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23話 初めてのクエスト
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クエストはしっかりと覚えた。
「えーっと、満月草とハナハッカの葉だね!どっちいく?イリア?」
ケイルがふと見上げると何か違う依頼も持っていた。
ゴブリンの討伐依頼?
「ちょっ、イリア!?」
「大丈夫よ。私がついてるし。それにここに置いといたら他の人が依頼
とっちゃうでしょ?だから~これは回収するわ」
「ダメっ!この依頼は困ってる人が出したものでしょ!なら、そんな事
しちゃ…」
「すぐに解決するからいいじゃない?私達で!」
言いたい事を理解すると、嫌な予感しかしない。
あれほど受付のお姉さんなら釘を打たれたのに、全くこりていない。
それどころか、他の人に取らせない様に依頼書を持っていくなど、自己中
すぎる。
「イリア!お兄ちゃんのいう事聞きなさい!」
「ケイルちゃん?ダメだよ?ここでそんな事言っちゃ…」
ひょいっと持ち上げるとそのままギルドを出ていく。
「ちょっと…」
「ほらほら、採取クエスト行くよ~」
聞こえないふりをしながら、そのまま直接クエストの場所まで行くの
だった。
薬草採取は意外と簡単に終わった。
なぜなら、イリアが満月草も、ハナハッカの群生地を知っていたせいで
何の苦労もなく終わってしまった。
「知ってたのか…」
「もちろん、ここにくればすぐに終わるでしょ?」
「そうだな。なら、もう一個の方行くか?」
「今日のうちにゴブリン退治行こう~」
そうして今、目の前にゴブリンの巣穴があるわけなのだが…
なにぶん、レベルという概念がないこの世界で強くなるにはまず、魔物
を倒す必要があった。
そして、今目の前には人型の魔物、ゴブリンがいるのだ。
「うわぁぁっぁぁーーー!」
少し短めな剣を振り回しながら次々に切っているのがケイル。
そして後ろで眺めているのがイリアだった。
もちろん妹のイリアに手伝ってもらうというものいいのだが、それをす
ると一瞬でゴブリンが消し炭になるので今はまだしない。
剣には魔法付与をかけてもらっているので、ゴブリンが紙の様にスパ
スパと切れていく。
なんの抵抗もないのだ。
切っている感覚さえない。
そして、それ以上に息が上がるとすぐに回復魔法がかかる。
その為、かすり傷も一瞬で治ってしまう。
それどころか、腕力強化、スピード向上、そしてまた回復、と支援魔法
まで潤沢にかかるので、一人でもどんどん倒していける。
が、精神的に疲労して来るのはどうしようもなかった。
「はぁ、はぁ、はx、そろそろ休みたいんだが…」
「休む?ならちょっと待って~」
イリアが言うと、ケイルと敵の前に透明なドーム状の膜ができた。
光の膜の向こうでゴブリン達がゴンゴンと棍棒を振り回しているが、全く
歯が立たずイラついているのがわかる。
「これで休憩できるでしょ?」
「あぁ、助かった…でも、なんでもありなんだな?」
「んー?」
「いや、魔法って便利だなって」
「ケイルちゃんは使えないの?」
イリアがそばに来ると目の前でステータスボートが出てきた。
「な…なんだよ、それ」
「ゲームみたいでしょ?」
「俺も出せるのか?」
「試してみればいいんじゃない?私は初めから見れたし。まぁ、人のは見れ
ないけど」
何度か試してみたりもしたが、自分のステータスは出てこなかった。
「なんでだよ、ステータスオープン!出てこい!おい!」
「出てこないわね?自分を鑑定はできないの?」
「それは何度もやったけど、無理だったんだ。できるのは自分と同等か少し
上でもなんとか鑑定できるていどで、あまりに戦闘力が高いと名前くらい
しか見れなかったし…」
少し落ち着くと空中に水を浮かべるとそのままコップへと流し入れた。
「はい、ただの水だけど」
「ケイル、ちょっといい?この水どこから出したの?」
「へっ?これはただの生活魔法で…」
イリアの言いたい事はそこではなかった。
生活魔法とは少し火を付ける程度で、無から有は生み出せないという。
どう言う事かというち、種から身をならすまでの過程で肥料がいる。
それを無視してその場の数分で収穫できる野菜に旨みなどあるはずもなく空
なのだ。
なのに、ケイルが育てた野菜はどの野菜よりも美味しかった。
「それって、どう言う事だ?」
「分からないけど、私がチートな様にケイルもなんらかのチートな力がある
と思うんだけどな~」
「そんな訳ないだろ?あの神がくれたのは言語理解だけだしな~」
どんな生き物でも言葉を交わすことが出来る。
たったそれだけだった。
「さて、再開する?ゴブリン退治!」
「えっ…もうちょっと休憩したいんだけど…」
「いいけど、日が暮れちゃうよ?」
「はい…やります」
こうして、また安物の剣に魔法付与をかけてもらってから、今いる外界を隔
てている光の膜が消えると、すぐに飛び出していった。
イリアの鍛え方は師匠譲りらしい。
が、7歳の子供には厳しすぎる。
後ろからゴンッと棍棒で叩かれればやっぱり痛みは感じる。
すぐに回復で治っても身体が痛みを覚えているせいで足がすくむ。
しかし、目の前のゴブリンは待ってはくれなかった。
次々と殴りかかって来る。
それもそのはず。
目の前で自分と同じくらいの身長の人間が同胞をスパスパと切り刻んでいく
のだ。
恐怖だって感じるだろう。
俺だったら、恐怖でしかないはずだ。
「えーっと、満月草とハナハッカの葉だね!どっちいく?イリア?」
ケイルがふと見上げると何か違う依頼も持っていた。
ゴブリンの討伐依頼?
「ちょっ、イリア!?」
「大丈夫よ。私がついてるし。それにここに置いといたら他の人が依頼
とっちゃうでしょ?だから~これは回収するわ」
「ダメっ!この依頼は困ってる人が出したものでしょ!なら、そんな事
しちゃ…」
「すぐに解決するからいいじゃない?私達で!」
言いたい事を理解すると、嫌な予感しかしない。
あれほど受付のお姉さんなら釘を打たれたのに、全くこりていない。
それどころか、他の人に取らせない様に依頼書を持っていくなど、自己中
すぎる。
「イリア!お兄ちゃんのいう事聞きなさい!」
「ケイルちゃん?ダメだよ?ここでそんな事言っちゃ…」
ひょいっと持ち上げるとそのままギルドを出ていく。
「ちょっと…」
「ほらほら、採取クエスト行くよ~」
聞こえないふりをしながら、そのまま直接クエストの場所まで行くの
だった。
薬草採取は意外と簡単に終わった。
なぜなら、イリアが満月草も、ハナハッカの群生地を知っていたせいで
何の苦労もなく終わってしまった。
「知ってたのか…」
「もちろん、ここにくればすぐに終わるでしょ?」
「そうだな。なら、もう一個の方行くか?」
「今日のうちにゴブリン退治行こう~」
そうして今、目の前にゴブリンの巣穴があるわけなのだが…
なにぶん、レベルという概念がないこの世界で強くなるにはまず、魔物
を倒す必要があった。
そして、今目の前には人型の魔物、ゴブリンがいるのだ。
「うわぁぁっぁぁーーー!」
少し短めな剣を振り回しながら次々に切っているのがケイル。
そして後ろで眺めているのがイリアだった。
もちろん妹のイリアに手伝ってもらうというものいいのだが、それをす
ると一瞬でゴブリンが消し炭になるので今はまだしない。
剣には魔法付与をかけてもらっているので、ゴブリンが紙の様にスパ
スパと切れていく。
なんの抵抗もないのだ。
切っている感覚さえない。
そして、それ以上に息が上がるとすぐに回復魔法がかかる。
その為、かすり傷も一瞬で治ってしまう。
それどころか、腕力強化、スピード向上、そしてまた回復、と支援魔法
まで潤沢にかかるので、一人でもどんどん倒していける。
が、精神的に疲労して来るのはどうしようもなかった。
「はぁ、はぁ、はx、そろそろ休みたいんだが…」
「休む?ならちょっと待って~」
イリアが言うと、ケイルと敵の前に透明なドーム状の膜ができた。
光の膜の向こうでゴブリン達がゴンゴンと棍棒を振り回しているが、全く
歯が立たずイラついているのがわかる。
「これで休憩できるでしょ?」
「あぁ、助かった…でも、なんでもありなんだな?」
「んー?」
「いや、魔法って便利だなって」
「ケイルちゃんは使えないの?」
イリアがそばに来ると目の前でステータスボートが出てきた。
「な…なんだよ、それ」
「ゲームみたいでしょ?」
「俺も出せるのか?」
「試してみればいいんじゃない?私は初めから見れたし。まぁ、人のは見れ
ないけど」
何度か試してみたりもしたが、自分のステータスは出てこなかった。
「なんでだよ、ステータスオープン!出てこい!おい!」
「出てこないわね?自分を鑑定はできないの?」
「それは何度もやったけど、無理だったんだ。できるのは自分と同等か少し
上でもなんとか鑑定できるていどで、あまりに戦闘力が高いと名前くらい
しか見れなかったし…」
少し落ち着くと空中に水を浮かべるとそのままコップへと流し入れた。
「はい、ただの水だけど」
「ケイル、ちょっといい?この水どこから出したの?」
「へっ?これはただの生活魔法で…」
イリアの言いたい事はそこではなかった。
生活魔法とは少し火を付ける程度で、無から有は生み出せないという。
どう言う事かというち、種から身をならすまでの過程で肥料がいる。
それを無視してその場の数分で収穫できる野菜に旨みなどあるはずもなく空
なのだ。
なのに、ケイルが育てた野菜はどの野菜よりも美味しかった。
「それって、どう言う事だ?」
「分からないけど、私がチートな様にケイルもなんらかのチートな力がある
と思うんだけどな~」
「そんな訳ないだろ?あの神がくれたのは言語理解だけだしな~」
どんな生き物でも言葉を交わすことが出来る。
たったそれだけだった。
「さて、再開する?ゴブリン退治!」
「えっ…もうちょっと休憩したいんだけど…」
「いいけど、日が暮れちゃうよ?」
「はい…やります」
こうして、また安物の剣に魔法付与をかけてもらってから、今いる外界を隔
てている光の膜が消えると、すぐに飛び出していった。
イリアの鍛え方は師匠譲りらしい。
が、7歳の子供には厳しすぎる。
後ろからゴンッと棍棒で叩かれればやっぱり痛みは感じる。
すぐに回復で治っても身体が痛みを覚えているせいで足がすくむ。
しかし、目の前のゴブリンは待ってはくれなかった。
次々と殴りかかって来る。
それもそのはず。
目の前で自分と同じくらいの身長の人間が同胞をスパスパと切り刻んでいく
のだ。
恐怖だって感じるだろう。
俺だったら、恐怖でしかないはずだ。
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