レンズに映るのは裸の君

秋元智也

文字の大きさ
上 下
8 / 10

強姦

しおりを挟む
「ほら、早く。先に行きますよ!」
そう言って斉藤は有希を呼ぶがなかなか部屋から出てこない。
ドアを開けると未だに着替えてもいなかった。
「何をしているんですか?」
「何って、ぜってーむりだ。なんでわざわざ女装の必要があるんだよ。おかしくないか?」
首をかしげる斉藤に有希は猛抗議する。
今回渡されたのは直接肌に付けるパットとブラジャー、スタイルがバッチリわかるスレンダーな真っ白なワンピースだった。
「こんなの着れるかよ。どこからどー見ても変態にしか見えねーよ」
「そんな事ないんですけど?ほら、私も。似合いますか?」
一瞬ウインクされるとドキッとしてしまう。
「似合ってるけど・・・って。そーゆー問題じゃなくて!」
そうなのだ。斉藤は華奢な割に引き締まっていてそのラインを上手くごまかしている。
髪は自前であり、肩で1つに纏めて右側に流している。
女性っぽい仕草で話されると男だとは思わない。
声も多少変えているので普段の声とは大分違う。
切れ長の目に色っぽい艶のある口元、何も知らなければ結構引っ掛かるヤツは多いだろう。
それとは違って有希はれっきとした男の子である。
声も話せばどう考えたって女性には見えないだろう。
なのにいつも女装をさせたがる。
理解に苦しむ。とばかりになんとかそのままではダメかと説得しているのである。
「時間も無いことですし、今日のところはしかたないですね。そのままで来なさい」
「おぅ。」
やっと思い通りになったと安心していた。
そもそも、それが間違いだった。
今から行くところが問題だったのだ。
電車を乗り継ぎ向かったのは溜まり場と呼ばれる場所だった。
色々な情報が集まる場所だ。
しかし、情報が集まるだけじゃない。人も集まるのだ。
主に裏で動いているような危ない人達であった。
斉藤はずんずんと前に進んでいく。有希は付いていくのに必死だった。
一人の薄汚い爺さんの前で止まるといきなりしゃがんで話しかけた。
「ケンさんはお元気?」
「あんたさ誰だ?」
「ケンさんに狐が来たと。」
「通んな!」
すると座っていた爺さんは場所を退くと後ろのドアを開けてくれた。
カメラの機材を持っていた有希も入ろうとするといきなり止められた。
「坊主、ここからは行かせられないな。あぁ?」
「そんなっ、俺も付いていかないと!」
「通せねー決まりなのよ。」
斉藤は戻ってきて話したが通してはくれなかった。
「仕方ありませんね。すぐに済むのでそこで待っていて下さい。遠くへは行っては行けませんよ」
「あぁ、わかった。」
そういうと、斉藤は中に入っていった。
爺さんはじろじろとこちらを見てきた。
バツが悪くて少し前の路地まで戻ると地面に腰かけた。
「入れねーんなら、言っとけよ!」
愚痴っても仕方ないが近くの石ころを蹴った。壁に当たり転がった。
荷物を下ろしてうずくまると斉藤の帰りを待つ。
すると目の前を5人の集団が通りすぎた。ここいらを縄張りにでもしているのか堂々と歩いていたので近寄らないように足を引っ込めていると、いきなり目の前で止まった。
なにかと見上げると目があってしまった。
「ここでは初めて見る顔だな?仕事の斡旋か?」
リーダーぽい男が聞いてくるが下手に話すわけにはいかないので黙っていると仲間が有希の顔に疑問を持ち始めた。
なにやらこそこそと話したかと思うとおもむろに現金を取り出した。
「これでどうだ?お前を一日買ってやるよ」
「はぁ?なに言ってんだよ!」
「お前AVでヨガってただろ?俺たち相手にもやって見せろよ」
「・・・」
ヤバイと感じた時には荷物の事など忘れて走り出していた。
「おい、待てよ!」
後ろから声がしたがそんなの待っていられない。
必死で走っているうちにどこなのかもわからなくなってしまった。
ただ、止まってはダメだという思いだけが有希をつき動かしていた。
いりくんでいるため土地勘の無いものには不利だった。
さっきの仲間を見かけるとすぐに違う道に曲がって走り続けると行き止まりになってしまった。
「どうなってんだよ!」
「みーつけた、鬼ごっこはここまでだな?」
手下が近づいて来るのを感じながら逃げる方法を考えていた。
そろそろ斉藤さんが戻って来るかもしれない。早く戻らければならなかった。
おもむろにつき出される手を握ると足を引っ掻け、そのまま壁の方に投げつけた。
「よし、行ける」
二人目も同様に殴りかかってくるのを勢いを殺すことなく投げ飛ばした。
「このやろう、ふざけやがってー!」
マジギレしたように二人が同時に殴りかかる。
教えられた通りに片方の攻撃をもう片方に向けさせる為に一瞬隙を作り、そこから二人の間に入り込むようにして、身を引くと二人をかち合わせる事に成功した。
いつもはこてんぱんにやられっぱなしだが、実際には使える事がわかった。
後は一人だけと思い振り向こうとするといきなり鳩尾に衝撃が走った。
「がはぁっ・・・」
いつの間にかすぐ横に来ていた。一発食らっただけなのに動けない。
腹を抱えてうずくまった。
「手間かけさせやがって。お前ら寝てねーで手伝え。」
さっきまで転がってた仲間もゆっくりと起き上がってきた。
どこかの倉庫に転がされると痛みで眉を寄せた。
「AVの時は気持ち良さそうだったよな?ホントは男を食べたかったんじゃないのか?あぁ?言ってみろよ!入れて下さいって?俺達がたっぷりと可愛いがってやるよ」
髪を掴まれ上を向けさせられると有希を見下ろしていた。
「誰がテメーみたいな奴に媚びるかよ。冗談じゃねー。その薄汚い手をどけろよ!」
キッと睨み付けた。
腕は後ろに縛られ身動きが取れない。
しかし、こんなヤツらの言いなりなんて冗談じゃない。
いくら殴られたって屈しない。
なんとか逃げ出すチャンスを見つけなければならなかった。
「威勢がいいなぁ~嫌いじゃねーがな。おい、ヤレ!」
仲間に一言いってからそのまま有希から手を離すと奥にある椅子に腰かけた。
「?」
いきなり持ち上げられるとズボンに手をかけられた。
下着ごと一気におろされるとシャツも力ずくで破かれてしまった。
「瑛太さんのは太いっすからね。俺達がじっくりと慣らしてやるよ」
「なっ・・・冗談じゃっ・・ひゃっ・」
尻を割ると指が入ってくるのが分かる。
しかも一気に2本も入ると滅茶苦茶にかき混ぜてくる。
とにかく広げようとしか考えていないようなやり方だった。
3本4本と増やすと両サイドに広げだした。
「いやぁぁぁぁーーいてぇって。ムリだからっ」
「DVD見せて貰いましたよ。結構広がるんでしたよね?ここ」
そういうと無理矢理広げようとする。
痛みが体中を駆け巡る。
「やめっ・・・ああああっっっっ・・・」
痛みで涙が勝手に溢れ出す。
苦しいし、気持ち悪いしで吐きそうだった。
有希の後ろの蕾を必死に広げている男と破かれて露になった乳首を指でつねったり押し込んだりと弄んでいる男を眺めるように二人は自分の股間を大きくして入れるのを待っている。
それをどこか楽しんでいるように瑛太と呼ばれる男が離れたところでこちらを伺っている。
必死にロープをほどこうとするがきつく縛られているせいか全くほどけてこない。
「あんっ・・・んんっ・・・」
乳首を吸われ、ぺニスを扱かれているとどうしても反応してしまう。
「イヤだっ・・・ちがっ・・・」
「やっとその気になってきたか?」
「一回出させてやれ!」
「はい。良かったなー皆の前でイクところを見てもらえるぞ?」
必死にイクまいと抵抗いていた。
こんなやつらにイカされるなんて絶対に嫌だった。
唇を噛みしめ耐える姿が彼らを煽っていることなど知るよしもない。
「なかなか強情だな?」
瑛太と呼ばれた男が近づくとおもむろに自分のモノを取り出して後ろにあてがった。
先程まで広げられてはいたものの潤滑油が無いため中は濡れていない。
しかも中途半端に止めてしまったために瑛太の大きさが入るまで広げられていない。
「イヤだ。イヤだ。やめてくれっ・・・そんなのムリだっ・・・」
「言うことを聞かないからだろう?折角慣らして気持ちよくなるようにしてやろうと言ってるのにっ・・っキツいな」
有希の細い腰を掴むと、一気に固くなった自身を押し込んだ。
ぐちゅっ。ぐちゅっ。
とイヤらしい音をたてながら奥へ、奥へと浸入してくる。
ギチギチにはまったモノはまるで目一杯ほうばっているかのようで男たちには甘美に見えていた。
「いやああああああああーーーー」
耐えられない痛みに絶叫するが誰も助けには来ない。
「少しは加減しろよ。食い付き過ぎだっ・・・動くのもつれーじゃねーか?」
そう言って瑛太はゆっくりと自信を引き抜くと、ギリギリのところで一気に奥へと押し込んだ。
「ひゃっあああっ・・・あああんっ・・・」
ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぷつっ、
何かが切れたような音がすると一気に滑りが良くなって瑛太は貪るように腰を振り続けた。
有希の太ももから足にかけて真っ赤に染まっていくがそんな事は誰も気にしなかった。


斉藤は用事を終わらせると出口にいるはずの有希の姿が見えなかった事に一抹の不安を抱いた。
「私の連れはどうしました?」
「そいつならそこに荷物を置いて走っていったよ」
「そうですか」
そっとお爺さんの頬を触れると『どこへ行きました?』と尋ねた。
「ここいらを縄張りにしてる悪餓鬼が追っかけてったな。どこ行ったかは知らねーな?」
そういってイヤらしい笑いを浮かべた。
「ありがとうございます。それだけで十分です」
斉藤は彼らのたむろしている廃屋の場所を探ると荷物を持つと立ち上がって歩きだした。
「だから、女装を進めたんですけどね!」
一人残して置いたことを後悔しながら急いで向かっていた。
しおりを挟む

処理中です...