異世界で最強無双〜するのは俺じゃなかった〜

秋元智也

文字の大きさ
8 / 92

6話 鑑定魔法

しおりを挟む
掃除、洗濯、そして調理までリーさんが担当していると知った日から
色々と疑問に思う事が増えてきた。

ケイルという人物についてだった。

王族、しかも現国王の息子で3男。
上の兄は、ハイド兄さん。そして引きこもりのロイド兄さんが居る事。

姉は2つ上のアンネ姉さん。性格は温厚そうで、話しやすかった。

ハイド兄さんに関しては最悪だった。
自分以外を全員見下している気がする。

ここで生きていく為には極力距離を置かなければならない人物だった。

そして、なんでもできる万能メイドのリーさんだ。
彼女はなんでも一人でこなしてしまう。

それも恐ろしく早くだ。
ケイルが小さい時は乳母がいたが、その人も今はいない。

「リーさん、昔ここにいたもう一人のメイドさんはどうしたの?」

実に可愛らしく、純粋な質問をする様にリーさんに尋ねると少し眉を顰
めた。
これは聞いてはいけない質問だったのだろうか?

「ケイル様、それはもう昔の話です。今はこのリーがお側にずっとつい
 ております。」
「どうして?リーさんだけだと、リーさんが倒れちゃうよ~。そんなの
 僕、いやだよ~」
「そんな事はございません。リーはこう見えて強いのです」
「そうなの?」
「はい、今日は猪の肉をとってきました。夕飯は豪華にしましょうね」
「わーい!やったぁ~!!」

実に子供らしく振る舞った。
話ははぐらかされたけど…

やっぱり、肉は調達してきた物だった。

となれば、どうして本館から送ってくれないのだろう。

昼に窓の外を眺めるとリーさんを見つけた。
本館へと繋がる門の方へと行くと何か袋の様なものを持って帰ってきた。

「今日の分の食料かな?」

じーっと眺めると中身をひっくり返すとそのままゴミ箱へと捨ててしま
った。

「えぇぇぇ!!」

ケイルは慌てて走り出すとさっき捨てた場所へと向かう。
そこはゴミを放り込む様に明けられた穴がある。

いつも生ゴミが多いなとは思っていたが、その原因はこれだったのだ。

さっき捨てられたばかりの野菜や、肉がこれでもかと積み上げられて
いる。勿体無いにも程があるだろう。

カラスが群がると突き始めた。

「そんな~。お野菜がぁ~」

鮮度も悪くない気がするのに、リーさんは何が気に食わなかったのだろう。

カラスの群がるのを見て居るとさっきまでパクパクと食べていたのに、今
は食べるのをやめるといきなり大声で鳴き出した。

「カァァァァーーーー!」

そのひと鳴きすると急にパタリと動かなくなった。
痙攣する様にピクピクとしている。
それから数羽、同じ様に動かなくなっていく。

「うそっ…」

食料を食べた鳥は全部が同じ様に死体の山となった。

野菜も肉も、どれも突いた後がある。

「これって誰かが…」
「ケイル様?」
「リーさん、これってどう言う事?食料に何が入っていたの?」
「それは…本館から貰ってきたものです。ですが、食事にはいっさい使
 っていません」
「うん…僕を殺そうとして居る人がいるの?」
「…」

黙ってても、流石に理解してしまう。
食事が質素なのも、理解した。

渡されたものは全部使えないので、新たに調達していたのだ。
それを知ると、いても経ってもいられなかった。

ケイルは素手で毒の入った食材を手にしたのだ。
リーさんは慌てて引き離そうとするが、必死に野菜の種を探した。
種なら毒もないだろう。

種を数個手にすると、しっかり握りしめた。

「ケイル様、この様なものに触れてはなりません」
「大丈夫だよ、食べたりしないから。リーさんが作ったもの以外は
 口にしないよ。」

リーさんの目の前で手を洗うとやっと解放された。
ポケットに隠した種を取り出すと土の中に埋めた。

数個収穫するとあとは種を取る為に成長させた。
最近では魔力を使っても疲れにくくなった気がする。

「リーさん。見て見て!」
「それは…どうしたのですか!」
「僕が育てたの!屋敷の隅っこで育ててるんだ~どう?使える?」
「はい、とっても美味しそうですケイル様」
「でも、リーさんはどうして毒が入ってるって分かったの?」

疑問だった事を聞くと、にっこり笑いながら鑑定の事を教えてくれた。
物ならなんでも鑑定で見れるらしい。

早速書庫で調べるとそれに関する本を見つけた。
そいういえばそんなのあった気がする。

それからは、いろんなものを鑑定する様になったのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...