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1話 手紙
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磯部恵、生徒会会長にしてもうすぐ誕生日を迎え、晴れて17歳になる。
学校の部活動の課題を一個一個片付け、明日は予算の打ち合わせ会だ。
毎年の事だが、どの部活もゴネてくるので夜遅くまでかかると予想されている。
今日くらいは早く帰れると鞄を持つと、そこへ副会長の神田沙耶香が帰ってきた。
「今日もご苦労様。神田さん、どうだった?」
「先生の方は今まで通り進めていいそうです。明日が無事に終わるといいですね、
会長!」
「そうだね。今日はもうお開きにして明日の為にも早く帰ろうか?」
「そうですね。会計と書記にも連絡しておきます」
「いつもありがとう。」
「いえいえ、磯部会長のお役に立てるならそれで嬉しいです。」
いつからだろう?
小学校に入ったあたりから周りの視線を一心に受ける様になった。
何も変化があったわけではない。
顔も自分では普通だと思っているが、周りからはチヤホヤされるのには少しうんざり
している。
説得すれば分かってくれるので、ありがたいがそれでも奇妙な話だった。
中学、高校とモテてはいるが、突っかかってくる人はいない。
もちろん女子も抜け駆けして告白してくる人もいない。
なので未だに童貞だった。
学校を出ると真っ直ぐに家に帰らず、学校から少し離れた商店街にあるお店へと向かう。
夕方の時間になると他校の生徒と主婦でごった返していた。
裏から入るとエプロンをつけて接客へと回る。
いつもならバイトの女の子がいるのだが、今日はいないのでレジに入った。
「あら、磯部くん、今日もかわいいわね~」
「はははっ…レジ入りますね~」
おばちゃんの言葉に苦笑いを浮かべながらレジを変わる。
客の半分以上は磯部恵を一目見ようと来た客だったので黄色い声援が飛び交う。
「いつも人気だね~。あたしらは助かるけどね~」
「そんな事ないですよ~。ここの唐揚げ美味しいですもん」
磯部は毎日のように余った分を持ち帰っている。
家には誰もおらず、両親は海外へ主張している。
最初は親戚の家に預けるという話が出たのだが、親戚と言ってもかなり遠いので
恵は一人で暮らす事になったのだ。
一年の半分以上を海外で過ごす両親は恵が中学に上がったあたりから、ほとんど
家には帰って来ていなかった。
食費は振り込んでくれるのでそれでやっていけるし、食事も適当に済ましている。
最近ではお惣菜が貰えるとあって、学校の許可を取ってバイトしている。
もちろん、成績上位10位に入るという条件を満たしていなければ許可されなかった
事だが、恵には難しい事ではなかった。
家にいてもつまらないので、いつも勉強に明け暮れていたので成績はいつも主席だ
ったのだ。
そんな恵がバイトを終えて惣菜の唐揚げをずっしりと抱えて家に帰ると、ポストに
父親と母親の字で手紙が届いていた。
「へ~久しぶりだな…今はどこの国にいるんだろう?」
手紙をキッチンの机の上に置くとご飯を炊いているうちにシャワーを浴びてくる。
スッキリさせてから改めて手紙の封を切ったのだった。
学校の部活動の課題を一個一個片付け、明日は予算の打ち合わせ会だ。
毎年の事だが、どの部活もゴネてくるので夜遅くまでかかると予想されている。
今日くらいは早く帰れると鞄を持つと、そこへ副会長の神田沙耶香が帰ってきた。
「今日もご苦労様。神田さん、どうだった?」
「先生の方は今まで通り進めていいそうです。明日が無事に終わるといいですね、
会長!」
「そうだね。今日はもうお開きにして明日の為にも早く帰ろうか?」
「そうですね。会計と書記にも連絡しておきます」
「いつもありがとう。」
「いえいえ、磯部会長のお役に立てるならそれで嬉しいです。」
いつからだろう?
小学校に入ったあたりから周りの視線を一心に受ける様になった。
何も変化があったわけではない。
顔も自分では普通だと思っているが、周りからはチヤホヤされるのには少しうんざり
している。
説得すれば分かってくれるので、ありがたいがそれでも奇妙な話だった。
中学、高校とモテてはいるが、突っかかってくる人はいない。
もちろん女子も抜け駆けして告白してくる人もいない。
なので未だに童貞だった。
学校を出ると真っ直ぐに家に帰らず、学校から少し離れた商店街にあるお店へと向かう。
夕方の時間になると他校の生徒と主婦でごった返していた。
裏から入るとエプロンをつけて接客へと回る。
いつもならバイトの女の子がいるのだが、今日はいないのでレジに入った。
「あら、磯部くん、今日もかわいいわね~」
「はははっ…レジ入りますね~」
おばちゃんの言葉に苦笑いを浮かべながらレジを変わる。
客の半分以上は磯部恵を一目見ようと来た客だったので黄色い声援が飛び交う。
「いつも人気だね~。あたしらは助かるけどね~」
「そんな事ないですよ~。ここの唐揚げ美味しいですもん」
磯部は毎日のように余った分を持ち帰っている。
家には誰もおらず、両親は海外へ主張している。
最初は親戚の家に預けるという話が出たのだが、親戚と言ってもかなり遠いので
恵は一人で暮らす事になったのだ。
一年の半分以上を海外で過ごす両親は恵が中学に上がったあたりから、ほとんど
家には帰って来ていなかった。
食費は振り込んでくれるのでそれでやっていけるし、食事も適当に済ましている。
最近ではお惣菜が貰えるとあって、学校の許可を取ってバイトしている。
もちろん、成績上位10位に入るという条件を満たしていなければ許可されなかった
事だが、恵には難しい事ではなかった。
家にいてもつまらないので、いつも勉強に明け暮れていたので成績はいつも主席だ
ったのだ。
そんな恵がバイトを終えて惣菜の唐揚げをずっしりと抱えて家に帰ると、ポストに
父親と母親の字で手紙が届いていた。
「へ~久しぶりだな…今はどこの国にいるんだろう?」
手紙をキッチンの机の上に置くとご飯を炊いているうちにシャワーを浴びてくる。
スッキリさせてから改めて手紙の封を切ったのだった。
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