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22話 兄妹
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見た目はあの時のまま変わっていない妹を見ると、どうしても懐かしく
思ってしまう。
「あのさ~圭子、外ではお兄ちゃんって呼ぶのやめないか?絶対におか
しいって思われるし…」
「イリア…私がここで初めて会った師匠に付けてもらった名前。」
「わかった。イリアだな。」
「なら、お兄ちゃんは…ケイルでいいの?」
「その名前はちょっと…」
「見た目も違うし大丈夫じゃない?それにもう死んだ事になってるよ?」
少し考えてから、それでもいいかと思う。
「わかった。それでいいよ。」
「うん、ケイルちゃん、よろしくね!」
「ちゃんって…まぁ~この見た目じゃ仕方ないか…」
「可愛いからいいじゃん?」
美人な妹に言われるとなんだか照れ臭かった。
街に行っても誰にも咎められる事はなかった。
見た目が違うのだから、それもそうか!
街中では昨日、今日、と続けて王族が亡くなった事で騒がしくなって
いた。
「おい、聞いたか?また殺されたんだろ?今度は長男だってよ?」
「あぁ、らしいな?でも、それって末っ子の死にも関係あるって話だ
ろ?」
「そうそう、漆黒の魔女に殺人依頼を出して、代金値切ったせいで返
り討ちにあったって噂だろ?」
「なんだかやるせねーな?」
人々の噂はどこまでも、的外れな様で正しいところをついていた。
「噂ってすごいな~あながち間違ってねーし…」
「それはそうよ?私が流す様に言ったんだもん」
「…ん!」
横を見ると涼しい顔で手を引っ張る。
「ほらっ、行こうケイルちゃん!」
「それは…どういう…」
引きずられる様に店に入ると、勝手に注文していく。
まぁ、どれがなんの料理か分からないのだから、ありがたいが…
少しは男らしいところを見せたい気はする。
この年齢では無理だろうけど…
料理が来ると見たこともない様なものばかりだった。
匂いもなかなか美味そうだった。
「はい、ケイルちゃん、あ~んして?」
イリアがフォークにお肉を刺すと目の前まで持ってくる。
恥ずかしくて周りを見たが、誰もこの光景に不自然がらなかった。
子供って…
パクッと食べると、肉は柔らかく、美味しかった。
「うまっ…、これ美味っ…?」
「はい、もう一口…でしょ?」
話す前にすぐに次が運ばれて来る。
「自分で食べれるから…」
「いいじゃん。今日だけ、ね?」
イリアの今日だけの言葉に渋々口を開ける。
どれも美味しくて次々と飲み込んでいく。
お腹がいっぱいになると、けぷっと月賦が出る。
「満足した?」
「あぁ、ここの店は美味いんだな?」
「ここだけじゃないよ?どの店も結構美味しいところ多いよ?」
どれだけ自分が質素なものを食べていたかを思い知らされた気分だった。
「しっかり食べないと、今日はいっぱい運動するからね!」
そう言っていたイリアの言葉がよくわかった。
食事を済ませると冒険者ギルドへと寄った。
イリアで登録する為だった。
漆黒の魔女では裏ギルドで登録していたが、表の冒険者ギルドではまだ
登録すらしていなかったらしい。
「冒険者登録ですね?では、こちらにサインと血を一滴お願いします。」
受付のお姉さんはテキパキと仕事をしていく。
「あの~弟も登録できますか?」
「弟さんもですか?」
「はい!今年で7歳なんです」
そう言ってカウンターの下を見ると、そこには可愛らしい弟の姿があった。
「えーっと、登録はできますが…冒険者とは危険が隣り合わせでして」
「大丈夫です、私が必ず一緒にいるので心配無用です」
イリアが自身満々に答えると、苦笑いを浮かべながらも受付のお姉さんは了
承してくれた。
「危ないところには絶対に行ってはダメですよ!絶対ですよ!」
「はいはい、わかってますって!」
念を押す様に何度も言われた。
「えーっと、イリアさんとケイルくんね、これで登録完了よ。カードはこれね。
無くさないようにしっかり持っているのよ?」
「はい。」
「は~い」
子供らしく返事をしてみるとお姉さんは嬉しそうに頭を撫でてくれた。
これでも元大学生なんだが…、情けねーなこりゃ…
思ってしまう。
「あのさ~圭子、外ではお兄ちゃんって呼ぶのやめないか?絶対におか
しいって思われるし…」
「イリア…私がここで初めて会った師匠に付けてもらった名前。」
「わかった。イリアだな。」
「なら、お兄ちゃんは…ケイルでいいの?」
「その名前はちょっと…」
「見た目も違うし大丈夫じゃない?それにもう死んだ事になってるよ?」
少し考えてから、それでもいいかと思う。
「わかった。それでいいよ。」
「うん、ケイルちゃん、よろしくね!」
「ちゃんって…まぁ~この見た目じゃ仕方ないか…」
「可愛いからいいじゃん?」
美人な妹に言われるとなんだか照れ臭かった。
街に行っても誰にも咎められる事はなかった。
見た目が違うのだから、それもそうか!
街中では昨日、今日、と続けて王族が亡くなった事で騒がしくなって
いた。
「おい、聞いたか?また殺されたんだろ?今度は長男だってよ?」
「あぁ、らしいな?でも、それって末っ子の死にも関係あるって話だ
ろ?」
「そうそう、漆黒の魔女に殺人依頼を出して、代金値切ったせいで返
り討ちにあったって噂だろ?」
「なんだかやるせねーな?」
人々の噂はどこまでも、的外れな様で正しいところをついていた。
「噂ってすごいな~あながち間違ってねーし…」
「それはそうよ?私が流す様に言ったんだもん」
「…ん!」
横を見ると涼しい顔で手を引っ張る。
「ほらっ、行こうケイルちゃん!」
「それは…どういう…」
引きずられる様に店に入ると、勝手に注文していく。
まぁ、どれがなんの料理か分からないのだから、ありがたいが…
少しは男らしいところを見せたい気はする。
この年齢では無理だろうけど…
料理が来ると見たこともない様なものばかりだった。
匂いもなかなか美味そうだった。
「はい、ケイルちゃん、あ~んして?」
イリアがフォークにお肉を刺すと目の前まで持ってくる。
恥ずかしくて周りを見たが、誰もこの光景に不自然がらなかった。
子供って…
パクッと食べると、肉は柔らかく、美味しかった。
「うまっ…、これ美味っ…?」
「はい、もう一口…でしょ?」
話す前にすぐに次が運ばれて来る。
「自分で食べれるから…」
「いいじゃん。今日だけ、ね?」
イリアの今日だけの言葉に渋々口を開ける。
どれも美味しくて次々と飲み込んでいく。
お腹がいっぱいになると、けぷっと月賦が出る。
「満足した?」
「あぁ、ここの店は美味いんだな?」
「ここだけじゃないよ?どの店も結構美味しいところ多いよ?」
どれだけ自分が質素なものを食べていたかを思い知らされた気分だった。
「しっかり食べないと、今日はいっぱい運動するからね!」
そう言っていたイリアの言葉がよくわかった。
食事を済ませると冒険者ギルドへと寄った。
イリアで登録する為だった。
漆黒の魔女では裏ギルドで登録していたが、表の冒険者ギルドではまだ
登録すらしていなかったらしい。
「冒険者登録ですね?では、こちらにサインと血を一滴お願いします。」
受付のお姉さんはテキパキと仕事をしていく。
「あの~弟も登録できますか?」
「弟さんもですか?」
「はい!今年で7歳なんです」
そう言ってカウンターの下を見ると、そこには可愛らしい弟の姿があった。
「えーっと、登録はできますが…冒険者とは危険が隣り合わせでして」
「大丈夫です、私が必ず一緒にいるので心配無用です」
イリアが自身満々に答えると、苦笑いを浮かべながらも受付のお姉さんは了
承してくれた。
「危ないところには絶対に行ってはダメですよ!絶対ですよ!」
「はいはい、わかってますって!」
念を押す様に何度も言われた。
「えーっと、イリアさんとケイルくんね、これで登録完了よ。カードはこれね。
無くさないようにしっかり持っているのよ?」
「はい。」
「は~い」
子供らしく返事をしてみるとお姉さんは嬉しそうに頭を撫でてくれた。
これでも元大学生なんだが…、情けねーなこりゃ…
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