異世界で最強無双〜するのは俺じゃなかった〜

秋元智也

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第二章

2話 戦闘訓練

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二人はそれからも色々な場所へと流れながら、冒険者として名を上げ
ていった。

ケイルも、もう今年で15歳になる。
イリアはまだ、中学生のままの姿なので大分と歳の差がなくなった気
がする。

「どうだ!」

最後の一匹を屠ると後ろにいるイリアを振り返った。

「まだまだ遅い!もっと素早く、的確に急所を狙わないとでしょ?二匹
 後ろから来てたの知ってた?」
「…う……それは」
「気づいてなかったでしょ?私が攻撃してなかったら、やられてたわよ?」
「はい…」

最近はスパルタでの指導が入っている。

それ以外は甘々なイリアは街では必ず手を繋ぐし、よく抱きついたりもし
てきた。
だが、一度戦闘体制に入ると支援魔法以外は危ない時以外手を出さない。

いつもダンジョンで疾苦八苦して動き回るのはケイルだった。
もちろん、ギルドランクもCまで上がった。
もうすぐ、Bランクに昇格するところまで来ていた。

昔に買ってもらった丸盾は今も愛用している。
あれ以上に性能の良いものはないからだった。

少ない魔力を注げば相手に触れただけで毒の付与ができる。
こんな便利なものは滅多にない。

鑑定でも書いてあったが、これが元々勇者のパーティが使っていた物
らしかった。

今は亡き過去に遺品なのだ。
その時の制作者はドワーフの王様だったらしく、腕は一流だったとい
う。
今はその技術も廃れてしまい、同じものは作れないらしい。

今はリザードマンという、沼地に生息している見た目トカゲのような出立
ちの生物を相手している。
その理由は、沼地に咲くアレナの花弁を取り来たついでにイリアに戦闘訓
練だと言われたからだった。

リザードマンは仲間意識が強く一匹倒すとゾロゾロと巣穴から出てくる。

「おいおい…マジで殺るのか…?」
「当たり前じゃない、ほらっ、来たわよ~」

指を指して指摘すると、ケイルにバフをかけた。

「くっそぉ~、こうなりゃやけくそだぁぁぁーーー!」

剣を構えると順番に屠っていく。
沼地のせいか足を取られて動きにくい。
が、戦えない程でもない。

攻撃パターンが一定のせいで避けるのは簡単だった。
人間を相手にするよりは断然楽だった。

鱗ごとスパッと切れるこの切れ味の良さは、チートとしか思えない。

単調となりつつ攻撃に一瞬油断が生まれた。
さっき倒した敵に足を引っ掛けられたせいで沼地に転がり込んだのだ。

「うっ…わぁっ!!…やべっ…」

すぐに体制を整えようと立ち上がると目の前には屈託な戦士が大きな
大剣を振り下ろしていた。

(殺されるっ!!)

一瞬目を瞑ると、後ろから大きな怒号が聞こえて来た。
目を開いた時には目の前に敵の上半身が吹き飛び、緑の血液を吹き出
しながら沼地に沈んでいく。

「あ…ありがと…」
「油断しない!ちゃんと自分の位置を確認して!それと敵の死体の場
 所くらい把握しなさい!」
「あぁ、わかった…」

この異世界では人生にやり直しはない。
死んだら終わりなのだ。

イリアはそんな場所で1000年もの間生き続けたのだ。
俺はまだ、15年しか生きていない若造なのだ。

まだ分からない事も多いし、戦闘に至ってはやっと普通に戦える程度の
技術しかない。

剣の指南役には褒められたが、それも王宮の剣技としてはだった。

実戦では使えない。
そもそもそんな面と向かって斬り合う事など、ないからだった。

裏をかいて、相手を仕留める。
それが、一般的な剣の使い方だった。

お飾りの剣技など、今は必要ない。
必要なのは確実に敵を屠る技術なのだ。

「次、来たわよ!」
「あぁ、分かってるっ!おりゃぁぁぁーーーー」

掛け声が相手を威嚇するため。
そして素早く回り込むと一気に下から切り上げる。
泥沼に足を取られてスピードは落ちているが、それ以上にバフがかかっ
ている分、魔物よりは確実に早いのだった。
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