好きになっていいですか?

秋元智也

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54 不安と直感

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優馬side

利久斗が出かけたあと、何故か胸騒ぎがして慌てて着替えると、
後を付けた。
利久斗が待ち合わせしていたのは、自分たちと同じくらいの男性
だった。
背丈は長身で細そうだが、結構鍛えている気がする。
腕もしっかりと筋肉がついて、無駄な脂肪がない。
服の上からでもわかるくらいなのだから、何の仕事をしているの
だろうと考えた。
二人で入ったのはラーメン屋。
なんか楽しそうに話すのを見ていると、つけてきた事を後悔し
始めた。

「こんなの見る為に、来たんじゃねーよ」

昨日散々煽ってきたせいでいつも以上に激しくしたせいか、
利久斗の体調が心配だった。
親にも会ったし、利久斗自身も喜んでいた。優馬の母は寛容で
あった為、なんの反対も受けなかった。
今度は利久斗の親にも紹介してほしいという欲望がある。
もちろん過去の事件のことで、過敏になっているのだろうが、
息子の幸せを願わない親はいないはずである。
考え事をしているうちに、利久斗達が出てきた。
そのまま駅近くのアパートに入っていった。

「あいつ…なんか嫌な予感がするな」

優馬の直感は追いかけろと言っていた。
入り口に入ると、オートロックで玄関にすら入れなかった。
どうしたものかと悩んでいると、中から人が出てきたので
入れ違いに中へとはいった。
どこの部屋にいったのかが問題だった。
ポストに行くと名字と名前も書かれていた。利久斗はさっき
『イツキ』と呼んでいた。
そこから考えて、名前がイツキと読めるのは森脇樹だけだった。
部屋番号を知ると、即座に駆け上がった。
部屋の前で来ると、中で何かが落ちる物音がした。
ドアのポストを少し開けて中の音を聞こうとすると、何やら
呻き声が漏れて来た。
何も考えられず、少し落ち着いてインターホンをおすが、
中は逆に静まり返った。
怪し過ぎると思うと、ドアを殴っていた。
ラチが開かず、そのまま蹴り続けた。勢いを付けて体当たりし、
ドアを突き破った。
そのまま中に侵入すると、そこにはあったのは半裸の利久斗を組み
敷いている男の姿だった。
下半身を勃起させ、腕を丸ごと中に突っ込んでいた。
涙を流し暴れる利久斗の腕には手錠がかけられている。その男は
警察官のコスプレをし、変態行為に及んでいるのだ。
ただ、ズボンをおっ立てている割には、自身を突き入れる前で
よかったと少し安堵し、その男に近づいた。

 ユウマ「何してんだ?あんた。」
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