異世界で最強無双〜するのは俺じゃなかった〜

秋元智也

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12話 異世界へ召還

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佐野圭子、彼女は兄の遼馬の誕生日プレゼントを探す為に友人と一緒に
ショッピングセンターに来ていた。

「圭子ちゃーん、またダメなの?」
「だって~、これじゃ、いつもと一緒じゃん!」
「一緒でいいじゃん!お兄さんのプレゼントでしょ?」
「よくない!もっと、喜んで貰えるやつじゃないとダメなの!」

圭子はにわかに兄を慕っている。

平凡な顔で、誰にでも優しい兄は圭子には自慢の兄だった。
いつも圭子には優しく、呼び出せば、すぐに迎えに来てくれるので、
つい甘えてしまう。

美人でスタイルがいいと周りからもチヤホヤされているが、誰とも付
き合うつもりはなかった。
なぜなら、みんな圭子の外見しか見ていないからだった。

血の繋がった兄妹を好きなんて誰もがおかしいと思うかもしれない。
それでも、圭子は諦めきれなかった。

その日はショッピングセンターで誰か有名な人のライブがあるという
事で混み合っていた。

「ねぇ~あの子迷子かな?」
「ん?どの子?」

友人はきょろきょろと見るが分からないらしい。

「私ちょっと聞いてくるね!迷子なら迷子センター連れて行かなきゃ
 だしね」

そう言うと、その子供に近づいた。

「ねぇ?お母さんとはぐれたの?」
「なんじゃ、わしが見えるのか?お主いい目をしておるのぉ~」
「何かアニメの見過ぎなのかな?お母さんはどこかな?」
「そんなもん、おらんわい。お主、わしの異世界で勇者になってみんか
 のう?」

話が全く通じなかった。

「ほら、おいで。迷子センター行こうね!お姉ちゃんが連れてってあげ
 るからね」

そう言うとその幼女の手を取った。
するといきなり幼女が光出すと身体が一瞬浮いた気がした。

「な…何!今の…」
「余計な事をするでないわ。わしは人を探しておるんじゃ」
「だ、誰を探しているの?」
「なんじゃ、興味があるのか?この世界の佐野遼馬という青年じゃ。」

心臓が跳ねた気がする。
この幼女は普通じゃない!
見た目は子供なのに、異質な気がした。

探しているのが兄と分かると、このままにはしておけない。

「その人じゃないといけないの?」
「そんな事はないんじゃが…一番都合がいいんじゃよ」
「わ…私なんてどうかな?」
「お主じゃと?…う~ん…まぁよかろう。」

幼女に連れられて行ったのは多目的トイレだった。

「トイレ?」
「ここで扉を開くんじゃよ!」

そう言うと、光が凝縮すると眩い光に包まれて、気がついた時には真っ白
な世界に一人立っていた。

「ようこそ、わしの世界へ」
「さっきの子よね?」
「あぁ、そうじゃ!この世界でいう神じゃ。リンリンと呼んでくれていいん
 じゃよ?」
「本当の名前は言えない様なものなの?」
「そう言うわけではないがのぉ~。リベルタスじゃ。呼びにくいし、可愛く
 ないんじゃよ」
「それで、なんで神様が佐野遼馬を探していたの?」
「それはのう~わしの世界に招く為じゃよ!」

その幼女だった人は今では普通の女性ほどの身長になっていた。
話し方も服も同じだったので納得したが、一見見ただけでは分からないだろう。

リンリンの世界では魔法がある世界らしい。
そして、そこでは魔王という悪が500年に一回生まれ落ちるそうで、それを倒す
勇者を召喚するらしい。

「それって倒したら帰れるの?」
「もちろんじゃ!倒したら即、元の世界に返すぞ!どうじゃ?」
「そうね、私でも倒せる程度なのかしら?」
「そりゃーもちろんじゃ!サービスしとくのでな!完全チート能力じゃ!」

そう言われてその世界に落とされた。

年齢はそのまま。
見た目も何も変わっていない。
ステータスと叫ぶと自分の能力値が見える。

レベルはカンストしており、スキルは魔法完全防御。物理攻撃完全防御。持続
ダメージ完全回避。熱遮断、冷気遮断、乾燥遮断、全属性魔法付与。

とでたらめな防御と攻撃力だった。

ギルドに行くとまずは仲間集めから始まり、魔物を討伐してみた。
呆気なく終わると、そのまま勇者パーティーとして一躍有名になった。

国をあげて賞金も出た。

そして魔王城へと突入したのは仲間のレベル上げを終えた後だった。
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