僕を抱いて下さい

秋元智也

文字の大きさ
9 / 46

9 ライバル?

しおりを挟む
あの日からケイの事を思い出す度に自慰が止まらなくなってしまった。
仕事中は思い出さない様にしているが、どうにもドキドキが治らない。

 荒川 「はぁ~一体どうしたんだろう?」
 乾  「溜息ですか?」
 荒川 「うわっ…!びっくりするじゃないですか!」
 乾  「ちゃんと声かけたんですけど?あれからどうです?仕事量
     大丈夫ですか?」
 荒川 「はい、嫌味は言われますが、先日の様な無茶な量は無くなり
     ました。」
 乾  「それはよかった。では、そろそろ昼休憩ですし、外に食べに
     いきませんか?断りませんよね?僕の一声で仕事楽になりま
     したよね?」
 荒川 「…わかりました。」

乾は荒川の肩を握ると問答無用に連れて行こうとする。

 荒川 「待って下さい。せめてこの書類だけ届けてからでないと…って
     女子社員が期待してますよ、なんで俺なんか…」
 乾  「だからですよ!毎日ちょっとしつこくって。それに、見てるの
     は僕じゃなくてそのバックですよ。」
 荒川 「それでも付き合えば変わるでしょう?物好きですね?」
 乾  「なら、君が付き合ってくれ」
 荒川 「いやですよ。面倒くさい!」
 乾  「そうやって女子を近づけさせないんですか?ん?首のところ
     どうしたんです?」
 荒川 「虫に刺されたんです。」

そういうと、書類を持って本田の元に向かった。
相変わらず休憩前のせいか女子社員に囲まれていた。
今日は誰と食事に行くんだか…。

 荒川 「本田。書類ここに置いといていいか?そろそろ休憩だろ?」
 本田 「ん?あぁ、僕も忙しいんでな、置いといてくれ!」
 荒川 「ん…あれ?…。」
 本田 「どうかしたか?」
 荒川 「いや…なんでもない。置いとくからなっ」

そう言って慌てて出てきた。
自分でも何故だか分からないが突然顔が火照ってきて、理解できない感情
が溢れそうになった。
書類を置くとすぐにトイレへと駆け込んだ。

 (あいつはただの同期で、いつも嫌がらせしてくる相手だぞ?なんで
  こんなにドキドキすんだよ!おかしいだろ?)

少しケイに声が似てる気がするけど、別人だと自分に言い聞かせた。
もし本人なら、男など抱こうはずがないのだから。
落ち着かせると、会社の下のロビーに行くと、女性に囲まれた乾を見つ
けた。
女性社員に囲まれて満更でもない様子。
その横を通り過ぎようとすると、こっちに気づいたのかすぐに駆け寄っ
てきて腕を掴まれる。

 乾  「おい、どこ行くんだよ。」
 荒川 「女子社員の方々はいいんですか?」
 乾  「今は荒川を待ってたんだよ!」

腕を掴んだまま、乾は歩き出した。

 荒川 「どこ行くんですか?」
 乾  「店は取ってあるから。さぁ、いこう」

その様子を陰から見ている人影があった。
さっきまで女子社員に囲まれていたのだが、荒川の様子がいつもと違う事
に違和感を感じ付けてきたのだ。
乾と一緒に出て行く荒川を睨み付ける様に見ると、その後を歩き出した。
本田圭佑は自他が認めるイケメンだ。
誰からともなく声をかけられる事が多かった。
二人を尾行しようにも女性から声をかけられたりと、迷惑な事だった。
その日はそんな事に相手してる暇はないので、睨みつけ、黙らせた。
二人が入って行ったのは会社からすぐ近くのホテルだった。
そこにあるレストランは美味しい事で有名であったが、かなりお高い。
そして一人で入るのには少し抵抗もあった。
聞かれたくない大事な話や、恋人となら違和感ないのだがと考えていると
そこへコンビニ帰りの女子社員を見つけた。

 本田 「ねぇ、食事まだなら僕とどう?」
 佐伯 「えっ…本田さん!私でいいんですか?」
 本田 「あぁ、行こうか?」
 佐伯 「えぇ、えぇ、行きます!」

顔を真っ赤して佐伯は付いてきた。
これで、堂々と入れる。そう思うと彼女の肩を抱くとレストランへと入った。

その頃、窓際の席を案内された荒川と乾はメニューを見て驚いていた。
 
 荒川 「…!どれも高すぎませんか?」
 乾  「誘ったんだから僕が奢りますよ。好きなの選んで下さい。」
 荒川 「…。」
 乾  「頼まないのなら勝手に注文しますよ?」
 荒川 「勝手にして下さい。こういうところってきた事ないんで。」
 乾  「そうですか、なら。」

ウエイターを呼びつけると、何やら頼んだらしい。
ほとんどフランス語で書かれていて、読めなかった。

 荒川 「なんで俺なんですか?」
 乾  「興味があるから…かな。他の社員は僕の事時期社長として敬って
     くれるからね。でも、君だけは違う。どうしてだい?」
 荒川 「今はだたの同期の社員でしょ?偉い態度取るなら社長になってか
     らにしてください。それとも態度が悪いっていい付けますか?」
 乾  「ふっ!いや…そのままでいい。やっぱり君は面白い。」

料理が運ばれてくると、どれも美味しかった。
マナーなど知らなかったので、バクバクと食べてしまった。

 乾  「いい食べっぷりだな~。」
 荒川 「マナーは習ってないんでね。」
 乾  「構わないよ。美味しそうに食べるなと、思ってね。」
 荒川 「本当に割り勘じゃなくていいのか?」
 乾  「構わない。それに君の給料が減ってしまうよ。」
 荒川 「はいはい。ごちそうさまでした。」
 乾  「なら、少し僕も味見させてもらおうかなっ!」
 荒川 「えっ…」

いきなり乾の手が頬に触れると唇に暖かいものが触れた。
一瞬の事でポカンとしていると乾は何もなかったかの様に荒川の手を引くと
会社へと帰ってきた。

あの後、いたずらっぽく笑うと、戻って行ってしまった。

 (なっ…なんだったんだーーー!)

一瞬の事で動揺したが、まぁ、帰国子女のボンボンの考える事は分からんと
自分を納得させたのだった。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

処理中です...