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最終話 その後…
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手紙を受け取った母親は泣き崩れるように何度も読み返したそうだ。
息子の側にいてくれた大輔へと届けてくれたのだった。
大輔は今、隔離されていて面会は許可されなかった。
両親が言うには、精神的に参っていて、誰にも会わせられないと
伝えられた。
正確には、今目を離すと何をするか分からないからと言うのが
理由だった。
もしあの時、自分が親に連れられ帰っていなければ…。
もし、あの時に稔を見つけてあげてれば…。
もう少しでも、長く生きられたかもしれない。
そんな考えでいっぱいだったからだ。
あの日、帰った後警察へ連絡して別荘の管理者を調べて貰った。
稔の捜索も朝から始める予定だった。
全てが遅かったのだ。
次の日に知らされた悲報。
ずっと誘拐事件が解決されたとニュースは強調していた。
稔の母には悪い事をしたと思っている。
たった一人の息子をこんなにも早くに亡くす事になってしまった
からだった。
大輔は一人療養の為というる理由で今も監視されている。
ようは、自殺しない為の言い訳だった。
「ごめん…稔。お前を一人で死なせるなんて…。俺がついてるって
誓ったのに…」
そんな折、一通の手紙が届けられた。
稔の手紙だった。
正確には遺書といった方がいいのかもしれない。
全部読み終わると、胸が苦しくなった…。
「あのーすいません。これってコピーしてある人に届けて貰えませんか?」
大輔は看護師を呼ぶと、あきらさんへと手紙のコピーを送ってくれるように
頼んだのだった。
きっとあのひとも知る権利はあるから…。
その数日後、手紙と共にある知らせが届けられた。
手紙は封が切られたいなかった。
見る前に返されたようだった。
「どうして戻って…」
「受取人がいないそうだ…」
「いない?刑務所って手紙も渡してくれねーのかよ!」
「違う…受刑者が亡くなったと言われたんだ…」
大輔が療養中の出来事だったらしい。
刑を執行する前に既に命を絶っていたというのだった。
同じ男を愛した戦友…旧友とも呼べる、歳の離れた男の死だった。
公式には発表されはしなかった。
ただ、刑を待っている状態だとだけニュースで流れただけだった。
これで、誘拐事件が解決され表には公式に発狂された事だけを残して日常の
生活へと戻っていく。
誰も、その人の人生など知ろうともしない。
ましてや、そこに隠れた想いなど知ることもない。
そんなに批判される様な事だったのだろうか?
そんなに…悪い事をしたのだろうか?
ただ純粋に好きになって、一緒にいたい。
そう思って、死ぬまで一緒にいた…ただそれだけだった。
また生まれ変われるなら、また出会いたい。
今度は普通に出会って、好きになって…、今度こそデートして、普通に付き
合って、そして…一緒に寝よう?
そんなささやかな幸せを掴もう。
短くても、長くても、ずっと一緒にいられるように。
病室の屋上…、今日に限って誰も見張りはいなかった。
誰もいない。
ただ青い空が一面に広がっていた。
大輔は順調に回復していた。
このままななら、普通の生活に戻れる日も近いだろう。
「俺だけ置いてくなんて…ひでーだろ…?」
柵を乗り越えて眼下を見下ろした。
「うわ~たっけ~…。でも…もしもは、ないな!」
遺書なんて残してやらない。
だって、両親さえあの時来なかったら稔は…。
一歩踏み出すと、空を切って重力に沿って落ちていく。
思い出は走馬灯のように流れ、どれも稔との思い出ばかりだった。
一瞬の間に全ては終わった。
その日のニュースには自殺とだけ簡素に流され、誰も気に留める人などいない
だろう。
息子の側にいてくれた大輔へと届けてくれたのだった。
大輔は今、隔離されていて面会は許可されなかった。
両親が言うには、精神的に参っていて、誰にも会わせられないと
伝えられた。
正確には、今目を離すと何をするか分からないからと言うのが
理由だった。
もしあの時、自分が親に連れられ帰っていなければ…。
もし、あの時に稔を見つけてあげてれば…。
もう少しでも、長く生きられたかもしれない。
そんな考えでいっぱいだったからだ。
あの日、帰った後警察へ連絡して別荘の管理者を調べて貰った。
稔の捜索も朝から始める予定だった。
全てが遅かったのだ。
次の日に知らされた悲報。
ずっと誘拐事件が解決されたとニュースは強調していた。
稔の母には悪い事をしたと思っている。
たった一人の息子をこんなにも早くに亡くす事になってしまった
からだった。
大輔は一人療養の為というる理由で今も監視されている。
ようは、自殺しない為の言い訳だった。
「ごめん…稔。お前を一人で死なせるなんて…。俺がついてるって
誓ったのに…」
そんな折、一通の手紙が届けられた。
稔の手紙だった。
正確には遺書といった方がいいのかもしれない。
全部読み終わると、胸が苦しくなった…。
「あのーすいません。これってコピーしてある人に届けて貰えませんか?」
大輔は看護師を呼ぶと、あきらさんへと手紙のコピーを送ってくれるように
頼んだのだった。
きっとあのひとも知る権利はあるから…。
その数日後、手紙と共にある知らせが届けられた。
手紙は封が切られたいなかった。
見る前に返されたようだった。
「どうして戻って…」
「受取人がいないそうだ…」
「いない?刑務所って手紙も渡してくれねーのかよ!」
「違う…受刑者が亡くなったと言われたんだ…」
大輔が療養中の出来事だったらしい。
刑を執行する前に既に命を絶っていたというのだった。
同じ男を愛した戦友…旧友とも呼べる、歳の離れた男の死だった。
公式には発表されはしなかった。
ただ、刑を待っている状態だとだけニュースで流れただけだった。
これで、誘拐事件が解決され表には公式に発狂された事だけを残して日常の
生活へと戻っていく。
誰も、その人の人生など知ろうともしない。
ましてや、そこに隠れた想いなど知ることもない。
そんなに批判される様な事だったのだろうか?
そんなに…悪い事をしたのだろうか?
ただ純粋に好きになって、一緒にいたい。
そう思って、死ぬまで一緒にいた…ただそれだけだった。
また生まれ変われるなら、また出会いたい。
今度は普通に出会って、好きになって…、今度こそデートして、普通に付き
合って、そして…一緒に寝よう?
そんなささやかな幸せを掴もう。
短くても、長くても、ずっと一緒にいられるように。
病室の屋上…、今日に限って誰も見張りはいなかった。
誰もいない。
ただ青い空が一面に広がっていた。
大輔は順調に回復していた。
このままななら、普通の生活に戻れる日も近いだろう。
「俺だけ置いてくなんて…ひでーだろ…?」
柵を乗り越えて眼下を見下ろした。
「うわ~たっけ~…。でも…もしもは、ないな!」
遺書なんて残してやらない。
だって、両親さえあの時来なかったら稔は…。
一歩踏み出すと、空を切って重力に沿って落ちていく。
思い出は走馬灯のように流れ、どれも稔との思い出ばかりだった。
一瞬の間に全ては終わった。
その日のニュースには自殺とだけ簡素に流され、誰も気に留める人などいない
だろう。
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