好きになっていいですか?

秋元智也

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11 覗き

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文化祭初日、田嶋利久斗が想いのほか人気があった。女子の誰かが
入り口の看板にお触りおっけなどと書いたせいもあった。予想外に
尻を触られて嫌がってる割には動作が可愛く感じた。

(俺も触りたいなぁ~)

こっそり影から覗きながら、田中新之介が一人事をぼやく。彼は
どうしても利久斗に試したい事があった。前回着替えているときに
冗談半分で佐藤拓磨が乳首を引っ張った時に顔を赤らめて感じてた
ように見えてしまい、そのせいで息子が勃起してしまったのである。
これは、ただ単にエロいと判断してそうなったのか、それとも男に
惚れてしまったのかと、不安でしばらく眠れていないのだった。
もし、惚れたのなら、告白してどうにかなるものでもないのは、誰
でもわかっている。男に告白されて喜ぶ筈がないのだ。軽蔑されて、
蔑まれるのが落ちだろう?琢磨に相談したのだが…。
 
 タクマ「犯しちゃえって、気持ちよくしちまえばいいんだって」

と、言われてしまった。
本当にそれでいいのだろうか?すると、一人の客が利久斗に抱きつ
いていた。嫌がる利久斗を誰も助けようとはしない。そいつは不良
グループの一人だったので、誰も手出し出来ないのだ。男に守る貞操
などないと女子達は気にも止めない様子だった。
ここでかっこよく出て行って助ければ、また変わったかもしれない。
しかし、それも出来ずにいると、巻くられたスカートの中は男性の下着
が見えた。そこに手を入れるのが見えると頭に血が昇り立ち上がった。
しかし、それも二番煎じでは意味がない。
その前に、動いた人間がいた。隣のクラスの不良の菅原竜也だった。
すぐに手を退けさせると、追い払ってしまった。そのあとは揉め事が
起きないように田嶋が連れて行ってしまった。大丈夫なのだろうか?
菅原だって男である。何をするかわからない野蛮人なのである。
そんな不安を胸に、トイレと言いながら探しに来たら、倉庫として
使ってる教室で物音がした。
こっそり窓から中を覗くと窓際に人影があった。揺れるカーテン
からの光で田嶋と菅原である事がわかり、出て行け無くなって
しまった。その理由は、そこで行われている事が生々しかったから
である。田嶋の声を抑えて必死でしがみつく姿も、足を片方持ち上げ
られた体制もこちらから見ると、接合部が風でたなびくカーテンから
入る光でチラチラと見えるのがまた、エロさを感じた。聞き耳を立て
ているせいか、水音だけが息遣いの合間にはっきり響いてくる。

(これは、これはセックスではないか?しかも菅原と?これは合意の
上か?それともお礼にと無理やりなのか?)

頭の中をぐるぐると妄想が回り始めた。激しく突き上げる姿を見てい
られなくなって、その場を離れた。教室に戻ろうとしたところで拓磨
に止められてしまった。

 タクマ「まった!おい、新。」
シンノスケ「あれ!拓磨じゃん、どうした?」
 タクマ「どうしたじゃねーよ。それ、そのままで戻る気か?」

指差された下半身はスカートの下で大きくなっていた。


拓磨と共に戻った時には田嶋と菅原はいなくなっていた。
教室では、森脇樹が客によって接客相手を選んで選定していた。
目を見れば、大体は想像がついた。田嶋目当てで来た客の中でも
タチが悪そうなのには初めからゲテモノ枠の新之介と拓磨を当てがっ
たのである。
昼の休憩になると、田嶋はいなくなっていた。女子に聞くと森脇が連れ
て行ったらしい。まさか、森脇も狙っている?
そう考えたらいてもたってもいられず、拓磨に相談した。

 タクマ「それはないだろ?だって、あいつらは小学校から仲良かった
     からな~それに、不良のあいつも」
シンノスケ「…菅原?」
 タクマ「そう、菅原!喧嘩しながらいっつも三人一緒だったからな。
     中学入ってからかな?菅原が離れたのって、田嶋とは仲良い
     んだけど、菅原とは顔合わす度に眉間にシワがよるからな」
シンノスケ「さっき菅原に田嶋がチンコ入れられてて…それで…俺」
 タクマ「ふ~ん、それって嫌がってたか?」
シンノスケ「わかんねー。声を噛み殺してたっていうか、すっげーエロい
      音させてて、我慢できなくなって……あのまま聞いてたられ
      なくなっちまったから」
 タクマ「ま、でもこれでいい事知ったじゃん。」
シンノスケ「?」
 タクマ「田嶋が、男でもイケるって事だろ?それに入れられて喜んでた
     んだろう?いい事だろう?もし、慣れてるなら、調教されてて
     誰でも受け入れるって事だろ?3Pもありかもな」
シンノスケ「調教なんて…3Pって…マジか?」
 タクマ「菅原って結構変態だって噂があるんだよ。前にちょっと付き
     合ったって女子が言ってたんだが、なんでもいろんなエッチな
     器具集めてて、それを試そうとしたんだってー。怖くなってす
     ぐに別れたらしいぜ。それが本当なら、きっと…」
シンノスケ「脅されて、きっと無理やり身体を要求されてるんだよな、俺が
      助けてやんねーとな。」
 タクマ「そうか?田嶋って菅原にははっきり言うから、そんな事ないと思
     うけど…?ま、いいか!そうだな助けてやらねーとな?助けたら
     俺らとも同じことヤリたがるかもな!」
シンノスケ「そんなぁっ…俺、どうしよう毎晩おかずにしそう」
 タクマ「おかずと言わず、リアルでセフレになればいいだろ。」

(倉庫での事をネタにすれば、きっと言うこと聞くだろ?本当は写真でも取って
おければよかったんだが…ま、捏造でもすればいいか?楽しみだぜ)

そうして田嶋利久斗奪還作戦が着々と進行していくのである。
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