僕を惑わせるのは素直な君

秋元智也

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47話 劇の配役

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王子様……多分貧乏で暮らしていくのも辛いのな
らそれが嫉妬渦巻く城内の暮らしでも幸せと言う
のだろうか?

物語りの最後はいつもそう。
城でいつまでも幸せに暮らしましたとさ…………
おしまい。

本当にそれって幸せ?
意地悪な姑はいない?

継母の次が皇后の虐めにあうんじゃないの?
だって、その後の物語なんて何も伝わっていない
のだから。

もし、シンデレラが心を読む事ができたら?

きっととっくに逃げているか、この世に未練なく
逝くかもしれない。

希望の持てない世界で生きていくのは辛いから…。

「おーい、終わったし、帰るか?」

「あ、うん」

綾野は楽しそうに継母役をやっている。
歩夢もそっちだったら、もっと楽しかったのだろ
うか?

当日メイクは女子がやる事になっている。
衣装はそれまでに届くらしい。

服選びでさえ、あんなに詳しく寸法を測る事はな
かった。
女子の服とは難儀なものだった。

家に帰ると机の上に台本を置くと、飲み物を取り
に一階へと降りていく。
そして帰ってきた時には、郁也が真剣に台本を読
んでいたので驚くと素早く取り上げたのだった。

「お前らの文化祭の出し物は劇なのか?定番だな」
『懐かしいなぁ~、俺王子役だったんだよな~』

「郁也兄さんはハマり役が王子役だったんだね」

「まぁーな……で!歩夢は何をやるんだ?」

「……勉強教えてくれるんでしょ!」

椅子に座ると教科書を並べる。
言いたくない。

だって、シンデレラなんて言えるわけないじゃな
いか!

「俺さ、母さん達誘って見に行くからな!」

「来ちゃダメ!」

「なんでだよ?せっかくの劇だろ?ビデオに残そ
 うぜ?」

「絶対にダメ!見に来たら二度と口きかないから」

「なんでだよ?いいじゃん、せっかくの晴れ舞台
 だろ?」

冗談じゃない。
揶揄われるってわかってて教えるつもりはなかっ
た。

「なんでもいいから、絶対に来ないでよ?」

流石にわざとらしいとは思ったが、絶対に見られ
たくないのだった。

食事中など、両親の前で何か言うのではないかと
ヒヤヒヤした。
が、郁也兄さんは何も話さなかった。

「ねぇ~、九月の第一土曜日にクラスの出し物や
 るんだ~ぜひ家族に見に来て貰いなさいって言
 うんだけど空いてるよね~?」

丁度、歩夢の文化祭の時期と被る。
これなら、見に来る心配はなさそうだった。
美咲は見に来て欲しい、そして歩夢は見に来て欲
しくない。

ある意味利害関係が一致していた。

「そういえば歩夢くんもその日文化祭でしょ?」

まさか、まどかさんから言われるとは思わなか
った。

「あ、うん。でも、僕は平気だから美咲の方を
 行ってあげなよ」

気を遣っているいいお兄ちゃんのように聞こえ
はするが、実際は見られたくないのだった。

「歩夢、俺だけ行こうか?」

「来なくていい!!美咲が郁也兄さんには来て
 欲しそうだけど?」

話を振ると、郁也へのアピールをしっかり忘れ
てはいなかったらしい。
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