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第二章
10話 騎士団遠征
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ギルドに戻ると早速依頼完遂の報告を入れる。
「本当に取って来たんですか?それも、昨日依頼受けて、今日ですか?」
「何よ!おかしいの?」
「おかしいでしょ!火山までどれだけかかると思ってるんですか!」
言われてみれば、今日の朝イチの馬車に乗って出かけたのだ。
夕方に現地に着いてそのまま突入、さっきまでずっと火龍を狩りながら
採取と採掘をしていた。
そして帰りはイリアの魔法で一っ飛びだったのだ。
それは誰が見ても早いはずだ。
「もういいじゃない?細かい事言ってないで、受け取る気あるの?ない
の?」
イリアのイラついた声に、受付嬢は眉を顰めながら奥へと案内した。
地下の解体場まで案内すると、大きな机を指していった。
「ここにお願いします」
「こんな小さな机に出すの?溢れても知らないわよ?」
「は?そんなにあるんですか?」
聞きたいの事は分かる。
普通という言葉が通じないのだ。
ケイルは苦笑いを浮かべながらやり取りを眺めていた。
机の上に出されたのは鉱石と花だった。
そして…問題の魔物の素材は倒したばかりの新鮮な状態で床に置かれた。
一体なんてことはなく、普通に何十体単位で積まれていた。
「これを二人で?ほとんどが鋭利な物での切断ですね?まさか…一人じゃ
ないですよね?」
訝しむ受付嬢にイリアは胸を張って答えた。
「私のケイルが倒したのよ?当たり前じゃない!」
「嘘ですよね?」
ケイルの方を振りかえると、説明を求めて来た。
「えーっと、イリアが言った通りなんですけど…」
「龍といえば逆鱗を狙うっ人が多いのに、これは完全に首を一撃で跳ねて
ますもんね~って、どんな武器を使ったらこうなるんですか!」
「普通の剣?ですかね?」
ケイルはいたって冷静に答えた。
嘘など言っていないのだからそのままを答えた。
もちろん強力なイリアのバフ入りだ。
ギルドに入って受付を長年していると嘘か本当かくらいは見分けれるよう
になる。
実は嘘を見抜くスキルがあるのだが、そればギルド長にしか言っていない。
ケイルもイリアも嘘は言っていない。
信じられないけど、これが現実なのだろう。
しかも、この量は完全に徹夜決定だった。
ため息を吐きながら、納得すると受付嬢は明日の昼以降に報酬の受け取り
を指定してきた。
「このくらい今からできないの?」
「無茶言わないでください」
「そう?面倒だけど、仕方ないわね」
イリアの上から目線な態度は強者だけが取っていい態度でもあった。
「いつもイリアがすいません。明日、また来ますね」
「ケイルくん…そうだわ、貴方に頼みたい依頼があるの」
受付の女性は奥から一通の書類を出してくると目の前に差し出した。
「これは…」
「何これ?騎士団の入隊試験?何よこれ?冒険者には関係ないでしょ?」
「それはあくまで一時的な物です。正確には遠征への随行依頼です。少し
厄介な場所へ国依頼で遠征するらしいんですけど、流石に冒険者を雇っ
て行ったとあれば、騎士団のメンツが潰れるという事で、強くて名の売
れていない冒険者へ依頼が来ているんです。ケイルくんなら、顔は知ら
れてないし、お強いので安心かと」
「ダメよ。」
すぐにイリアからの却下が入った。
「私はケイルくんに聞いてるんですけど?」
「だーめ!私がダメって言ったらダメよ。一人で行かせれるわけないじゃ
ない」
「イリア…でもこれって男限定なのは何故ですか?」
「あぁ、それは騎士団が女人禁制だからよ。女がいると風紀が乱れて指揮
が下がるそうよ?古い考えよね?」
イリアの反対で、受ける事はなかった。
ギルドを出るとそのまま食堂へと来ていた。
肉を突きながら口へと運ぶ。
「イリア、ちょっといい?」
「何?さっきの依頼の事じゃないわよね?」
「…そうなんだけど、俺、ちょっと行ってみたいなって」
「なんで?理由は?」
真剣な顔で聞かれると少し悩みながら覚悟を告げた。
「自分の力を試してみたい!今までイリアのバフがあったし、怪我すれば
すぐに回復してもらえたから、あまり実感ないんだよ。だから、今自分
がどのくらい通じるのか、どのくらい戦えるのか知りたいんだ」
「一ヶ月も?」
「まぁ~ちょっと長いけどね」
イリアはケイルの決意を無下にはしたくなかったが、心配はそれだけでは
ない。
「私の魔法なしで一ヶ月は長いわ。髪の色はどうするの?もし怪我でもし
たら?ちゃんと考えてる?ここで死んでもゲームと違って生き返らない
のよ?」
「分かってる。いつもイリアがいたから無茶もできたって実感してる、で
も…やってみたいんだ」
受付嬢の前では断固反対の態度を取っていたが、ケイルには甘いのは昔か
らだった。
逆にケイルがイリアの立場なら、もちろん妹の意見を尊重していただろう。
「仕方ないわね。でも…その前に覚えてもらわないといけないものがあるわ」
「覚える?それってこの間のスキルみたいなやつ?」
「ちょっと違うわ。魔法よ。簡易的なバフと回復ね」
ここではそう詳しくは話せないと言って、まずは宿屋に戻る事にした。
宿屋に着くと、すぐにイリアからの講義が始まった。
「本当に取って来たんですか?それも、昨日依頼受けて、今日ですか?」
「何よ!おかしいの?」
「おかしいでしょ!火山までどれだけかかると思ってるんですか!」
言われてみれば、今日の朝イチの馬車に乗って出かけたのだ。
夕方に現地に着いてそのまま突入、さっきまでずっと火龍を狩りながら
採取と採掘をしていた。
そして帰りはイリアの魔法で一っ飛びだったのだ。
それは誰が見ても早いはずだ。
「もういいじゃない?細かい事言ってないで、受け取る気あるの?ない
の?」
イリアのイラついた声に、受付嬢は眉を顰めながら奥へと案内した。
地下の解体場まで案内すると、大きな机を指していった。
「ここにお願いします」
「こんな小さな机に出すの?溢れても知らないわよ?」
「は?そんなにあるんですか?」
聞きたいの事は分かる。
普通という言葉が通じないのだ。
ケイルは苦笑いを浮かべながらやり取りを眺めていた。
机の上に出されたのは鉱石と花だった。
そして…問題の魔物の素材は倒したばかりの新鮮な状態で床に置かれた。
一体なんてことはなく、普通に何十体単位で積まれていた。
「これを二人で?ほとんどが鋭利な物での切断ですね?まさか…一人じゃ
ないですよね?」
訝しむ受付嬢にイリアは胸を張って答えた。
「私のケイルが倒したのよ?当たり前じゃない!」
「嘘ですよね?」
ケイルの方を振りかえると、説明を求めて来た。
「えーっと、イリアが言った通りなんですけど…」
「龍といえば逆鱗を狙うっ人が多いのに、これは完全に首を一撃で跳ねて
ますもんね~って、どんな武器を使ったらこうなるんですか!」
「普通の剣?ですかね?」
ケイルはいたって冷静に答えた。
嘘など言っていないのだからそのままを答えた。
もちろん強力なイリアのバフ入りだ。
ギルドに入って受付を長年していると嘘か本当かくらいは見分けれるよう
になる。
実は嘘を見抜くスキルがあるのだが、そればギルド長にしか言っていない。
ケイルもイリアも嘘は言っていない。
信じられないけど、これが現実なのだろう。
しかも、この量は完全に徹夜決定だった。
ため息を吐きながら、納得すると受付嬢は明日の昼以降に報酬の受け取り
を指定してきた。
「このくらい今からできないの?」
「無茶言わないでください」
「そう?面倒だけど、仕方ないわね」
イリアの上から目線な態度は強者だけが取っていい態度でもあった。
「いつもイリアがすいません。明日、また来ますね」
「ケイルくん…そうだわ、貴方に頼みたい依頼があるの」
受付の女性は奥から一通の書類を出してくると目の前に差し出した。
「これは…」
「何これ?騎士団の入隊試験?何よこれ?冒険者には関係ないでしょ?」
「それはあくまで一時的な物です。正確には遠征への随行依頼です。少し
厄介な場所へ国依頼で遠征するらしいんですけど、流石に冒険者を雇っ
て行ったとあれば、騎士団のメンツが潰れるという事で、強くて名の売
れていない冒険者へ依頼が来ているんです。ケイルくんなら、顔は知ら
れてないし、お強いので安心かと」
「ダメよ。」
すぐにイリアからの却下が入った。
「私はケイルくんに聞いてるんですけど?」
「だーめ!私がダメって言ったらダメよ。一人で行かせれるわけないじゃ
ない」
「イリア…でもこれって男限定なのは何故ですか?」
「あぁ、それは騎士団が女人禁制だからよ。女がいると風紀が乱れて指揮
が下がるそうよ?古い考えよね?」
イリアの反対で、受ける事はなかった。
ギルドを出るとそのまま食堂へと来ていた。
肉を突きながら口へと運ぶ。
「イリア、ちょっといい?」
「何?さっきの依頼の事じゃないわよね?」
「…そうなんだけど、俺、ちょっと行ってみたいなって」
「なんで?理由は?」
真剣な顔で聞かれると少し悩みながら覚悟を告げた。
「自分の力を試してみたい!今までイリアのバフがあったし、怪我すれば
すぐに回復してもらえたから、あまり実感ないんだよ。だから、今自分
がどのくらい通じるのか、どのくらい戦えるのか知りたいんだ」
「一ヶ月も?」
「まぁ~ちょっと長いけどね」
イリアはケイルの決意を無下にはしたくなかったが、心配はそれだけでは
ない。
「私の魔法なしで一ヶ月は長いわ。髪の色はどうするの?もし怪我でもし
たら?ちゃんと考えてる?ここで死んでもゲームと違って生き返らない
のよ?」
「分かってる。いつもイリアがいたから無茶もできたって実感してる、で
も…やってみたいんだ」
受付嬢の前では断固反対の態度を取っていたが、ケイルには甘いのは昔か
らだった。
逆にケイルがイリアの立場なら、もちろん妹の意見を尊重していただろう。
「仕方ないわね。でも…その前に覚えてもらわないといけないものがあるわ」
「覚える?それってこの間のスキルみたいなやつ?」
「ちょっと違うわ。魔法よ。簡易的なバフと回復ね」
ここではそう詳しくは話せないと言って、まずは宿屋に戻る事にした。
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