも見てきた。死体の山だろう?」
「それが動き出したんです」
「はぁ?ゼム、どういう事だ?」
「入り口の兵士に聞かれたときにカールが女王には仕えるつもりはないと言ってしまいましてな。怒り出した兵士が他の兵士を起こしてしまったんです。」
そう説明すると階段を破壊して上がってこれないようにしたとか?
・・・ってことはセーブをしにく行くこと叶わずこのままボス線に向かうことになった
「おいおい、冗談だろ?」
「カールっちやってくれちゃったね?」
予想外の行動に多少こめかみがピクピクと動くのを感じていた。
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